掲載日:
inter-edu’s eye
伝統ある女子校、白百合学園中学高等学校(以下、白百合学園)には、ミッション校としての宗教教育や、英語と仏語を学ぶ外国語教育などの特徴があります。こうした特徴がある中で、生徒の5割近くが、理系の進路を選択していることを皆さんはご存知でしょうか? あまり知られていませんが、白百合学園の理科教育には実験がふんだんに盛り込まれています。
皆さんの知らない白百合学園の実験授業に潜入取材してきました。
中学校の3年間で100回以上行われる実験のうち、中学1年生の実験「気体の発生方法(酸素・二酸化炭素)」に潜入取材しました。
気体の発生実験
実験例
チョーク(主成分:炭酸カルシウム)に食酢を加えて二酸化炭素を発生させる。
発生した二酸化炭素を、BTB液を垂らした水に通し、色の変化を観察。
「ごきげんよう」で始まった理科の授業。授業の始めには、先生の実演と説明があります。生徒は実演を間近で見ようと積極的に先生の実験台を囲み、先生が手にしたマグネシウムリボンが発火して明るい光を放つと、目の前で起こる化学反応に大盛り上がり。
続いて、生徒は班に分かれて実験を開始します。進行具合は班によってさまざまで、発生した気体を試験管にうまく集められなかった班は、時間の許す限り再度チャレンジ。自ら行う実験は楽しさが倍増するようで、成功の喜びを分かち合う声が各実験台から聞こえてきました。
1時限の中で、複数の実験をやり切り、丁寧にレポートをまとめ、片付けまでをすませた生徒たち。各班の生徒たちは終始、協力して作業する姿勢を崩しませんでした。
先生に聞きました!
生徒は中学受験の勉強をして知識は豊富でも、例えば、水上置換では試験管を立てないと気体は集まらないなど、実際にやらせてみないと気づけないことは多くあります。ですから、実験を通して体感することで、しっかりと理解させるようにしています。
生徒が“理科は身近なもので面白い”と思えるよう、実験道具にはチョークやお酢など、なるべく生活に身近なものを利用します。授業をしていると、興味をもってくれていると感じますね。
そういった取り組みが、生徒たちの学習意欲に反映されているのですね。実験を通して学んでほしいことはありますか。
実験を通して、知識や技術的なことのほかにも、仲間と協力することの大切さを学んでほしいですね。そして、どうしたらもっと安全に効率よくできるかということを考えることで、生活に必要な力を磨いていってほしいです。片付けを終えるまでが実験なので、生徒は実験からいろいろなことを学んでいるのではないでしょうか。
学園でどのように成長していってほしいですか。
本校の生徒におとなしい印象をもっている方もいらっしゃるかもしれませんが、実際には活発で皆積極的に取り組む生徒が多いです。白百合学園で好きなこと・興味のあることをたくさん見つけて、これだと思うことを自分自身で選択できる人になってほしいですね。
実験に参加した中学1年生の3人に話を聞きました。
インタビューに答えてくれた3人!
白百合学園に入学した理由を教えてください。
初めて訪れた学園祭で、先輩方が学校について丁寧に教えてくださり、「ここにおいでよ!」と、ほかのどの学校より積極的に誘ってくださったので、いいなと思いました。
英国から帰国して学校見学に参加したとき、校内の穏やかな雰囲気と、生徒の仲がよさそうなところが通っていた学校と似ていると感じて、入学を決めました。小学校と同じように、仏語の授業があったことも好条件でした。
私は白百合学園小出身です。「中学から入学してくる方たちは頭がよくて、ツンツンしているのかも」と不安に思っていたのですが、実際はみんな優しく、入学式のときから「友達になろうよ!」と声をかけてくれました。
入学して3日くらいで、クラスのみんなと打ち解けられましたね。
今日の授業では協力して実験を進めていましたね。白百合学園の理科はどのようなところがよいと思いますか。
各班のペースで実験を進めさせてくれるところです。失敗しても、また挑戦させてくれるので、成功したときの達成感はとても大きいです。
小学生の頃は理科が苦手でしたが、実験は好きでした。今は実験が多く、理科の勉強が楽しいです。
実験後に提出するレポートは先生のチェックが厳しく、顕微鏡を使った実験のレポートでは、必ず倍率を書くなどの決まりがあり、間違えると再提出になることがあります。日本語の表現方法も添削していただけるので、理科だけでなく、国語力も身についていると実感します。
有意義な授業ですね。ほかにも白百合学園の好きなところはありますか。
勉強と部活を両立できるところです。私はバレー部ですが、定期試験前には練習をしないので、安心して勉強できます。今後は、バレー部が強くて有名になるよう頑張ります!
制服がかわいいところと、学年を超えた縦のつながりが強いところが魅力です。生徒会役員なので、高校生から学びながら、今後も学校を盛り立てたいです。
生徒の自主性を重んじる校風です。私の所属する文芸部は部員が少ないのですが、先生は好きなように活動させてくださいます。だからこれからも、もっとやりたいことを実現していきたいです。
メッセージ
お嬢様学校のイメージがあると思いますが、元気な生徒がたくさんいます。面白い授業も多いですし、勉強と部活で充実した時間を過ごせる学校です。ぜひ、来てください!
白百合学園では実際に中学生が行う観察や実験授業を小学生でも分かりやすく体験できる体験学習会を行っています。
生物植物のからだを見てみよう
- 葉脈標本作り
- ペーパークロマトグラフィー(光合成色素の分離)
「葉脈標本作りを家でもやってみたい」とお家でもできる方法を質問するお母さまも。親子とも興味深く授業を受けていました。
化学さまざまな気体の性質を調べよう
- 身近な物質から二酸化炭素を発生させ、性質を調べる
- アンモニアの噴水
- ゆで卵を使った大気圧の実験
潜入取材した授業に近い授業も体験できます。参加した親子からは、「説明が分かりやすかった」、「在校生がよく面倒を見てくれた」との意見が多く、在校生のサポートを受けながら、楽しく実験できたようです。
地学火山灰の観察と化石探し
- 実体顕微鏡を使い、火山灰を作っている鉱物を調べる
- 木の葉化石園の化石原石を割って化石を探し出し、観察する
化石探しについて、「話ではよく聞くが、実際に体験できてよかった」と実験の楽しさを体感したようすで、探し出した化石もおみやげに持ち帰ることができました。
白百合学園より
毎年、小学生も保護者の方も本当に興味をもって、楽しんで参加してくださっています。受験のきっかけに「体験学習会の理科の実験が楽しかったから」というお声もあります。今年も充実した体験学習会を開きますので、ぜひ学園へいらしてくださいね。
体験学習会のご案内
2018年6月23日(土)
10:00〜11:30/13:30〜15:00
編集者から見た
ポイント
実験が生活力・国語力の育成や、協調性も育む白百合学園の理科教育。これをよく理解し、貪欲に実験やレポート作成に挑む生徒たちの活気で実験室は満ちていました。イメージ以上の白百合学園を体感してみてはいかがでしょうか。
プログラム | 日程 | 時間 | 予約 |
---|---|---|---|
学校見学会 | 5月26日(土) | 9:00〜10:00 11:00〜12:00 13:30〜14:30 |
要予約 |
体験学習会 | 6月23日(土) | 10:00〜11:30 13:30〜15:00 |
要予約 |
学校説明会 | 6月30日(土) | 14:00〜15:30 | 要予約 |
海外帰国生説明会 | 7月7日(土) | 14:00〜15:30 | 要予約 |
学園祭 | 9月16日(日)・17日(月) | 9:00〜15:30 | 予約不要 |
見学した授業では、生徒がとても生き生きとしていました。なぜ白百合学園では実験を多く行うのでしょうか。