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埼玉栄中学校(以下、埼玉栄)には2020年度に設立5年目を迎える医学クラスがあります。医学クラスで生徒は何を学び、先生はどんな想いを抱いて生徒と向き合っているのでしょうか。1期生の高校生と3期生の中学生、そして医学クラスの担任を務める先生にお話を聞きました。
医学クラスについて語ってくれたのは、4月から高2生になる大野賢弥くんと、中3生になる藤井風花さんです。
―――埼玉栄を受験した理由を教えてください
大野くん
医師を目指す専門のクラスがあることと、説明会に参加したりパンフレットを見たりして、埼玉栄には人の心を大切にしてくれる校風があると感じたからです。
藤井さん
私も医学クラスの存在が1番の理由です。また、説明会に参加したとき、きれいな校舎を見て「こういう学校で勉強できたらいいな」と思いました。
医師を目指そうと思ったきっかけ
5歳のとき、喫煙者の父親にタバコをやめてと伝えたら「医師になれば説得力がある」と言われたことがきっかけです。
―――入学して、医学クラスにはすぐなじめましたか
大野くん
僕は積極的に人と話すタイプではなかったけれど、周りの生徒はみんな親切で、どんどん話しかけてくれたので、すぐに打ち解けることができました。
藤井さん
最初はみんな緊張していたけれど、少しずつ話すことで何でも気軽に話せる間柄になっていました。クラスの雰囲気は明るいです。
―――担任の先生について教えてください
大野くん
担任は中1からずっと同じ先生なので気心が知れています。熱血漢で、医学部を目指すためのアドバイスをしてくれます。
藤井さん
私も中1のときから同じ先生が担任です。すごく面白くて、話しかけやすい先生です。
―――医学クラスのいいところは?
藤井さん
「大学訪問」があることです。毎年、大学の医学部を訪問する行事があります。中2で行った北里大学では、医学部に入るためにどんな勉強をしたかなど具体的なエピソードを大学生の方から聞きました。経験談から、医学部への合格がいかに難しいことなのか実感がわきました。
大野くん
大学訪問でいうと、高1では東京大学を2度も訪問することができました。教授や東大生から、AIと医療の融合についてや、医学部に進むために必要なことを教わり、すごく刺激を受けました。同時に現実の厳しさも知ることになりますが。
―――現実の厳しさを知り、医師を目指す気持ちは変化しましたか
大野くん
その想いは揺らぎません。高校生になり、大学受験から逆算して自分の立ち位置を考えたとき、まだ学力が足りないと感じ、担任の先生や親に相談してサポートしてもらいながら勉強に励んだところ、成績がずいぶん上がってきました。
藤井さん
同じ目標を持った仲間がクラスにいてくれるので、心強いし、些細なことでも相談できて、みんなで一緒にがんばろう!と思えます。
―――医学クラスに入ってよかったと感じていますか
藤井さん
はい。担任の先生は普段から医学に絡めた話をしてくれるので、勉強のモチベーションを維持できます。先日、テストでケアレスミスがあったとき、「医師なら『手術でケアレスミスをした』は許されない」と、ミスを軽く捉えてはいけないことを私たちに分かりやすく説明してくれました。
大野くん
学年が変わっても同じ先生や仲間と過ごせることは、僕にとって多くのメリットがありました。医学クラスに入学してよかったと思います。
医学クラスには、学年別のプログラムと中高合同で行うプログラムがあります。「大学訪問」は学年別のもので、帝京大、北里大、筑波大を訪れます。2019年度には、高1生が東大を訪問しました。
医学クラスについて、埼玉栄では「医師になりたい気持ちさえあれば受け入れてサポートする」というスタンスを貫いています。この方針の下、医学クラスの担任は基本的に持ち上がりで6年間生徒を指導します。2019年度、中3の医学クラスを受け持った宇野翔吾先生に、担任としての心構えをうかがいます。
―――どのようなことを意識して担任を務めていますか
生徒は医師になるという明確な夢を抱いています。そのゴールに向けて担任がレールを敷いてしまうと、レールの上に乗った生徒は考えることを止めてしまう恐れがある。ですから担任は、生徒が自ら考える環境を作り、彼らが決めたことを支援すべきだと思います。中学校の早い段階から医学部レベルを目指すのは大変ですから、生徒とは二者面談をして段階的な目標を決めています。
挨拶や礼儀など、人として当たり前のことができるよう指導することも忘れません。朝の学活では姿勢を正すよう声をかけています。
―――二者面談ではどんなことを話しますか
厳しい内容を話すこともあります。中3になっても勉強になかなか熱の入らない生徒がいたので、まめに声をかけたり、保護者の方とも電話で連絡を取り合ったりと、気にかけていました。1学期の二者面談で「このままだとこれから先は厳しい」と現状を伝えたところ、生徒は夏休み明けの外部模試で3教科のレベルを大幅にランクアップさせました。保護者の方からは、「夏休みの間、ものすごく勉強していました。先生のおかげです」と言っていただけて。二者面談では厳しいことを言いましたが、生徒が耳を傾け、自ら変わろうと努力したことがとてもうれしかったです。
―――大学訪問での生徒のようすを教えてください
北里大では、柔道部に所属しながら医学部に合格した大学生に質問する機会があり、部活動をしている生徒は勉強時間の捻出方法について熱心に聞いていました。ほかに、心臓マッサージをして蘇生したかが分かる機械など、さまざまな医療機器を実際に使うことができたので、生徒たちはとてもよろこんでいました。
筑波大では、大学院生に「数学Ⅲの内容は授業でいつ頃学び終えたか、復習や反復にはどのぐらい時間を費やしたか」といったことを質問していました。中3生で数Ⅲが医学部受験に必須であり、しかもその比重が大きいことも理解しているんだなと、教室では分からない生徒の一面を見ることができました。
―――埼玉栄の医学クラスの強みは何でしょうか
持ち上がりで生徒をサポートする熱意ある教師陣です。各学年の担任は、生徒の学力を上げるために各教科担当に声をかけ、また、自身が担当する教科で少しでも点数を上げられるよう奔走しています。
編集者から見たポイント
中学入試広報センター長の森山豊先生は、「埼玉栄は学校と家庭の距離が近く、担任が保護者に学校生活について電話で報告したりするのですが、とりわけ医学クラスは担任と保護者のやりとりが多いですね」と語っており、学校と家庭が連携して生徒をサポートしているようすがうかがえました。
そんな埼玉栄には、「医学クラスがあるから」と、埼玉はもちろん東京からも通う生徒がいるそうです。渋谷・新宿・池袋直通の電車で通える通学のメリットを実感するためにも、一度学校を訪れてみてはいかがでしょうか。
ミニアンケート
医学クラスにいる東京在住の生徒の割合は?
学校説明会
2020年5月9日(土) 10:00~
2020年6月20日(土) 10:00~
2020年7月11日(土) 10:00~体験学習会
2020年7月11日(土)11:00~
入試問題学習会
2020年11月14日(土)
2020年11月23日(月・祝)
2020年12月5日(土)
医師を目指そうと思ったきっかけ
母親が内科医で、物心付く頃には自分も医師になりたいと思っていました。人の命を救う仕事にあこがれました。