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新生 目黒日大で注目すべき学力向上の背景

inter-edu's eye

桜並木が続く目黒川にほど近い閑静なエリアに位置し、110年を超える長い歴史を積み重ねてきた日出学園が目黒日本大学中学校・高等学校(以下、目黒日大)へと生まれ変わったことで、首都圏を中心とした私学の教育現場に大きなインパクトをもたらしました。この新たな進学校の誕生にまつわる背景や未来像について、生徒と向き合いながら長年指導を続けてきた先生方のコメントからその詳細をご紹介します。

進路指導部の視点から見る学校の変化

2018年度から進路指導部部長を務めてきた深瀬航先生から、学校法人が変わった前後の違いや学力の推移についてお話をうかがいました。

深瀬先生

日出学園時代と現在の目黒日大との大きな変化はありますか。

深瀬先生
深瀬先生

法人が変わったことで以前とは体制が異なりますが、教育指導そのものに対するスタンスや熱意はまったく変化していません。生徒たちには最後まで諦めないでやり通すことが進路実現に大切だと強く訴えています。目黒日大となった時点で指導の内容と共に、教員自体のバージョンアップも必要となりました。教育の最前線となる授業を担当する教員が教科会を開き、学外の研修や模擬授業を繰り返してきたことで、生徒たちの学力も当然のように上昇気流に乗ってきましたね。

全国模試による学力推移調査を行っているとお聞きしました。

深瀬先生
深瀬先生

学力推移調査の結果としては英語試験の結果が良く、教員間の指導レベルが向上していることが証明されました。現中2生も新型ウィルスの影響で登校期間が限られながらも、基礎学力の向上が見られたことは非常に有意だったと思われます。
このような学力推移調査が終わると、生徒には宿題として「模試ノート」に解き直しをさせており、教員側も反省会を開いています。また、進路指導部では調査結果を分析し、各教科担当とディスカッションを開くことで数値遷移をフィードバックしています。先ほども述べましたが、1年前に実施した授業の繰り返しを良しとせずに教員が常にアップグレードを図ることを求めています。

中高一貫生の学習状況
学習支援センター
開放的な空間で学習に取り組める学習支援センター

目黒日大ならではの指導体制について教えてください。

深瀬先生
深瀬先生

学校生活や授業を通して自ら学習習慣を身につけることが肝要であり、私たち教員は生徒が仲間と切磋琢磨できる環境を整えることを使命のひとつと考えています。放課後の学習支援センターでは、その日のうちに学んだ授業内容をしっかりと理解したうえで下校するサポートを医大生などのチューターと協働して行います。

特別課外授業のようす
特別課外授業のようす

医学部や最難関大学を目指す生徒を対象とした特別課外講座では、目黒日大へと変わった段階で進学トップ校から集まってきた教員による特別チームが中心となって指導を行っていますが、普段の授業では習熟度別のクラス編成を採り入れてはいません。その理由は、やり方によっては生徒に敗北感や屈辱感といったネガティブな感情を植え付けることに繋がってしまうと考えたからに他なりません。学校とは自己肯定感を伸ばす場でもあるので、そういった差別化は適切でないと判断しました。当然ですが、全員が同じ授業を取り組むにも理解度は異なってきますが、教員は生徒一人ひとりの習熟度を把握しているため、個別に指導することもあれば、生徒が生徒を指導するスチューデント・ティーチャーという手法を導入する場合もあります。まずは、互いの頑張りを刺激にした自発的な意欲や信頼を大切にしていることを知っていただきたいですね。

結果が求められる1期生の進学実績への抱負はありますか。

深瀬先生
深瀬先生

日大付属校として安心して他大学への受験も目指してほしいと考えています。2019年4月に実施した基礎学力到達度テスト(日大進学に必要となる重要なテスト)では、高校特進クラスの半数が全国でテストを受けた付属校生の上位30%を占める結果となりました。抜群に優れた結果ですが、本校への入学基準が引き上げられてから1期生となった生徒たちは更に上を行く成績が予想されます。
大学入学共通テストでも、今後の結果をご注目いただきたいですね。旧センター試験は知識偏重型と言われてきましたが、これからの時代は本校の強みでもある教科横断型の学びが活かされてきます。日出学園時代の多様なコース展開で培ってきた学び方をさまざまな個性を持つ生徒に適用しながらも、教育と学校に愛を持った教員陣が万全の態勢を整えつつあります。

基礎学力到達度テスト

受験生に向けたメッセージをお願いいたします。

深瀬先生
深瀬先生

卒業の際に6年間を振り返って「通って良かった」と思える毎日を過ごしてほしいと思います。私自身がかつて中高生だった時代も満足しながら学校生活を過ごしてきましたが、目黒日大では中高一貫校として勉強だけでなく学校行事もさらに満足できる環境となっています。仲間との交流を通してさまざまな経験を重ねながら大人に成長できる学校探しをしてください!

深瀬先生

中学受験の新機軸として打ち出された算理入試

目黒日大として新たなスタートを切った時点で導入された算理入試は、算数1科入試に理科の要素を含めた設問によって受験生の才能を測る目的で導入されました。その立案者である広報部部長の天野正貴先生からお話をうかがいました。

天野瀬先生

算理入試の導入に至った経緯をお聞かせください。

天野先生
天野先生

数学科の教諭として算数1科の入試を検討したきっかけは、次世代を生きる子どもたちに「物事を順序立てて考え、結論を導き出す力」を身につけてほしいと願いを持っていたからでした。自らの考えを伝えるためには文章表現を工夫することが必要になり、そこでは数学的な思考力だけではなく国語に求められる読解力も測ることができます。2教科型入試との差別化がポイントになりましたが、2020年度の算理入試では試験時間を70分とし、理科の授業で出されるようなグラフを用いることで、教科横断型の出題へと深化していきました。算理入試の出題内容は、適性検査IIIのようなイメージを持ってもらえると分かり易いと思います。

天野正貴先生※一部抜粋

過去問にはどのように取り組めばよいのでしょうか。

天野先生
天野先生

所要時間のマイナス10分を目安に取り組めば、心に余裕が出るでしょう。記述式の解答結果は受験生自身が良し悪しを判断するのではなく、保護者など第三者の視点でアドバイスを与えることが望ましいです。本校の入試説明会やプレテストでは、模範解答だけでなく減点対象となるポイントも解説しているので、ぜひご参加ください。
入試で満点を取る必要は無いので、得意な教科で抜群の得点を取れるような尖った才能を持つ生徒に向いているのではないでしょうか。2教科・4教科型入試に限らず、算理入試や適性検査型入試も奨学金制度の対象となっているので、ぜひともチャレンジしていただきたいですね。

中学受験に向けたスケジュールの立て方についてアドバイスをお願いいたします。

天野先生
天野先生

小5の段階では、あの学校に通いたい、こんな毎日を過ごしてみたいといった大きな夢を持っていても良いと思います。小6になったら、目標を意識しながら勉強を進め、夏には現実的な受験校を選ぶタイミングを迎えることになります。秋になれば併願校を含めた受験先を決定する必要がありますので、保護者の皆さまには学校情報を比較しながら戦略的な入試スケジュールを立てていただきたいです。一方で、受験生本人は勉強に集中して取り組むべきですが、最終的には親子が一緒になって受験先を考えてほしいと願っています。入試当日はどのような結果にせよ、控室に戻ってきたお子さまをしっかりと抱きしめて労ってほしいですね。

企画・編集:インターエデュ・ドットコム
提供・取材協力:目黒日本大学中学校・高等学校