inter-edu’s eye
世田谷区にある目黒星美学園中学高等学校は、2023年度より共学化し、サレジアン国際学園世田谷中学高等学校(以下、サレジアン国際学園世田谷)として生まれ変わります。言語活用力や主体的に考える力、コミュニケーション力や数学・科学リテラシーを養いながら心の教育にも力を注ぎ、21世紀に活躍できる人材“世界市民力”の育成を目指します。
サレジアン国際学園世田谷は「本科クラス」と新設の「インターナショナルクラス」の2クラス制。全教科でPBL(Problem Based Learning)型学習を、クラスごとに週2コマの独自授業を行います。各クラスの学びについて先生方にうかがいます。
クラス目標は「熱く探究する生徒の育成」。そんな本科クラスの独自授業は、自ら設定した研究課題に取り組む「ゼミ」です。本科指導部長の市橋朋之先生に詳しくうかがいます。

本科クラスのゼミはどのように行われますか。
市橋先生
3つの領域に複数のゼミを開講し、生徒は中学2年次からどこかのゼミに所属します。3つの領域は「自然科学」「人文社会科学」「数理情報プログラミング」です。
各領域での研究内容を教えてください。
市橋先生
例えば自然科学では宇宙規模のものや、反対にマクロやミクロの話題が研究内容になります。
人文社会科学は経済・経営がテーマ。「売れ残ってしまう自動販売機の商品を売るためにはどうするか」といった問題に対し、市場調査などさまざまなアプローチで解決策を考えます。
数理情報プログラミングは「プログラミングと3Dプリンタで平面の作品を立体にする」など、表現やクリエイティブに関する内容になります。

中学2年次にゼミに所属して、どのように研究を深めていくのですか。
市橋先生
中1から高2までを「プレゼミ」「ゼミ」「ゼミEX」の3段階に分けます。中1はプレゼミに所属。3つの領域のゼミを模擬体験して自分が興味や関心を持てるものを探しながら、並行してプレゼン方法や記録の取り方、図書館での資料の探し方を学びます。中2、3でゼミに所属して研究を進め、高1、2のゼミEXでは学校を飛び出して外部団体の研究会に所属したり、外部の論文コンテストやポスターセッションに参加したりします。

貴校のPBL型授業にはどんな特徴がありますか。
市橋先生
PBL型授業は、正解が必ずしも一つではないものに対して生徒が主体的に考え、データなどから論理的に答えを導き出す学習方法です。本校では、教員が生徒の学習意欲を刺激するトリガークエスチョンを投げかけていきます。

どのようなトリガークエスチョンが登場するのでしょうか。
市橋先生
高校生の日本史の授業では、江戸時代のある藩の財政状況が分かる資料を提示して、「あなたなら江戸時代のどんな手法を用いて、どのように藩の財政を立て直しますか」と問いかけました。生徒は教科書や資料を読み込んで解決策を考えていましたよ。なお、この問いに似た問題が大学の一般入試で出題されています。このように、本科では大学入試も意識しながら論理的に思考する力を鍛えていきます。

本科クラスで生徒はどのように成長していきますか。
市橋先生
主体的に考えるPBL型授業とゼミを通して生徒は自分自身を理解し、何がしたくてどんなキャリアを築きたいのか決断できるようになるでしょう。つまり“自己決定できる人間”になります。また、英語は高校卒業時に英検準1級レベルに到達することを想定しています。
クラス目標を「グローバルに活躍できる生徒の育成」とするインターナショナルクラスの独自授業は「サレジアン・アカデミック・プログラム(以下、SAP)」です。インターナショナル指導部長の上田かおり先生と、インターナショナルティーチャーのウォンアンソニー先生にうかがいます。

インターナショナルクラスについて教えてください。
上田先生
多様な価値観のなかで国際感覚を磨くクラスです。本科との大きな違いは2つあります。一つはネイティブの「インターナショナルティーチャー」が担任を務めること。多くの学校ではネイティブ教員は英語の授業だけ参加しますが、インターナショナルクラスではホームルームや掃除も生徒と一緒に行い、深く関わります。もう一つは英語力でクラスを二分すること。中学入学時の英語力を問わず、しかし学びに意欲的な生徒が集まる「スタンダード」と、帰国生がメインとなる「アドバンスト」があります。

スタンダード | |
---|---|
対象 | 英語の学習歴に関係なく高い英語学習意欲のある生徒 |
ホームルーム | スタンダードとアドバンストの混合クラス 外国人教員が担任の役割をし、日本人教員が副担任の役割をする |
英語 | 日本語による授業に加えて外国人教員主導のチーム・ティーチング |
数学・理科・社会・国語 | 日本語による授業 |
その他の教科 | ホームルームクラスで実施 日本語による授業 |
アドバンスト | |
---|---|
対象 | 帰国生など高い英語力のある生徒 |
ホームルーム | スタンダードとアドバンストの混合クラス 外国人教員が担任の役割をし、日本人教員が副担任の役割をする |
英語・数学・理科・社会 | 各専門分野をもつ外国人教員のAll English授業 |
国語 | 日本語による授業 |
その他の教科 | ホームルームクラスで実施 日本語による授業 |
英語の授業だけ別々に受けるのでしょうか。
上田先生
英国数理社5教科を別々に受けます。アドバンストでは、国語を除く英数理社をインターナショナルティーチャーによるオールイングリッシュで行います。すでに身につけている英語力をさらに伸ばしていき、将来的には海外大学への進学も視野に入れています。一方、実技・芸術科目とSAPはアドバンストとスタンダードは混合です。
SAPはどのような授業ですか。
上田先生
ライティング、スピーチ、プレゼンテーション、ディスカッション、ディベートなどの実践を通して、英語で思考し、世界に発信する力を養う授業です。バックグラウンドの違う個性的なクラスメイトから刺激を受け、英語で探究することができるため、世界で活躍できる力を身につけていくことができます。英語に触れる機会を多く求めるスタンダードの生徒にとって、非常に刺激的な時間になるはず。SAPはオールイングリッシュの授業ですが、入学直後はスタンダードの生徒の英語力を考慮して進めていくのでご安心ください。


帰国生ではない生徒は、どのように英語を学ぶのでしょうか。
上田先生
本科は週8コマの英語授業のうち、5コマは「NEW TREASURE」という日本のテキストを使い、3コマは海外のテキストを使います。一方、インターナショナルクラスでは英語の授業が週10コマあり、そのうち2コマでSAPを実施します。スタンダードは残り8コマで海外のテキストを使い、文法は日本語を交えますが、ほぼオールイングリッシュで行います。

英語科のインターナショナルティーチャーとして、ウォン先生はどんなことを意識して授業を行いますか。
ウォン先生
言葉だけでなくイントネーションやジェスチャー、声の大きさや表情、そして会話の間までワンパッケージで、相手が伝えたいことを総合的に理解できるように教えています。「Oh,really」一つとっても、感心しているのか、疑っているのかでイントネーションや表情は変わりますよね。そこで“雰囲気を読むスキル”が必要になるんです。日本では相手の話を聞くとき、リアクションをせず、静かに頷いていても失礼にはなりませんが、英語圏では相手が黙って話を聞いていると「大丈夫かな、もしかして具合が悪いのかな?」と感じます。
英語を1から学ぶ生徒が、英語圏の人々と普通にコミュニケーションをとれるようにする。そのために、私が出す雰囲気を生徒が理解できるようになるまで同じことを何度も繰り返して伝えます。

「英語を話せるようになる」と「英語圏でコミュニケーションをとれるようになる」では、求められるスキルに大きな違いがありますね。
上田先生
生徒は中学3年間で英語圏に渡っても困らない英語力を身につけます。高校生になったらターム留学や長期留学をするも良し、国内外の大学受験対策をするも良し、というスタンスです。高校卒業時の到達レベルは、スタンダードは英検準1級以上、アドバンストはCEFRのC1、C2を想定しています。
受験生が気になる情報をピックアップします。
学園カラーのブルーを基調にしたデザイン。女子はスカートとスラックスを選ぶことができます。


多くの運動部・文化部が中高合同で活動します。
運動部 | 文化部 |
---|---|
バスケットボール(男女)、女子バレーボール、卓球(男女)、ダンス(男女)、硬式テニス(男女) ※新設予定:男子サッカー、陸上競技(男女) |
管弦楽部、合唱、演劇、美術、茶道(※)、書道、英語、軽音楽、サイエンス、クッキング ※新設予定:鉄道研究、囲碁将棋、eスポーツ ※茶道は課外活動です |
運動部 | バスケットボール(男女)、女子バレーボール、卓球(男女)、ダンス(男女)、硬式テニス(男女) ※新設予定:男子サッカー、陸上競技(男女) |
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文化部 | 管弦楽部、合唱、演劇、美術、茶道(※)、書道、英語、軽音楽、サイエンス、クッキング ※新設予定:鉄道研究、囲碁将棋、eスポーツ ※茶道は課外活動です |
校舎は砧公園に近く、都心でありながら緑豊かで閑静な環境にあります。
帰国生入試
試験日 | 2022年11月13日(日) | 2022年12月11日(日) | 2023年1月8日(日) |
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区分 | 第1回入試 | 第2回入試 | 第3回入試 |
受験科目 | 本科・インターナショナル【Standard】 2科 国語・算数 |
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インターナショナル【Advanced】 英語(筆記)・英語(エッセイ)、面接(日本語・英語)、CEFR B1以上で英語の筆記試験免除 |
試験日 | ||
---|---|---|
2022年11月13日(日) | 2022年12月11日(日) | 2023年1月8日(日) |
区分 | ||
第1回入試 | 第2回入試 | 第3回入試 |
受験科目 | ||
本科・インターナショナル【Standard】 2科 国語・算数 |
||
インターナショナル【Advanced】 英語(筆記)・英語(エッセイ)、面接(日本語・英語)、CEFR B1以上で英語の筆記試験免除 |
一般入試
試験日 | 2023年2月1日(水) | 2023年2月2日(木) | |
---|---|---|---|
区分 | 第1回〈午前〉 | 第1回〈午後〉 | 第2回 特待生入試〈午後〉 |
学力試験 | 本科・インターナショナル【Standard】 2科 国語・算数 または4科 国語・算数・理科・社会 |
本科・インターナショナル【Standard】 4科 国語・算数・理科・社会 |
|
インターナショナル【Advanced】 英語(筆記)・英語(エッセイ) ※1 CEFR B1以上で英語の筆記試験免除 |
インターナショナル【Advanced】 英語(筆記)・英語(エッセイ) |
試験日 | 2023年2月3日(金) | 2023年2月5日(日) |
---|---|---|
区分 | 第3回 21世紀型入試 自由選択2科入試〈午後〉 |
第4回〈午前〉 |
学力試験 | 本科・インターナショナル 【Standard】 1科 思考力問題 2科 国語・算数・理科・社会の 4科から自由に2科を選択 |
本科・インターナショナル 【Standard】 4科 国語・算数・理科・社会 |
インターナショナル【Advanced】 英語(筆記)・英語(エッセイ) ※2 CEFR B1以上で英語の筆記試験免除 |
試験日 | ||
---|---|---|
2023年2月1日(水) | 2023年2月2日(木) | |
区分 | ||
第1回〈午前〉 | 第1回〈午後〉 | 第2回 特待生入試〈午後〉 |
学力試験 | ||
本科・インターナショナル【Standard】 2科 国語・算数 または4科 国語・算数・理科・社会 |
本科・インターナショナル【Standard】 4科 国語・算数・理科・社会 |
|
インターナショナル【Advanced】 英語(筆記)・英語(エッセイ) ※1 CEFR B1以上で英語の筆記試験免除 |
インターナショナル【Advanced】 英語(筆記)・英語(エッセイ) |
試験日 | |
---|---|
2023年2月3日(金) | 2023年2月5日(日) |
区分 | |
第3回 21世紀型入試 自由選択2科入試〈午後〉 |
第4回〈午前〉 |
学力試験 | |
本科・インターナショナル 【Standard】 1科 思考力問題 2科 国語・算数・理科・社会の 4科から自由に2科を選択 |
本科・インターナショナル 【Standard】 4科 国語・算数・理科・社会 |
インターナショナル【Advanced】 英語(筆記)・英語(エッセイ) ※2 CEFR B1以上で英語の筆記試験免除 |
編集後記
北区にある姉妹校・サレジアン国際学園中学校高等学校は、1年早く2022年度にインターナショナルクラスを新設。上田先生が同クラスの授業を4月に見学したところ、スタンダードの中1生がインターナショナルティーチャーの指示をほぼ理解し、積極的に発言していたそうです。夏にはオープンスクールが開催されるので、足を運んで本科クラスとインターナショナルクラスの授業を体験してみてください。
イベント名 | 日時 |
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帰国生対象学校説明会 | 2022年7月30日(土) |
オープンスクール | 2022年8月27日(土) |
学園祭 | 2022年9月18日(日)、19日(月・祝) |
第3回学校説明会 | 2022年10月29日(土) |
第1回入試説明会 | 2022年11月19日(土) |
第2回入試説明会 | 2022年12月24日(土) |
入試直前説明会 | 2023年1月14日(土) |
先生イチオシのイベント!
帰国生対象学校説明会
ウォン先生
説明会の後に校内見学ができます。学校はとてもきれいで、理科室など専門教室が豊富。ぜひ見に来てください。
オープンスクール
市橋先生
5教科のPBL型授業を実施。好きな教科1、2コマを選択して体験できます!
上田先生
アドバンストとインターナショナルの体験授業があるので、両クラスの雰囲気を体感できます。