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inter-edu's eye

全国の学校で中止が相次ぐ中でも、徹底的な感染症対策によって悲願の文化祭開催を果たすことができた駒場東邦中学校・高等学校(以下、駒東)。東大を含め、数多くの国公立大・私立難関大への合格者を輩出する男子進学校として知られている駒東の生徒たちが様々な工夫の末にようやく実現させた文化祭の舞台裏について徹底的にご紹介します。

開催自体が危ぶまれた文化祭

これまでに数多くの来場者を魅了し続けてきた文化祭ですが、2020年度は、例年の9月から11月に日程を延期したうえで、卒業生・一般の方々のご来場をご遠慮いただき、在校生保護者からは各家庭1名、小4~小6のお子様と保護者は先着順の完全予約制という形で入場制限をせざるを得なくなりました。そのような状況下でも、開催に向けて模索を続けてきた文化祭実行委員の委員長・副委員長からお話を聞かせていただきました。

原田くん

原田くん高2 文化祭実行委員長

中学まではこれといって主体的に企画をつくるなどしてきませんでしたが、何事かを成すために文化祭実行委員になったという原田くん。校庭が人工芝になったので、毎年やってきた中夜祭・後夜祭の打ち上げ花火に代わる催しを検討することになりました。

中村くん

中村くん高2 文化祭副実行委員長

小5の時に参加した文化祭が思い出になっているという中村くん。現役サッカー部員として活動しながらも、原田くんの相棒として多くの部門や参加団体との調整役として重要な任務を担当しました。

文化祭のテーマ「Unlimited」にはどんな思いが込められているのですか。

文化祭マスコット トウファン・コマフィン
文化祭マスコット
原田くん

今年は高2の生徒からテーマを募集して、文化祭実行委員の幹部による投票で決定しました。Unlimitedには「際限のない」、「無限の」といった意味があり、無限の可能性を追求したいという思いをテーマに込めました。

中村くん

来場者の心にずっと残るような文化祭にしたいと思い続けて準備を進めてきました。マスコットキャラクターは、自由や愛を感じさせる生きものの象徴としてイルカを選びました。駒東の文化祭も遊び心や愛にあふれたものにしたいという願いを込めて、尾びれを無限の形にし、Unlimitedを表現しました。

準備期間に検討してきた企画の大筋について教えてください。

入口に消毒液完備
原田くん

4月を迎える頃には、例年通りの文化祭にはならないことを予想しており、各参加団体には感染症対策を考えてもらいました。来場者数の制限を考慮した結果、当日に来校できなかった方々のことを考えてオンライン文化祭も企画しました。入場制限をしつつも来場者をお迎えすることになったので、どのような感染症対策を講じれば安心して楽しんでいただけるか、実行委員として最低限のガイドラインを作成し、それを参加団体に守ってもらうことにしました。ガイドライン作成には、先生方や校医の先生のアドバイスもいただきました。

中村くん

男子校の固いイメージを変えられるようなかわいいマスコットキャラクターだけでなく、部門ごとに企画書を作成していきました。デザインは装飾部門が担当し、合同企画は他校の生徒と情報交換をしながら調査を進め、広報部門が動画を作成しました。参加する一人ひとりが団結しながら熱意を形にする様子に「駒東らしさ」を感じていました。

多くのメンバーをまとめるには苦労があったそうですね。

校門装飾
原田くん

文化祭実行委員は総員200名以上になりました。今年は、感染症対策で文実全員が一堂に会して説明会を開いたりできなかったので、部門ごとにオンライン会議などを開いてもらいました。それでも様々な意見をまとめるのには苦労しました。文化祭の二日前には校内の机などを移動させるのですが、指示系統がしっかりしていたおかげで予想よりも早く終えることができました。

中村くん

必要な準備作業の分担だけでなく、展示用の教室を手配するなど、事務的な仕事に追われながらも、責任感をもって取り組んできました。高1の頃から先輩たちの背中を見てきたので計画と実行力の大切さを意識しており、さらに定期的な幹部会議を繰り返すことで強くなった団結力が文化祭当日にも活かされました。初日を体験しないと分からないことがたくさんあり、二日目の進行にも役立ったと思います。

2020版パンフレット
原田くん

感染症対策にも配慮しながらどれだけの企画が実現できるか不安でしたが、みんなの協力で良い企画案がいくつも出てきて、自信を持てました。

中村くん

休校期間もオンラインでの会議を繰り返すみんなの熱意があったからこそ、今回の文化祭を実現できました。パンフレットの制作は、広報部門のメンバーが中心となって2ヵ月以上を費やして作り上げており、PCやデザインのスキルが大幅に向上したと聞いています。

駒東生の団結が実現させた展示の数々

駒東の魅力のひとつが多種多様なクラブ活動です。文化部・体育部に限らず、クラス役員のひとつである経営活動部や同好会、学年展示も含めた全校生徒の創意工夫が文化祭でお披露目されています。

waterboys2020クライミング体験自家製プラネタリウム

多くの参加団体によるユニークな展示について教えてください。

鉄道研究部
鉄道研究部
原田くん

文化祭当日はステージ上のイベント準備などで忙しく、すべての展示を見てまわることはできませんでしたが、参加団体部門賞の展示部門・銅賞に選ばれた鉄道研究部の展示が印象に残っています。実際に乗車できるゲージで内容もしっかりしていました。参加団体部門賞の公演部門・銅賞をとった化学部は、試験管の中で起きるリーゼガング現象という化学反応で不思議な幾何学模様を作っていました。もちろん、感染予防ガイドラインについては全参加団体と相談しており、1教室あたりの人数制限を厳密に設定し、グレーゾーンを無くすようにしたから実現できた展示だと考えています。

ことば食堂
ことば食堂
中村くん

有志団体賞に選ばれた中1の学年企画「ことば食堂」が気に入りました。日常生活で使われる言葉の意味についての誤解や、非常用漢字の面白さを紹介する内容です。水泳部によるシンクロナイズドスイミング「WaterBoys2020」や、天文部による自家製プラネタリウム、山岳部が設置したクライミングウォールも良かったですね。準備期間が短かったにもかかわらず、力作揃いの展示が揃った当日の様子を見て、やっぱり開催して良かったと心から思いました。

在校生だけが参加した中夜祭・後夜祭の様子を教えてください。

原田くん

文化祭の打ち上げとして大いに盛り上がる中夜祭・後夜祭は、例年だったら後夜祭の最後の軽音楽部の演奏で在校生とお客さんが一つになり、盛り上がりがクライマックスを迎えますが、今年は過密にならないように人数を制限し、声を出さず着席しながらの参加となりました。問題無く全体の進行を務められたことはもちろんですが、文化祭を中止せずに開催できたこと自体が成功だと考えています。参加したみんなの心にも残る最高のイベントになりました。

中村くん

昨年までは校庭での打ち上げ花火が見どころになっていましたが、人工芝になったことで、特殊演出部門のメンバーが夏休みから制作を進めてきたプロジェクションマッピングの上映に変更されました。軽音楽部によるバンド演奏の最中には、感極まって涙を流す生徒も見かけました。雨の心配があったので、当日は機転を利かせた進行となったにも関わらず、みんなが合わせるように動いてくれたことがありがたかったですね。

成長につながった文化祭での経験

開催困難だと思われた文化祭を実現するための活動に青春の情熱を注いできたお二人から、今後の展望や駒東の魅力について聞かせていただきました。

文化祭実行委員の経験を活かした今後の展望を教えてください。

文化祭のようす
原田くん

高1のメンバーと意見交換を行ってきましたが、オンラインでの配信を含め、来年以降も発展させた文化祭を実施してほしいです。感染症対策として新たなルールが適用される来年の体育祭でも運営に携わるので、文化祭での経験を活かしていきます。問題解決のために必要な手順を順序良く組み立てていくことを目標にしています。

中村くん

やる気に満ちた後輩たちの存在を心強く思っています。来年はもっと盛り上がるチャレンジを予定していると聞いたので大いに期待しています。文化祭実行委員の活動を通して、何が求められているのかを常に考えることができるようになりました。責任感をもってやり通す大変さも知ることもできました。これは、将来にわたって活かされる経験になると思います。

お二人が考える駒東生らしさとはどんなものでしょうか。

校門装飾・プロジェクションマッピング
原田くん

生徒の力が試される行事には一丸となって取り組むところですね。駒東生は自分を律することができ、やるべき時が来たら突き進める勢いを持っており、自分自身を顧みても成長できた実感があります。一人では達成できない大きな夢でも、みんなと一緒なら実現できるはずです。

中村くん

何事に対しても熱意をもって接しているのが駒東生の姿です。中高一貫の男子校だからこそ、一致団結した時の助け合いが強みになっていると思います。生徒自身のやる気次第で何でもチャレンジできるのが駒東生の魅力です。

最後に、中学受験にチャレンジする受験生への応援メッセージをお願いします。

集合写真
原田くん

合格だけを目標にしている受験生もいるでしょうが、入学してからはいろんな体験ができるようになります。必ず打ち込める何かを見つけられるので、今の成績に一喜一憂することなく頑張り通してください。「継続は力なり」は実現できるので、自分を信じて結果を出してください。

中村くん

小学生のうちは受け身の姿勢で過ごしていても、駒東生になれば主体的に環境を変えられるようになります。まずは行きたい学校を見定めて目標を立てたら、入学したいという気持ちを強く持ってください。

文化祭実行委員を見守ってきた大澤先生からのコメント

新型ウイルスによる休校期間が長かったため、準備期間があまり取れず不安な時期を過ごしながらも、どのような文化祭に仕上げていくのかをイメージしながら努力を続けてきた成果が形になりました。オンラインでのアンケートを始め、土日も利用して部門会ごとにオリエンテーションを行いつつ資料を作成していた姿が印象深いです。

2021年度入試情報

2021年2月1日(月) 中学入試 ※8:00集合
8:30〜9:30 9:45〜10:25 10:40〜11:40 11:55〜12:35
国語 社会 算数 理科
2021年2月2日(火) 合格発表 9:00〜17:00

企画・編集:インターエデュ・ドットコム
提供・取材協力:駒場東邦中学校・高等学校