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医療従事者を目指す生徒を育成!大妻中高の医療系探究講座レポート

医療従事者を目指す 生徒を育成! 大妻中高の医療系探究講座レポート

inter-edu’s eye

東京・千代田区の女子校、大妻中学高等学校(以下、大妻中高)では、近年、医学・医療系学部への進学者が増えています。そうした中、医療従事者・研究者を目指す生徒たちに向けて同校では2021年度より「医療系探究講座」を開講しています。編集部では今回、7月に行われた探究講座を取材。医療の道を目指す生徒たちや探究講座の企画・運営を担当する進路指導部長・探究科主任の森弘達先生にインタビューも行いました。

What is Otsuma’s Medical Inquiry Course?大妻中高の医療系探究講座とは

Special Public Lecture Report特別公開講座レポート

7月は中学生も参加できる特別公開講座を開講。当日は中学生含めて約100名の生徒が参加していました。講師は東京ベイ・浦安市川医療センター循環器内科副部長、日本ボクシング連盟理事の仲間達也先生。仲間先生は森先生の教え子でもあるそうです。今回のテーマは「医師としての責務」。ご自身の専門である循環器内科の医師として、カテーテル治療に取り組み、現在は末梢動脈疾患の専門医として国内外で臨床を重ね、その成果を国際会議の場でも発表されています。講演では、医師を志してからこれまでの道のり、医師として研究することの大切さ、チームで医療を行う意義についてお話されました。

講演中の仲間達也先生
講演中の仲間達也先生。
講演を熱心に聞く生徒の姿を見て

多くの生徒が医療に関心を持ってくれていて嬉しい。
次の世代へ医療が引き継がれることに大きな期待を寄せている。

と話してくれました。

講演後は、生徒からの質疑応答の時間。「医学部受験をどう乗り越えたか」「心臓治療に携わりたいと思った理由は」など医師になる前の質問から、「忙しい中でメンタルケアはどうしたか」、「これからの時代は臨床もAIが行った方がいいのか」、「治療法について患者の意見を尊重(治療を打ち切りたい希望があった場合)した場合、その先の治療はどうすべきか」といった、医師になった後の具体的な質問も出てくるなど、生徒の興味は尽きないようでした。

Why We Go into Medicine生徒インタビュー

私たちが医学の道に進む理由

公開講座終了後、参加した生徒たちにお話をうかがいました。
  • A.M.さん高校2年生
    医師志望

    幼い頃から人を助ける仕事がしたいと思っていた。目指す医師像はドラマ『ドクターX』大門未知子。

  • R.K.さん高校2年生
    医師もしくは
    研究者志望

    『ドクターX』や『コードブルー』を観て医師を志す。アトピー性皮膚炎を研究し、治療や有効的な薬を見つけたいと思っている。

  • Y.I.さん高校1年生
    医師志望

    祖父が癌に罹患し、見つかったのが遅く手遅れの状態だったという出来事がきっかけとなり癌治療専門の医師を目指す。

  • H.E.さん高校1年生
    薬剤師志望

    母親が薬剤師。母親が働く姿を見て自身も薬剤師として働きたいと思うようになった。

Q.医療系探究講座に参加して、印象に残った話などはありますか。

  • 高2R.K.さん医師or研究者
    志望

    いくつか講座を受講したことがありますが、その中でも、今日の講演が一番響きました。医師は臨床だけでなく、研究などさまざまな仕事をしていることが分かり、これまで見えてなかった医師の姿があると感じました。

  • 高2A.M.さん医師志望

    5月の講座では「安楽死」がテーマでしたが、日本と外国との制度の違いなどを具体的に知ることができました。

  • 高1Y.I.さん医師志望

    今回の講座で、私はこれまで海外の方が、治療法や新しい薬の開発研究が進んでいると思っていたのですが、日本で最先端の治療法を確立し、それを海外の医師に伝えているということが分かり、とてもためになりました。

  • 高1H.E.さん薬剤師志望

    医療にはいろいろな役割と仕事がある、ということが分かりました。病院薬剤師は患者さんと関わることはあると思いますが、薬剤師はあまり深く関わらないというイメージがありました。しかし今回の講座の中でチームで治療するというお話を聞いて薬剤師も深く関わっていることが分かりました。

Q.講座を受講する前と後で自分の中で変わったと思うことはありますか。

  • 高2R.K.さん医師or研究者
    志望

    私は1年生から受講していますが、探究講座に出るようになり視野が広がったと思います。今までよりもより深く、医師になりたいと思うようになりました。またアトピー性皮膚炎の研究をしたいと思っていましたが、今日お話があったカテーテル治療のことも興味が出てきました。

  • 高2A.M.さん医師志望

    この講座を受講するようになり主体的に知ろうというきっかけになっていると思います。また私は蜂のアレルギーがあり、参加する前はアレルギーの研究とか、アナフィラキシーショックを押さえるためのエピペンの針が痛いので、針を細くする職業がいいなと思っていましたが、臨床医もいいなと思うようになりました。

  • 高1Y.I.さん医師志望

    小学校の頃は漠然と医師になりたいと思っていました。臨床と研究は分かれているものと思っていましたが、今回の話で、同時に頑張る道もあることが分かりました。

  • 高1H.E.さん薬剤師志望

    講座ではまだ薬剤師の方は来ていないのですが、これまでのお話で患者さんのそばで、医師をサポートしながら働くというのも良さそうだと思うようになりました。

Courses That Can Be Taken at Any Grade先生インタビュー

医療系を希望する生徒は成績関係なく受講できる講座に

探究講座の企画・運営を担当する進路指導部長・探究科主任の森先生に
医療系探究講座を開催するきっかけや、同講座にかける思いについてうかがいました。
森弘達先生
森弘達先生

Q.医療系探究講座を始めたきっかけを教えてください。

森先生

私が大妻中高に着任したのが4年前になります。そのときに当時の校長から、医療系に進学を希望する生徒が多いので学校としてサポートできないか、という相談を受けたのがきっかけです。開始した年はちょうど新型コロナで一斉休校、その後も休校と再開を繰り返すという状況でしたので、小論文指導と面接指導が中心でした。2年目以降は、受験対策としてではなくキャリア教育の意味も込めて、医師、看護師、薬剤師、研究者など、理系の生徒が希望すれば受講できるように、1年を通した通年講座にしました。

  • Q.受講した生徒たちについて、手応えを感じることはありますか。

    森先生

    今年は高校1年生が40名以上受講しており、かなりやる気がある、頑張っていこうという姿勢が見られますね。こうした医療系講座はメディカルコースなど成績優秀な生徒を対象にしている学校が多いと思います。でも本校では、成績は一切問わず、先着順で受け付けています。30年近く教員をしていますが、やる気に火がついて、頑張っていく決意をした生徒は結構伸びるという姿を何人も見てきました。やる気がある生徒がいればその思いを大事にしたい、さらに進路のサポートにつながればと思っています。

  • Q.最後に貴校を目指す受験生にメッセージをお願いします。

    森先生

    中学で学ぶことはその後の大学への入り口になります。やはり入り口のところで、基礎・基本をしっかり身につけて欲しいです。また本校は100年以上の歴史がある、いわゆる伝統校ではありますが、常に新しいこと、可能性のあることを取り入れています。新しい時代の学びを是非本校で見つけてください。

Event Informationイベント情報

  • 校内見学

    2023年9月9日・16日・30日/10月7日・28日/11月4日・11日・18日・24日(いずれも土曜日)

    9:45~10:30、10:45~11:30
  • 文化祭

    2023年9月23日(土) 13:30~16:00

    2023年9月24日(日) 9:00~15:00

  • 第5回学校説明会

    2023年10月29日(日)10:00~11:10

  • 入試説明会

    2023年10月29日(日) 14:00~15:20 ※後日、録画をWebサイトにて配信予定

  • 第6回学校説明会

    2023年11月23日(木) 10:30~11:40

編集後記

医療系探究講座では医学・医療系受験で必要な学習や準備について、生徒だけでなく、保護者も同席する講座や、医療系15大学を招いての合同説明会も開催し、大妻学院系列の中野、多摩、嵐山の生徒も参加する大きなイベントも開催します。
医療系の職種は女子生徒がもっとも注目し目指している職業です。希望する生徒たちの後押しをしたいという大妻中高の思いと、医療の道を目指す生徒たちの熱い思いが詰まった取り組みでした。

企画・編集:インターエデュ・ドットコム
提供・取材協力:大妻中学高等学校