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著名デザイナーによる新制服を採用するなど、学校の姿が大きく変わりつつある青稜中学校・高等学校(以下、青稜)。教育活動に関しても、従来の枠組みに囚われない試みをスタートしています。今回は、その一つとして、教科の垣根を超えた個性豊かな14講座の特別授業「ゼミナール」を特集。アクティブな教育内容・学校環境に触発されて、生徒が立ち上げた「SDGs部」についても合わせてお話をうかがいました。
ゼミナールは月曜日午後の6・7時間目。対象者は中学2〜3年生で、ランチ休憩を終えて開講を待つ間、みんな好奇心からワクワクした表情を浮かべています。それもそのはず、全14講座の中から自分で選択した特色豊かな講座が待っているからです。
別の教室に移ると、なんと漫画が描かれた紙にハサミを入れている生徒たちの姿が。こちらの講座は「多様なメディアによる『物語』を読み解く~絵巻からアニメ・映画へ~」。さまざまな視覚表現を分析し、そこに込められた社会的なメッセージを読み解く力を培うことを目標にしています。
この日は、市販されている漫画作品から5コマを切り出して、オリジナルの漫画作品をつくることがテーマ。生徒からは「漫画を読むのは簡単だけど、自分でつくろうとすると本当に難しい」といった声が上がっていました。
「SDGs」から「漫画」までを扱う青稜のゼミナール。このほかの講座も文学作品を考察する「芥川賞を読む」、気象学を学ぶ「目指せ!お天気お姉さん・お兄さん!」などバラエティーに富んでいます。そんな青稜のゼミナールに生徒たちはどのような思いで取り組んでいるのでしょうか。中学3年生の3人に聞きました。
紀伊璃音さん 足立琴音さん
受講講座:「多様なメディアによる『物語』を
読み解く~絵巻からアニメ・映画へ~」
西田颯杜さん
受講講座:「今から学べる高校数学の基礎」
ゼミナールではどのようなことに取り組んでいますか。
ゼミナールではどのようなことに取り組んでいますか。
紀伊
さん
私は写真撮影が趣味で、写真について学べることに惹かれて選択しました。でも、他ジャンルの作品からも表現技法を学んで役立てています。ほかにも写真が好きな生徒がいて、コンクールに一緒に応募したときは、自分の世界が広がったと思いました。
足立
さん
さまざまな作品を詳しく分析しながら表現技法を学び、自分のイラストに活かしています。私がいるゼミナールは創作をしている生徒が多くて、生徒同士で時間を共有できるのがすごく楽しいです。
西田
さん
数学のゼミナールは普段の授業とはタイプの違う、もっと考えさせる問題が出ることが多いです。たとえば、「クラスに誕生日が同じ人がいる確率を求めよ」という問題がありましたね。前半の1時間はずっとグループを組んで、みんなで悩む時間です。友だちが早く解けたりすると悔しくて、自分が案外負けず嫌いなんだと気づきました。
生徒が興味のあることを突き詰めることのできるゼミナール。その指導のウラにある思いについて、谷田貴之先生にうかがいました。
ゼミナールにはどのように取り組んできましたか。
谷田
先生
教科の枠組みを超えて生徒が主体的に自由に学ぶ機会をつくることを目標に2020年度にスタートしました。生徒から思った以上の反響があり、今では生徒の希望に合わせて教員が講座内容を決めるといった双方向の学びの場になりつつあります。
ゼミナールの指導をするときに大切にして
いることを教えてください。
谷田
先生
何かのために学ぶのではなく、学ぶこと自体を、まずは楽しんでほしい」という思いで指導しています。ゼミナールは大学受験や学力向上を目指す場というよりも、何より自分だけの好奇心を大切にする場です。生徒一人ひとりに、糧になる学びを経験してほしいです。
生徒の主体性を重視する青稜の教育。その影響を受けて、生徒発のユニークな動きも始まっています。今年誕生した「SDGs部」について、部長の高嶌伶さんにうかがいました。
「SDGs部」とはどのような部活動ですか。
髙嶌
さん
「社会の課題を知り、自分から行動を起こそう」という生徒が集まる部活動です。ミャンマー支援のための募金活動、ヤングケアラーの実態調査、フードロス削減を目指す商品開発、障害者就労支援の現場への参加、子ども食堂の運営手伝いといった活動をグループに分かれて行っています。部員数は今年9月で中高合わせて40人を超えました。
「SDGs部」立ち上げの経緯を教えてください。
髙嶌
さん
去年、中学3年生の論文の課題に取り組み、Black Lives Matter運動や海洋プラスチックごみ問題に関して若い世代が活動していることを知り、影響を受けたことがきっかけでした。最初は環境保全を行う同好会をつくろうと思って企画を出したのですが、校長の青田先生が顧問として参加してくれることになり部活動として運営しています。
SDGs部の活動をするモチベーションは何ですか。
髙嶌
さん
自分たちで活動内容を決めているので、自然と一生懸命になれますね。ボランティアも楽しみながら取り組んでいます。学校の外でたくさんの人と出会ったり、非日常的なことをしたりするのはかけがえのない経験です。
最後に青稜の魅力を教えてください。
髙嶌
さん
青稜は生徒のやりたいことを叶えてくれる学校です。部活動立ち上げについても、サポートしてくれましたし、校則も生徒と先生で話し合って変わることもありましたし、ちゃんと意志を反映してくれるところがほかの学校にはなかなかない長所だと思います。
学校の在り方を大きく変えようとする青稜。その背景には「挑戦」を重視する校風と理念があります。先生方は失敗を恐れず、自ら進んで新しい教育活動を打ち出し、生徒はお互いの考え方や個性を尊重しあうという理想的な環境です。先の見通せない時代に、未来志向の青稜は輝きを増していくでしょう。
- 【第1回】一般入試
-
■試験日時 2022年2月1日(火)
A
8:30~10:40(2教科)
8:30~12:00(4教科)B
14:30~16:40(2教科)
14:30~18:00(4教科) - ■試験科目
A.B共に
2教科(国語・算数)
4教科(国語・算数・理科・社会)
を選択(どちらも面接はありません。) - ■出願期間
1月10日(月)9:00~1月31日(月)24:00
- 海外帰国生入試
- ■試験日時 2022年1月4日(火)8:30~
- ■試験科目
国語・算数(希望者は英語を追加可)面接 - ■出願期間
2021年12月13日(月)9:00~
12月24日(金)24:00
企画・編集:インターエデュ・ドットコム
提供・取材協力:青稜中学校・高等学校
大教室で開講される最大規模の講座は「2030~未来への挑戦~」。ご担当の先生は、なんと校長の青田泰明先生!世界中の国々がより良い社会の指針として掲げる目標「SDGs」をキーワードに、生徒たちがすべきことを考えるという内容です。CSR活動に熱心な企業からゲスト講師を招いて授業を展開しています。
インターエデュがお邪魔した9月13日は大手菓子メーカーのグリコとのコラボ授業。「商品の包装ごみを捨てるごみ箱」をテーマに、生徒が議論を重ねながらアイデアを練り、講師から実現可能性も踏まえてアドバイスをいただくというものでした。
生徒が考えたアイデアは、「包装の紙とプラスチックをしっかりと分別できる仕掛けがある」と評価されたものや、
「ディスプレイがついていて、ちゃんと分別しないと生き物のキャラクターの泣き顔が映し出されるもの」などバラエティーに富んでいました。教科書を使った授業にはない熱気に満ちた授業でした。