大妻中学高等学校

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中高生だからこそ考えられる世界の平和 模擬国連で得る広く大きな学び 大妻中学高等学校

inter-edu’s eye

模擬国連という活動を聞いたことがあるでしょうか。近年、中高生の間で模擬国連に興味・関心を持ち積極的に参加する生徒が増えています。大妻中学高等学校(以下、大妻中高)でも模擬国連に積極的に生徒が参加しています。編集部では大妻中高、大妻多摩中高、大妻中野中高3校合同で開催された模擬国連の様子を取材。さらに会議の運営、進行でも活躍した同校の高校2年生にお話をうかがいました。模擬国連への参加によってどのような成長があるのでしょうか。

01 「SDGs弁当会議」開催!
国連大使になりきって議論

模擬国連は国連同様、参加者が各国の大使になりきり実際の国連の会議さながらに、さまざまな国際問題・課題について意見を交わし合います。
8月28日、会場となった大妻多摩中高には100名以上の生徒が集いました。初めて模擬国連に参加する生徒が多く、今回の開催は入門編という位置づけです。当日は半数ずつ、2つのグループに分かれて同じ議題を話し合います。議事の進行は模擬国連への参加経験豊かな大妻中高の高校2年生が務めました。
議題は「文化や国境を越えて、世界中の皆が幸せに食べられるSDGs弁当を考える」です。「採択されたSDGs弁当は自国で販売をしなくてはならないこと」、また「自国の食文化、農産物、畜産物をできる限り取り入れ、反映させること」ことをミッションとして、考案したお弁当で達成されるSDGsの取り組みについて議論を交わします。

同種類のお弁当を考案した国同士で集まって議論を重ねる大使たち
同種類のお弁当を考案した国同士で集まって議論を重ねる大使たち
1か国3分の持ち時間で発表
1か国3分の持ち時間で発表
緊張しながらも発表するオーストラリア大使の二人
緊張しながらも発表するオーストラリア大使の二人
モーションで一斉に自国のプラカードを掲げる。発議や決議の際にモーションを行うのも模擬国連の象徴的な動作
モーションで一斉に自国のプラカードを掲げる。発議や決議の際にモーションを行うのも模擬国連の象徴的な動作

生徒たちはこの日までに担当する国の歴史、環境、特産物、地政学的なアプローチも含めて考え、準備を進めてきました。発表では緊張する様子が見られたものの、採択に向けて意見を出し合う様子は活気に溢れていました。

02 模擬国連の参加は15回以上!
参加し続ける理由とは?

この会議でDirectorとChairを務めたお二人に話をうかがいました。二人とも英検は1級を取得しており、GLAP(英語取り出し授業)を選択。模擬国連への参加は練習会議も含めれば15回以上というベテランです。

R.S.さん(写真右) L.S.さん(写真右)

R.S.さん(写真右)

一般入試で大妻中高に入学。英語はインターナショナルアフタースクールに5年間通っていた。学校内で行われた模擬国連に興味を持ち参加したのがきっかけで継続。

L.S.さん(写真右)

小学4年生から6年生までアメリカに在住し、大妻中高には帰国生入試で入学。模擬国連には中学1年生から参加している。

模擬国連のどんなところに興味を持ったのでしょうか。

R.S.さん

R.S.さん

学校の授業は基本的に受動的なものですが、模擬国連ではディベート、双方向なやりとりができることに惹かれました。もともと国際的な問題に興味を持っていたので、議論し合えることに魅力を感じ参加しています。

L.S.さん

L.S.さん

私は人見知りな性格で、議論することが得意ではありませんでした。初めて参加した際は先輩がリードしてくださったのですが、あまり意見が言えずに終わってしまいました。それが悔しくて、もっとうまくディスカッションしたいと思い続けています。

議場を回りながら積極的に各国大使の意見を聞くR.S.さん
議場を回りながら積極的に各国大使の意見を聞くR.S.さん

今回は模擬国連の先輩として指導をしたそうですが、どんなことを皆さんにアドバイスしましたか。

R.S.さん

R.S.さん

初心者も多いと聞いていたので、楽しさが伝わるようにしたいと心がけました。例えば、モーションを出すことを積極的に促したり、議論することに自信を持ってもらえるように、ちょっと背中を押したりするようなそんな気持ちでアドバイスをしていました。

L.S.さん

L.S.さん

少しでも意見が言える機会があるとやりがいを感じられると思いますが、ペアで参加するとどちらかだけしか話せないということがあります。全員と話してもらえるよう、気になる他の国大使とも話してみたら? と促すなど、今後も続けようと思ってもらえるように、楽しんでもらいたいと思いました。

03 模擬国連で得た体験や学びは
将来の進路にも影響

参加する中で難しいこともあったと思いますが、どう乗り越えましたか。

R.S.さん

R.S.さん

二つあります。一つは発言。グループで話し合う場合、発言力の強い人がいる中で議論しないといけない時もあります。そのためにリサーチをしっかり行い、事前準備で自信をつけました。もう一つはリードです。とても難しいのですが、自国の意見を言うだけではなく他国の大使の話も聞き、共通点や対立点を意識しながら考えることで、リードできる大使になれたかなと思います。

L.S.さん

L.S.さん

私も同じようにこの二つは苦戦しました。模擬国連はグループで話すことが多く、少人数であれば良いのですが、10か国以上が集まる場では、自分から発言することができない期間が結構ありました。そこから踏み出すためにはやはりリサーチで自信をつける。心で負けないという感じです。また発言できなかった悔しさもバネになったと思います。

「うまくリードしたいと思っても、意見が対立するとヒートアップしてしまうので未だに模索中」と語るL.S.さん
「うまくリードしたいと思っても、意見が対立するとヒートアップしてしまうので未だに模索中」と語るL.S.さん

模擬国連に参加してどんな学びがありましたか

R.S.さん

R.S.さん

教育をテーマに発展途上国の大使で集まって話し合った際に、政策よりもまず支援が大事であることに気づき、意見を言ったところ、そこから議論を進んだことがありました。一番重要なところは何か、本質を常に考えることの大切さに気づきました。

R.S.さんは対立したときの打開策は押し切るのではなく、論理的に進めることを心がけている
R.S.さんは対立したときの打開策は押し切るのではなく、論理的に進めることを心がけている
L.S.さん

L.S.さん

参加するにあたって、担当する国のことを徹底的にリサーチしますが、その過程で国際問題がどんどん自分の問題になっていく。そうした主体的な学びの楽しさが、模擬国連を通して気づけたことだと思います。

模擬国連に参加したことによって将来の目標に影響はありましたか。

R.S.さん

R.S.さん

客観的な視点を活かし、自分で解決策を考えられるような職種につきたいと思っています。どの会議でも根本的なところは人権や医療が問題になっているので、医療コンサルタントとして世界の不平等をなくしていきたいという思いもあります。

L.S.さん

L.S.さん

主体的に学び、考える楽しさを知ったので、国際的な視野に立って発展途上国の問題解決にも取り組むようなことをしていきたいです。また、医療面についても興味があるのでWHOなど国際機関でも活躍できればと思っています。

04 模擬国連だからできる
中高生だからこそ変えられる世界

大妻中高で模擬国連を指導する主幹・グローバル教育部部長関孝平先生にもお話をうかがいました。

模擬国連参加することで、経験して欲しいことはなんでしょうか。

関先生

関先生

模擬国連はあくまでも模擬です。これで世界が変わるわけではない。しかし若い時に世界平和について話し合うことは生徒の心を豊かにするとともに、世界が一歩でも平和に近づくきっかけをつくれると思います。
本来、学びとはもっと大きく広いものです。授業で得られることは限られています。模擬国連を通して広い学びや、スキルを身につけてほしいと希望しています。

生徒と打ち合わせする関先生。みんなで世界を平和にしていこうという理念に賛同し模擬国連に取り組み、「生徒と一緒に世界平和作っていきたい」とのこと
生徒と打ち合わせする関先生。みんなで世界を平和にしていこうという理念に賛同し模擬国連に取り組み、「生徒と一緒に世界平和作っていきたい」とのこと

参加した生徒たちにはどのような成長が見られますか。

関先生

関先生

物事をさまざまな角度から見る力については、圧倒的に優れた成長が見られます。それができるからこそ、本質を見抜く力、課題を分析する力がつくのだと思います。もちろん英語力の向上も見られますが、若いうちから国際課題を自分事として関心が持てることはとても大きいと思います。

学生だからこその純粋な気持ちがあるからこそ解決策が生まれるように思います。

関先生

関先生

昨年12月の模擬国連では「国連防災世界会議」として開催しましたが、その中でR.S.さんを含め本校生徒2名が素晴らしい成果を出しました。3か月かけてリサーチし作成した60ページにものぼる議題解説書が高い評価を得て、国連防災機関(UNDDR)のホームページに紹介されたのです。彼女達の活動が認められた、これはすごいことです。
中高生だからこそ変えられる世界がある、その一つのアプローチが模擬国連です。これからも生徒とともに取り組んでいきたいと考えています。

編集後記録

ロシアのウクライナ侵攻が議題だった際、エストニア大使として参加したL.S.さんは、さまざまな視点で物事を見る大切さを知ったとのこと。また安保理改革の議題では、R.S.さんは南アフリカ大使となったことで、安保理におけるアフリカ諸国の不平等さに気づいたそうです。
多角的な視野で世界課題を考えている生徒たち。中高での学びは大学受験のためではなく、将来の社会に向けた準備という関先生の言葉に、大妻中高では授業だけでは得られない、広く大きな学びの場を大切にしていると感じました。

イベント情報

第6回学校説明会
2024年11月23日(土・祝) 10:30〜11:40 大妻講堂

第7回学校説明会
2024年12月15日(日) 10:30〜11:40 大妻講堂

校内見学
2025年1月11日・18日・25日(土)、2月22日(土)
9:45〜10:30 / 10:45〜11:30