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自ら考え、発信する力を養う「考える恵泉」の教育

inter-edu’s eye

恵泉女学園中学・高等学校は、「考える恵泉」として、思考力と発信力の育成に力を注いでいます。自分の考えを持ち、発信することのできる女性を目指し、世界に目を向け、平和を実現するための基礎力を身につけることができる「考える恵泉」の取り組みに迫ります。

卒業生インタビュー

「考える恵泉」で培われる思考力・発信力はどのように育ち、今どのように活きているのでしょうか。恵泉の教育を受け継いだ、卒業生のお二人にお話をうかがいました。

慶應義塾大学
法学部法律学科3年生

そめや あかね

染矢明愛さん

音楽が好きで、大学では中高から続けてきたオーケストラと法律のサークルに加入

慶應義塾大学
法学部政治学科1年生

おおざわ りお

大澤理央さん

大学では海外からの学生のお世話などをする国際関係会(I.I.R.)に参加。趣味は歌舞伎鑑賞

──お二人とも慶應義塾大学に進学されているのですね。今の進路を決められた“きっかけ”を教えてください。

大澤さん私は恵泉の「平和教育」の授業で戦争について学び、その後、「戦争芸術」というものを知りました。そこで、芸術が政治的に悪用されないためにはどうしたら良いのかを考えるようになり、政治についてもっと深く学びたいと思い、慶應義塾大学の政治学科に進みました。

染矢さん祖母が弁護士をしていて、法律が身近なものでした。恵泉の有志で行う被災地支援活動を経験して、当時の私は、現地の声が行政側にあまり届いていないことや、現地の方々のニーズと行政の支援のズレを強く感じました。その溝を埋められる大人になるには行政法、行政訴訟法などを知らなくてはならないと思い、法律を深く学べる慶應義塾大学の法律学科に進みました。

──お話にありました、恵泉の被災地支援について教えてください。

大澤さん東日本大震災に見舞われた南三陸町歌津寄木地区へ毎年春休みに行っています。恵泉の被災地支援は、現地の人と直接お話しをして、海の作業などをお手伝いしながら、親睦を深めていく形の支援です。

染矢さん現地の人たちのお手伝いをしながら、何が不安で、何をして欲しいかなど、いろいろなお話をお聞きします。訪れるたびに皆さんが求める支援のカタチも変わり、復興の未来図が変わっていくことに気づかされます。

大澤さん帰ってきたら全校生徒の前で報告の礼拝をします。それを聞いたみんなから「自分も実際にこの目で見てみたい!」「行ってみたい!」と大きな反響があります。だから高1から参加できるこの活動は希望者が多く、毎年キャンセル待ちが出るほどです。私も現地に行くことによって、自分の人生観が変わり、世界が広がりました。

大澤さん

染矢さん被災地支援という言い方にも少し抵抗があって、『歌津応援プロジェクト』と呼び方を変えたり、OGの活動はわかめの収穫をお手伝いするので『チームわかめ』と名付けたり、難しく考えないで、現地の方も私たちも楽しく一緒にお手伝いができればと思っています。

被災地での活動

被災地での活動

わかめのめかぶ削ぎなどの作業を地元の方々と一緒にします。津波の体験のお話のほかにも、被災地の現状やご家族のことなどにも話が及び、必ずしも正解のない現実に気づかされます。

──中高の6年間で「考える恵泉」の柱である思考力・発信力が身についたと思うことについて教えてください。

大澤さん生徒会での活動や、高1の時から参加していた英語のスピーチコンテストで発信力は養われたと思います。もともと人前で話すのは得意ではなかったのですが、恵泉はみんなの前で話す機会も多いですし、染矢先輩と同じく生徒会長をやっていたので自然と身についていった感じがします。思考力については、恵泉の国語の授業で養われたと思います。国語のテストはほぼ記述式だったので、どのように書き、まとめるかを考えることで、思考力が鍛えられたと思います。

染矢さん

染矢さん私も思考力は国語の授業で養われた部分が大きいと感じています。教科書以外の題材も多く、先生と一緒に難しい文章を読み解いていくことで、たくさん考えるようになりました。発信力については、生徒会長時代に、あまり関心のない生徒にいかに興味を持ってもらうか、細かいところまで考えて伝えるようにしていたので、私も自然と身についていったと思っています。
さらに私は、この二つの力は恵泉の感話で培われたと考えています。自分が思っていることを飾らずに文章にして、自分の気持ちが一番伝わる方法を考えて相手に伝える、そのことが思考力であり発信力の基礎となっていると感じています。

スピーチコンテスト

40年以上の歴史を持つコンテスト。英語の基礎力の上に運用力・発信力を積み上げます。3年生は暗誦部門、4・5年生は夏休みの宿題でスピーチを作り、3回の予選を経て、11月の本選に参加できます。学内入賞者は支部大会でも毎年入賞しています。

──卒業生から見た、恵泉の魅力について教えてください。

染矢さん恵泉には活発な子、おとなしい子、さまざまな性格の生徒がいるけれど、根本はみんな優しく、それぞれが本音で認め合える関係ができています。スピーチコンテストや留学など、自分が興味を持ち、やりたいと思って行動を起こせば、叶うチャンスが学校にはたくさんあります。また、恵泉を卒業してから特に実感したのは、恵泉の先生や友達は、ありのままの自分を、理屈抜きで受け入れてくれます。そんなところが大好きです。

大澤さん恵泉の授業は本当に面白く、授業を通じて知的好奇心が磨かれて、小学生の時には好きではなかった勉強が、今では大好きになりました。先生方は温かく、大学受験の時には精神的にも支えてくれました。学校という場所や先生方がいなかったら、大学受験は乗り越えられなかったと思います。恵泉に入学して本当に良かったと思っています。

恵泉の特徴ある教科

恵泉では自ら考え行動する力を養うことで、それぞれの個性を伸ばす教育プログラムを実践しています。

国語
中3の国語ではディベートを行います。自分の考えを論理的に組み立てて、何を相手に伝えて行けばいいのか、さまざまな情報を取捨選択する力を磨いていきます。

国語

古典および現代の優れた文章や文学作品を、正しく理解し味わう力を身につけること、主体的に考え、表現し、互いに伝え合う力を養うことを目標としています。身辺の具体的な事柄から抽象的・観念的な事象へと思考を深めていく時期に見合った言葉を身につけさせたいと考えています。

英語
入学後初めて本格的に学んだ生徒も、英検やTOEIC、GTECなど様々な外部試験でその実力を発揮しています。高2の52%が英検2級以上を取得しています。

英語

中学で確実に基礎力を定着させたうえで、高校では習熟度別授業と豊富な選択科目により、Reading, Writing, Listening, Speakingの4技能をバランスよく伸ばし、コミュニケーションツールとしての英語を身につけることを目標としています。自分の意見を英語で発信する、グローバル社会で必要な力を養います。

課外サイエンス
アドベンチャー

生物・化学・物理・CS(コンピューターサイエンス)の4班に分かれ、継続的な実験・観察を行い、各研究大会に参加しています。

編集者から見たポイント

恵泉女学園中学・高等学校の、「自ら考えて、発信することのできる女性の育成」を目指す教育指針の通り、一つひとつの言葉を大事にしながら、しっかり考えて、相手に伝わりやすい言葉選びをされていた卒業生のお二人。「考える恵泉」の教育が確実に受け継がれていることが分かったインタビューとなりました。

企画・編集:インターエデュ・ドットコム
提供・取材協力:恵泉女学園中学・高等学校