inter-edu’s eye
国公立大学や難関私立大学への進学実績も年々上昇し、女子校として安定した人気を誇る大妻多摩中学高等学校(以下、大妻多摩)。卒業生の約4割が理系進学を果たす大妻多摩オリジナルの教育プログラム「Tsumatama SGL」の理数教育プログラムをピックアップして、その具体的な取り組みについてご紹介します。
大妻多摩の教育改革「Tsumatama SGL」とは
「Tsumatama SGL」の中でも、理数教育プログラムは自然や実験など、大妻多摩にしかない“本物に触れる体験”を通して、科学的探究心を育てるのが特徴。授業内容について、主幹(数学科・情報科)の松田武先生にお話をうかがいました。
主幹(数学科・情報科)の松田先生
理数教育プログラムでは、どのような授業をされているのでしょうか。
また、情報科では、プレゼンテーション能力・ITスキル向上のため、「YouTuberになろう」と題した動画制作をチーム制で行いました。教師側が想定していたのは、生徒自身が動画に出演することだったのですが、人形劇で動画制作をしたチームもいて、生徒たちの発想力に感心させられました。
理科に関しては、5つの理科実験室を活用した実験や観察はもちろん、高尾山にムササビ観察の校外学習に行くこともあります。フィールドワークや生活に密着した実験など、大妻多摩にしかない“本物”に触れるプログラムを充実させ、机上の知識だけでなく、自然科学と科学技術に対する知見を深めていきます。
ゆとりある先取り教育とは具体的にどういったことでしょうか。
松田先生中学1、2年生では、理数に苦手意識を持たせないようにするため、楽しみながら基礎学力を定着させることを目指します。数学科では、公立校と比べて単位数が多く設定されています。この結果、中学3年生終了時には、高校数学I・Aの約7割を習得しますが、進度だけを追求した授業ではありません。
豊富な授業時間数を活かし、学習状況のこまめなチェックや反復演習を繰り返すことで基礎学力を定着させていきます。先取り教育は大切ですが、積み残しのない基礎づくりを心がけています。
理数教育プログラムでは多くの実験や観察が行われているようですね。
松田先生より多くの実験や観察を生徒に体験させることにこだわっています。理科の実験や観察はもちろんですが、「数学探究」では、教室ではなく学内外で実際に実験をしながら、数学が身近なものに応用されていることを学びます。体験して実感することで理解を深めるだけでなく、さらなる科学的探究心につながると考えるからです。「数学探究」で学びの楽しさを知り、数学を好きになる生徒が増えました。
また、生徒にプレゼンテーションをさせる機会が多いのも大妻多摩の特徴の一つです。数学科では、グループ学習での学び合いや解き方の発表をしています。自分の意見を他者に伝えるために、論理的思考や表現力が育まれます。
授業を通じて生徒の成長を感じることはありますか。
松田先生もともと積極的に活動する生徒が多いですが、理数教育プログラムを通して自分を理解し、発信する力を育んでいるのを実感しますね。
例えば、人前で話すことが苦手な生徒が、プレゼンテーションを繰り返すことで積極的に自分の意見を発信できるようになることは多々あります。また、理数教育プログラムを通して探究心が育ち、国際教育プログラムでアフリカの女性の教育問題についてレポートを作成する生徒もいました。国内外で社会に貢献するために、自分はどうするべきかを考える力を着実に身につけています。
充実した学校生活を送り、将来の目標を描き始めている大妻多摩の生徒たち。実際に理数教育プログラムを通して理数教科の楽しさを実感している高校2年生の田倉さんと藤田さんにお話をうかがいました。
田倉さん(左) 藤田さん(右)
印象に残っている授業はありますか。
田倉さん中学2年生で取り組んだ「数学マラソン」が思い出深いです。自分で問題を解いていかないと先に進めないようになっていて、友達と順位を競い合いながらゴールを目指していく過程が楽しかったですね。自主課題だったので、やる気のある子が集まっていて、刺激を受けました。また、「数学マラソン」のおかげで難易度の高い問題にも抵抗なく取り組めるようになりました。
藤田さん「数学探究」で黄金比・白銀比について調べたことが面白かったです。校内の図書館に行って、本の表紙が黄金比なのか白銀比なのか、当てはまるものを探しました。ほかにも身近なものをいろいろと計測しましたが、人気のあるキャラクターなどはいずれかのものが多いことが分かり、数字や比率には大きな意味があると知ることができました。
授業を通しての気づきや学習の成果はありますか。
田倉さん数学は決まった答えがありますが、公式の応用で自分では思いつかなかった解き方があることを学びました。また、理数教育プログラムのおかげで、論理的に考え、道筋を立てて問題に取り組む力がついたと実感しています。
藤田さん私は生物がすごく好きで、先生方がモグラなど多摩地区に生息する動物を実際に見せてくださったり、豚の目を解剖する授業があったりと、本物の動物と触れ合える機会が多いことが楽しいです。そうした授業がきっかけで、助産師になりたいと将来の目標を具体的に考えるようになりました。
授業を通じて自分が変わったと感じることはありますか。
田倉さん論理的に考えることが身についたので、実生活でも「ここが弱いから重点的に復習しよう」など、筋道を立てて学習目標を立てることができるようになりました。また、みんなの前で発表する授業を繰り返してきたおかげで、人前で話すことが苦手だったのが、全く緊張しなくなりましたね。
藤田さん小学生の頃は算数が苦手でしたが、大妻多摩に入学したら、生徒が一致団結して頑張ろうとする校風があって、みんなに助けられたおかげで数学への苦手意識がなくなりました。先生方も質問に行くと必ず的確かつ丁寧に教えてくださるので、今では質問をすることに抵抗がなくなったというより、質問することが楽しみになっています。
受験生におすすめしたいお気に入りスポットを教えてください。
田倉さん校舎の設備が充実しているだけでなく、自然あふれるキャンパスが素晴らしいです。特に欅(けやき)並木を通ると毎朝、爽快な気分になれます。皆さんもぜひ実際にご覧になってください!
藤田さん図書館に併設されている自習室がお気に入りです。木を基調とした、吹き抜けで広々とした空間です。窓から見える多摩の自然は勉強の気分転換に最適ですよ。放課後や朝の自習でよく利用しています。
編集者から見たポイント
生徒たちが何を伝えたいのかということが、明確に伝わってくるインタビューでした。どう話せば自分の意図が伝わるかを常に考え、言葉を選ぶ生徒の姿に「Tsumatama SGL」が、確実に成果を出していることが分かりました。豊かな自然に囲まれた広大なキャンパスで、のびのびとお子さまを成長させたいご家庭は、説明会に参加されてはいかがでしょうか。
イベント日程
- 2021年10月8日(金)入試説明会(6年生対象)
- 2021年10月15日(金)第2回学校説明会(全学年対象)
- 2021年11月6日(土)中学生活体験日(3年生以上対象)
- 2021年11月20日(土)入試模擬体験①(6年生対象)
- 2021年12月1日(水)入試なんでも相談会※各20組限定!
詳しくは入試情報ページをご覧ください。
企画・編集:インターエデュ・ドットコム
提供・取材協力:大妻多摩中学高等学校
松田先生大妻多摩では、中高一貫教育の良さを活かして、中学1、2年生で学習習慣を身につけ、ゆとりある先取り教育を行います。そのため、数学科ではスタディサプリを開発している株式会社リクルートの協力の下、昨年から、予習や復習の活用方法を直接ご指導いただいています。また、到達度テストの結果に対して連動する課題を配信しているのですが、課題数に関してもアドバイスをいただきました。本校独自の授業である「数学探究」では、校舎に続く中央通りから校舎の先端までの角度を測定し、校舎の高さを調べる実験が生徒に好評でした。数学の教科書では、三角比の導入部分で出てくる話ですが、理屈や机上の計算だけではなく、広大な敷地を利用し実験してみることで科学的な好奇心をくすぐります。