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一生の宝物になる経験を。東洋英和伝統の「野尻キャンプ」

inter-edu's eye

東洋英和女学院中学部・高等部(以下、東洋英和)では毎年夏になると、中学3年以上の有志生徒および卒業生たちによる5泊6日の「野尻キャンプ」が行われます。このキャンプは90年近く続く同校の伝統であり、在校生、卒業生の多くが参加を希望するという代表的な行事です。一体どんなキャンプなのでしょうか。キャンプ委員長を務めた今井亮仁先生と、参加した在校生と卒業生にお話をうかがいました。

参加希望者が殺到!「野尻キャンプ」とは

NOJIRI CAMP SITE

野尻
キャンプ
全景

夕方、
キャンプサイト
から望む
黒姫山

「野尻キャンプ」を開催する野尻キャンプサイト(長野県信濃町)は、野尻湖の最奥である静寂な入江に位置し、湖の向こうには黒姫山を望む自然豊かな場所にあります。キリスト教教育を支える教育方法として「野外教育」を重んじてきた同校にとって、野尻キャンプは伝統行事でもあると同時に、生徒たちの成長を促す重要な場ともなっています。参加する在校生は中学3年〜高校3年生約100人。参加生徒は“キャンパー”と呼ばれ、さらに卒業生有志による“リーダー”がキャンパーたちを指導します。共同生活を送る中、全力でプログラムに取り組んだ生徒たちは、「また野尻に帰りたい」と思えるほど、かけがえのない体験をしていくのです。

「野尻に帰る」生徒たち

キャンプ委員長を務めた今井亮仁先生(国語科)に野尻キャンプの魅力についてお話をうかがいました。
先生ご自身、野尻キャンプへの参加は通算で15回目とのことです。

今井先生

野尻キャンプは卒業生でもあるリーダーたちの情熱と愛情によって成り立っています。そうしたリーダーのもと、在校生たちも伸び伸びと楽しんでいました。学年の垣根を越えて仲間になれる、普段と違う自分になれるところがこのキャンプの魅力です。
野尻キャンプを体験した生徒たちはみな、「野尻に行く」ではなく、「野尻に帰る」と言います。本校生徒にとって、もう一つの帰る場所がこの野尻キャンプとなっています。

野尻キャンプでは、オリジナルを含めた多くのキャンプソングが歌われます。今井先生は、「メインホールで肩を組んで“キャンプソング”を歌う生徒たちの姿が素晴らしい。そこで歌われた歌がすべて好き」とのこと。

メインホールにて。肩を組み歌うキャンパーとリーダー
メインホールにて。肩を組み歌うキャンパーとリーダー

本来の姿に戻った2023年の野尻キャンプ

2020年は新型コロナの影響で中止、翌年はコロナ禍ということもあり学校内で開催し、昨年は縮小開催、と思うような開催ができなかった3年間でしたが、ようやく今年、本来の日程で実施されました。大きな声でキャンプソングを思いっきり歌えるのも4年ぶりです。
毎日の礼拝のほか、水泳、ボート、ヨット、カヤック、カッターと野尻湖を満喫するプログラムや野外炊飯など生徒たちの結束力、実行力が試されるプログラムがぎっしり詰まった6日間となりました。

今回一番思い出に残ったことは?

今井先生とともに今夏の思い出深いプログラムを選んでいただきました。

山本咲希さん
山本咲希さん(リーダー)

国際基督教大学4年生

キャンプ参加回数
在校時は中学3年生から毎年参加(通算4回)。卒業後リーダーとして3回参加。

好きなキャンプソング
『キャンプで逢いましょう』。同曲内の「年下だけど憧れる君」という歌詞が、理想とする自身のあり方。

キャンプで逢いましょう
星野有香さん
星野有香さん(キャンパー)

高等部3年生

キャンプ参加回数
高等部1年生(野尻ではなく校内で開催)から毎年参加し今年3回目。

好きなキャンプソング
『がんがん』。小さな幸せを喜べるような歌詞が好き。

がんがん

山本さん

今年が最後の野尻キャンプでした(※)。私のほかに3人、今年で卒業するリーダーがいて、最終日のキャンプファイヤーでは私たち4年生のみでプログラムの最後を担当しました。
みんなで歌を歌い、私たちはキャンプファイヤーを背に、座っているキャンパーたちの間を歌いながら回っていくのですが、みんな涙を流しながら歌っている。
その姿は私たち4人しか見ることができなかった光景だったので、とても感動しました。
※卒業生の参加は大学4年生まで

キャンプファイヤー
キャンプファイヤー

星野さん

礼拝の説教で、チャプレン(牧師)が「伝えられなかった言葉を素直に言おう」というお話をして下さいました。その一つに「愛してるよ」という言葉があり、礼拝後から私を含めてみんながいつでもどこでも「愛してるよ」「かわいいよ」と声を掛け合うようになったことが印象的でした。普段、学校だったら伝えないような言葉でも、野尻キャンプだからこそ素直に言えたし、受け取ることが出来たのかなと思います。

キャンプを楽しむ生徒たち

今井先生

2日目のプログラムが思い出深いです。水泳やカヤックなどの野外活動を行う時間でしたが、天候が急変したため、リーダーたちの機転で、室内で全員が参加できるようなゲームを始めたのです。ぞうきんがけ競争やじゃんけん列車、ジェスチャー伝言ゲームなど、次々に企画が繰り出され、とても楽しい時間となりました。臨機応変な対応が大変良かったです。

キャンプファイヤー
その場でアイデアを出しあうリーダーたち
キャンプファイヤー
じゃんけん列車

2023年野尻キャンプ Photo Album

  • Photo Album 01
  • Photo Album 03
  • Photo Album 04
  • Photo Album 05
  • Photo Album 06
  • Photo Album 01
  • Photo Album 07
  • Photo Album 08
  • Photo Album 09
  • Photo Album 10
  • Photo Album 11
  • Photo Album 12
  • Photo Album 13
  • Photo Album 14

私が楽しいから野尻に帰る! 野尻キャンプだからできたこと

今夏のキャンプを終えた達成感は?

山本さん

3年間リーダーとして関わりましたが、今年、ようやく本来の活動ができることを前にして、自分自身何を楽しんでいたのか、野尻の何が好きで帰りたいと思っているのか、自問自答していました。でも、自分が楽しいから帰る、それをキャンパーたちに知ってもらうためにも、自分自身も楽しもうと吹っ切りました。楽しんでいるキャンパーたちを見て、100%達成できたと思います!

星野さん

とてもたくさんのプログラムがありますが、すべて全力でやりきろうと思っていました。全日程を終えてその目標を達成できた、と自信を持って言えます。選択プログラムの水泳では、隣の友人とタイミングを合わせて、広い湖の真ん中まで泳ぎましたし、キャビンデーはみんなで歌を歌いながら頑張って歩きました。6日目の朝、またみんなでリーダーとして帰ってこようねと誓い合いました。

今年で最後の野尻キャンプ。 リーダー4年生のみんなと
今年で最後の野尻キャンプ。
リーダー4年生のみんなと
3日目に行われたキャビンデーは野尻湖畔を半周ウォーキング。昼食中の星野さん
3日目に行われたキャビンデーは
野尻湖畔を半周ウォーキング。昼食中の星野さん

山本さん、星野さんにとっての野尻キャンプとは?

山本さん

「一生涯の縁を得られる場所」です。リーダー4年生の仲間とは中学3年から一緒でした。私は素を出すのが苦手なのですが、「そのままの咲希が大好きだよ」と言ってくれる仲間です。とても大事な縁をこれからも大切にして、また別の形でもいいので、これからももっと野尻に関わりたいと思っています。

星野さん

自分にとってもう一つの帰る場所でもあると同時に、「素直になれる場所」でもあります。
私は学校では高校生で、そして今年は受験生です。そういう立場や見え方、そしてそれに合わせた暮らし方などの縛りを取り払い、自分らしく生活できたのが野尻キャンプでした。

今井先生は、野尻キャンプを通してどのようなことを学んで欲しいですか。

今井先生

さまざまな体験を通して、「自分はこういう人間なんだ」と客観的に自分を捉えることができる良い機会になっていると思います。
そして仲間同士、心で交流できることを感じて欲しいと思っています。

編集後記

今井先生が語られたように、インタビュー中、卒業生も在校生も「野尻に帰る」と話していたのが印象的でした。高校3年生は受験勉強で大変な夏ですが、山本さんや星野さんのように、そんな中でも野尻に帰り、そしてまたリーダーとして帰りたいという生徒が多いそうです。
今このときしかできない体験ができる貴重な場であり、そんな時間を過ごせることがうらやましく感じた取材でした。

イベント日程

楓祭 2023年10月20日(金)・21日(土) 限定公開 受験希望者は予約制
学校説明会 2023年11月4日(土)
①10:00~ ②13:30~ ③15:30~
30分前から受付開始 各会約60分
全学年 予約制
入試説明会 2023年11月25日(土)
9:00~12:00
小学校6年生 予約制
クリスマス音楽会 2023年12月9日(土)
①13:00~ ②15:00~
全学年 予約制

企画・編集:インターエデュ・ドットコム
提供・取材協力:東洋英和女学院中学部・高等部