暁星中学・高等学校
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暁星中学・高等学校(以下、暁星)には、男子校には珍しい合唱部があります。2012年に当時在校生だった植木先生の希望で創部、コロナ禍においても継続して活動を続けてきました。部員数12名(2025年1月現在)と少人数ながら熱意を持って合唱に取り組んできた2名の高校3年生の部員と、その活動を支えてきた(顧問の)先生方に合唱部の魅力についておうかがいしました。

<活動内容>
活動日は週2回。学校の式典での聖歌の先唱から、文化祭やクリスマスコンサート、暁星小学校や姉妹校の聖歌隊との定期演奏やコンテストへの出場など幅広く活動しています。年間で一番大きな演奏会は約10曲を発表する文化祭。また、5年以上前から東京都の聖母病院にて慈善演奏会をしています。
合唱部の創部の経緯を教えてください。
植木先生
私は暁星小学校では聖歌隊でしたが、中学には合唱部がなく、OBとして聖歌隊のお手伝いをしていました。合唱部をつくりたくても顧問をお願いできる先生がいなかったのですが、合唱経験のある宮嶌先生が赴任されたので、顧問就任を依頼しました。

宮嶌先生
植木先生はとても意欲的で、企画書まで作ってきたんです。私自身も高校時代に男声合唱をしていたので合唱に関われる嬉しさもあり、また本校はカトリックの学校なので、式典などで歌う場面が多いとも考えて、合唱部を立ち上げました。

OBとして現在の合唱部にどんな想いをお持ちですか?
植木先生
正直「こんなに長く続くとは」という気持ちです。私の在校時は新しい部をつくる生徒が多かったのですが、続かないことが多かったので、10年以上続いているのは嬉しいですね。
合唱部へ入部した理由を教えてください。
Sくん
入学感謝ミサで合唱部が歌っているのを見て、聖堂の裏側に入れるのは面白そうと思ったのが最初の印象です。もともとバイオリンを弾いていたので音楽系のクラブに入りたいと思っていました。練習中の雰囲気が良くて、「歌うって楽しそう」と思い入部しました。

Aくん
初めて練習に行ったとき、先輩と後輩が、友達みたいな距離感で会話していることに驚き、そんな雰囲気が自分に合いそうだと思いました。僕も合唱経験はないですが、小学校の鼓笛隊でユーフォニアムを担当していたこともあり、音楽は大好きです

合唱部で一番印象に残っている想い出は?
Sくん
以前、ローマ教皇が来日された際に東京ドームで歌ったことはとても良い思い出です。貴重な経験ができましたし、本当に良かったなと思っています。
Aくん
僕は合宿や遠征です。制服ではなく私服で歌うのは感覚も違いますし、仲間と一緒に寝食を共にすることで絆を深めることができるのがすごく楽しいです。


日頃のケアや生活面で気をつけていることはありますか?
Sくん
自覚してはいないのですが、家で親によく歌っていると言われます。日頃のケアとして、疲れてきたら意識的に歌うのを控えています。
Aくん
先生からウーロン茶は喉の油を取ってしまうと聞いたので、極力飲まないです。あとは歌うためには姿勢がすごく大事なので、普段から姿勢には気をつけています。
暁星合唱部の魅力はどんなところだと思いますか?
Sくん
1曲1曲に対する熱意が強くて、その結果歌も上手くなってきているところだと思います。少人数で普段は穏やかですが「やるときはやる」という団結力があります。
Aくん
合唱の経験が長い顧問の先生から教われるのは、すごく貴重なことだと思います。先生も含めてみんなが歌をやりたいと集まっているので雰囲気も良いです。

コロナ禍ではどのように活動していましたか?
植木先生
定期的にオンラインでミーティングや基礎トレーニングなどをしました。登校が再開されてからは、クラスター防止策や換気・ソーシャルディスタンスなどのガイドラインをもとに部室で練習しました。生徒がしっかり守ってくれたので、合唱部では一度もクラスターが起きなかったです。登校再開後に初めてみんなで集まって歌ったときには思わず涙しました。

Sくん
学校に行けない間は家で発声練習をしたり、歌声を録音したりして練習していました。
Aくん
音が響き、気持ちが良いのでお風呂で歌っていました。あとは先生からの課題で音取りをしたり、楽譜を見たりする日々でした。
コロナ禍の活動で何か工夫したことはありましたか?
植木先生
2020年の文化祭で姉妹校の晃華学園さんと合同合唱の動画を発表しました。部室にマイクを立てて、私がテンポを刻み宮嶌先生が指揮をする動画に合わせてみんなで歌います。それに晃華学園の生徒さんが自宅で録画した音も合わせて何トラックも重ねて動画を作りました。

思うように活動できない中でどんなことを考えていましたか?
Sくん
家でも歌うことはできますし、合唱部は居心地の良い場所なので辞めようとは思いませんでした。卒業までにはみんなと歌えるようになりたい、と願っていました。
Aくん
僕も合唱部を辞めようとは思いませんでした。耐え忍ぶしかないと思いながら、みんなと一緒に歌える日を待ち続けました。
合唱を続けてきて良かったと思うことは?
Sくん
歌が上手くなりましたし、交遊関係も広がりましたね。そして、何でも相談できる先生にも出会えました。キリスト教にも興味を持ち、進学先もキリスト教の大学を選びました。卒業後もOBとして関わりたいですし、将来は教員として暁星に戻りたいと思っています。
Aくん
歌はお腹から声を出すことが基本なので、ハキハキ喋れるようになりました。姿勢も良くなりましたし、合唱を披露する場数を踏んだことで人前でも緊張しなくなったと思います。

コロナ禍でも活動を続けてきた部員たちについて、どのように感じていますか?
宮嶌先生
できないことが多い中で、最後まで活動できたのは彼らの努力。みんなで何とか頑張ろう、と思えたのが本当にすごいです。合唱は集まって歌うものですが、「歌が好きだから続けたい」という思いが強かったのでしょう。
これからの合唱部の展望について教えてください。
宮嶌先生
私自身合唱を続けている立場としては、音楽のクオリティは担保したいけれど、追求しすぎて居心地が悪くなるのは避けたいです。みんなで歌うから楽しいし、みんなでつくる音楽だからこそ妥協したくない。そのバランスを植木先生と2人で上手く取りたいですね。
植木先生
合唱という活動は人生に彩りを与え、生涯楽しめるもの。卒業しても長く続けてほしいです。これからは、本格的に小学校や姉妹校と長く継続的に関われる活動をしていきたいです。新入生に「合唱部はこんなに楽しいよ」と伝えていきたいですね。

後輩たちに伝えたいことはありますか?
Sくん
合唱部は僕たちの帰る場所でもあるのでずっと残ってほしいです。中学生はまだこれからですし、高校2年生には卒業まで頑張ってほしいですね。
Aくん
コロナ禍でできなかったことがいっぱいあるので、後輩やこれから入部する部員たちにはこれから様々な経験して「歌うことが楽しい」と思ってほしいです。

中学から入学した先輩として、受験生へメッセージをいただけますか?
Sくん
気楽に話せる先生ばかりなので、僕はよく職員室に行っています。冬休み中も学校が始まるのが楽しみでした。6年間を過ごすので多くの人と仲良くなれるし、自分の居場所は必ずできると思います。
Aくん
僕の最初の友達は暁星小学校出身で、そこから人脈が広がって友達もたくさんできました。小学校から中学からなど関係なく仲良くなれるので、心配しなくて大丈夫ですよ。
