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生徒の個性を受け入れ伸ばす! 藤村女子の「ふじ活」が育むもの

inter-edu’s eye

学校の所在地でもある吉祥寺を舞台に、多くの人と関わり合うフィールドワーク「ふじ活」を行っている藤村女子中学・高等学校(以下、藤村女子)。地域密着型のフィールドワークを始めた狙いや生徒の変化について、校長の柳舘伸先生、教頭の廣瀬真奈美先生、入試委員長の芦澤歩夢先生に聞きました。

フィールドワーク

藤村女子だからできる! 人気の街・吉祥寺でのフィールドワーク

インターエデュ(以下、エデュ)

まずは、ふじ活の狙いについて教えてください。

校長

ふじ活を行う前に、本校はどのような生徒を育てていきたいのかを改めて確認しました。そしてそれは、10年、20年、さらには60年経ってもいつでもチャレンジすることができる女性、周りから「あなたがいてくれてよかった」と言われる女性の育成でした。挑戦するためには探究心が大事だと考え、フィールドワークを主体とした独自のプログラム・ふじ活を昨年度から始めたのです。

エデュ

プログラムの舞台として吉祥寺を選んだのはなぜですか。

校長

本校と吉祥寺は切っても切り離せない関係です。これまで長い間、吉祥寺の行事に参加して街との交流を深めてきましたから。学校だけでは学べないことを地元で経験してほしいと考え、地域密着型のフィールドワークにしました。

エデュ

ふじ活で、生徒にはどのような力を身につけてほしいですか。

校長

さまざまなチャレンジを通して将来を切り拓く力を養ってほしいです。常に挑戦すれば前向きな人生を送ることができ、人として成長できるはずです。

フィールドワーク
ダンス部
吉祥寺の街と藤村女子の交流の歴史は長く、吹奏楽部やダンス部など、たくさんのクラブも吉祥寺の街で活動しています。

生徒と先生が一緒に作り上げ、変化していくふじ活

ふじ活

高校生×ふじ活

エデュ

高校生はどのような活動を行っていますか。

芦澤先生

昨年度の夏、高1生は「吉祥寺のランチ」にスポットを当ててフリーペーパーを制作しました。生徒が実際に店で取材をして1冊にまとめたのです。スポーツコースは同時期にキャンプに行くため、「初心者でもできるキャンプ」をテーマにフリーペーパーを作りました。

エデュ

完成していかがでしたか。

芦澤先生

“教員が指導して生徒が従う”ということは全くなく、教員と生徒が一つの目標に向かって一緒に努力したので達成感がありましたし、嬉しかったですね。
好評だったので、冬は吉祥寺の街全体をテーマにしてフリーペーパーを作ることに。すると、冊子を手に取ってもらうにはどうすればいいかを生徒が率先して考え、ページ数から紙のサイズに至るまで彼女たちがアイデアを出して決めました。

エデュ

街の方など周囲の反応はいかがでしたか。

芦澤先生

とても好評で、お店のSNSで紹介していただいたり、お礼の言葉をいただいたりと、大きな反響がありました。地元の方と生徒の間に芽生えた繋がりを実感しましたね。

2019年度のふじ活

中学校
中1〜中3 乳幼児体験
中1〜中3 井の頭公園自然体験会
中2・中3 乳幼児おもちゃ作り
中2 職場インタビュー
中3 職場体験
中3 Tシャツ作り企業体験
高校
高1(夏) フリーペーパー制作
「吉祥寺のランチ」
「初心者でもできるキャンプ」
高1(夏休み) 地元CM制作
高1(冬) フリーペーパー制作「吉祥寺」
高2 地元サッカーチーム・東京武蔵野シティFCとのコラボ商品開発
エデュ

では、高2生はどのような活動を行ったのでしょうか。

芦澤先生

昨年度から今年度にかけて、地元サッカーチーム・東京武蔵野シティFCとのコラボグッズの開発を行いました。

廣瀬先生

グッズの開発だけでなく、試合会場の設営のお手伝いをしたり、裏方で働いている方の話を聞いたりして現場への理解を深めていました。

コラボ商品のタオルには藤村女子の校章が付いています。
コラボ商品のタオルには藤村女子の校章が付いています。
コラボタオル
エデュ

ふじ活で生徒はどのように成長したと感じていますか。

芦澤先生

フリーペーパーを完成させるため、生徒はいろいろな視点や意見を求めようと積極的に意見交換していて、クラス内の交流が活発になり、コミュニケーション力が高まりました。また、地域の方と交流する中で身だしなみや言葉遣いにも気を配るなど社会性も身についたと思います。途中、ハプニングに遭っても自分たちで乗り越えるたくましさも養えました。

エデュ

今後の展望を教えてください。

芦澤先生

毎年同じことをするのではなく、変化を織り交ぜてチャレンジを続けていきたいと思っています。今年度、高2生は新しい取り組みとして探究学習とふじ活を掛け合わせ、10種類のゼミに分かれて活動しています。高1生はフリーペーパーではなく、動画を制作中です。

校長

今は学校がチャレンジの材料を用意していますが、今後は生徒がやりたいことを見つけて動き出せるような土台を作っていきたいですね。

ふじ活のようす
ふじ活

中学生×ふじ活

エデュ

中学校でのふじ活には、どのようなプログラムがあるのでしょうか。

廣瀬先生

中学校では、既存のプログラムを組み込みながら再編成をしているところです。これまでの取り組みとしては、乳幼児体験とおもちゃ作りがあります。近隣の幼稚園や近所に住む親子に協力してもらい、発達段階に応じたおもちゃ作りに挑戦します。中でも中3生は手作りのおもちゃを子どもにプレゼントするほか、3年間かけて学んだ内容をパワーポイントにまとめて発表します。

教頭の廣瀬真奈美先生
教頭の廣瀬真奈美先生
エデュ

参加された親子の反応はいかがですか。

廣瀬先生

子どもがどんなおもちゃに興味を示すのかを学んでから制作するので、生徒たちはデザインに工夫を凝らします。参加したお母さまは生徒をわが子のように見てくださっていて、中1から中3へと成長していく姿に驚かれているのが印象的でしたね。

エデュ

ほかにはどのようなプログラムがありますか。

廣瀬先生

職場体験や井の頭公園の自然体験もあります。中2生は病院などへ行き、現場で働く方から話を聞きます。そして中3になると実際に職場で働きます。どの職場に行くかは、生徒がエントリーシートに志望理由を書いて提出し、教員が内容を精査して決めます。将来を考える機会になり、体験後にはお世話になった方にお礼状も書くので、社会勉強やキャリア教育を兼ね備えていますね。

生徒の作品。子どもが気に入ったおもちゃはプレゼントしています。
生徒の作品。子どもが気に入ったおもちゃはプレゼントしています。

SCRAPとコラボ! 受験生をワクワクさせる「ナゾ解き入試」

入試委員長の芦澤歩夢先生
入試委員長の芦澤歩夢先生

藤村女子では、ふじ活の狙いでもある“自ら道を切り拓く人材の育成”を反映した新入試を導入します。2020年度からスタートした自己表現入試に続き、2021年度には「ナゾ解き入試」がスタート。発案者は入試委員長の芦澤先生です。

エデュ

「ナゾ解き入試」について教えてください。

芦澤先生

入試内容は2つあり、1つは個人で解く「ナゾ検」です。問題は国語・算数・理科・社会の要素が含まれていて、閃きがカギを握ります。もう1つはグループでナゾを解く「脱出ゲーム型」。いずれも「リアル脱出ゲーム」(※)で有名な株式会社SCRAPとコラボして行います。

エデュ

なぜ、ナゾ解きを入試に取り入れようと考えたのですか。

廣瀬先生

これまでにない、受験生が「楽しかった」といえる入試を作れないだろうかと考えていました。また、さまざまな分野に好奇心を抱き、広い視野を持った生徒に挑戦してほしいという思いもありました。ナゾ解き入試では、思考力・発想力・行動力・会話力・洞察力の5つの観点から判定をします。これらは、ふじ活にもつながる力です。

エデュ

入試対策はどのようにすればよいでしょうか。

廣瀬先生

本校のSNSで例題を発信していきますし、ナゾ検の体験会も実施します。ぜひ多くの受験生にチャレンジしていただき、“楽しい”の延長線上に合格があることを願っています。

(※)リアル脱出ゲームは株式会社SCRAPの登録商標です。

受験生へのメッセージ

エデュ

最後に受験生に向けてメッセージをお願いします。

校長

今までやってきたことはすべて無駄ではありません。必ず役に立つ日が来ますし、藤村女子は頑張る受験生を応援しています。自分で生き抜くことのできる力を藤村女子で身につけましょう。私たち全教員があなたを応援します。

校長の柳舘伸先生
校長の柳舘伸先生

編集者から見たポイント

3人の先生方から頻繁に出てきた言葉が“チャレンジ”。2学期からは月に1回、平日に授業・部活動を行わない「チャレンジデイ」をスタートさせます。その日は美術館に行ったり、趣味に没頭したりと、生徒が思い思いのことにチャレンジできる日に。生徒が自発的に学び、得意分野を伸ばすことを応援する藤村女子らしいプログラムだと感じました。ふじ活やチャレンジデイなどの取り組みは、新入試で入学する生徒によって、さらに活性化していくでしょう。

イベント情報

中学校
体験会 2020年9月26日(土)
説明会 2020年10月17日(土)
説明会 2020年11月14日(土)
入試問題体験会 2020年11月28日(土)
※「謎検」体験あり
高校
説明会 2020年10月24日(土)
説明会 2020年11月7日(土)
説明会 2020年11月21日(土)
説明会 2020年11月29日(日)

企画・編集:インターエデュ・ドットコム
提供・取材協力:藤村女子中学・高等学校