自覚を見据えて 上野学園が誇る探究プログラム

自覚を見据えて 上野学園が誇る探究プログラム

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「ひとり一つの楽器」など、独自の学びで生徒を育成している上野学園中学校・高等学校(以下、上野学園)では、多くの学校で実施している探究プログラムにおいても、上野学園らしさが色濃く滲んでいます。そこで今回は、探究プログラムの構築に尽力した竹澤陽介先生にインタビュー。さらに、在校生を代表して特進クラスの高1生3人にもお話をうかがいます。

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上野学園の探究プログラム <中学編>

解説してくださるのは、教務部主任で、全学年の探究プログラムに関わる竹澤先生です。

教務部主任で、全学年の探究プログラムに関わる竹澤先生

探究の狙い

上野学園には「人間としての自覚を持つ」という建学の精神があります。本校の探究では、他者と関わりながら目的に向かって考え、行動し、葛藤しながら成果を出すというプロセスを経て、生徒が自身を自覚していくことを大きな狙いとしています。

探究サイクル

中学では探究のサイクルを落とし込み、自分のものにすることが大きな課題となります。中1では疑問を持つことに重点を置いたフィールドワークを、中2では仮説の立て方を学びます。生徒が立てた仮説に「その仮説は思い込みでは?」「その仮説を立てた理由は?」と教員が厳しく追究。ここをクリアすると、調査方法を組み立て、発表することになります。

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高校生インタビュー <中3・卒業研究>

中学3年次には「卒業研究」に取り組み、生徒は自身の成長を自覚します。高1生3人は何を研究し、どのような成長を感じたのでしょうか。

インターエデュ(以下、エデュ):卒業研究のテーマを教えてください。

片山くん:僕のグループのテーマは「地方にはなぜ人が集まらないのか」です。地域振興に興味があったわけではなく、先生から提案されたことがきっかけです。

岩瀬さん:私は村上さんと2人で、「水族館の問題点」について調べました。理由は二人とも水族館が好きだったからです。

インタビューに答える片山くん
片山くん:将来の夢はゲームクリエイター。最近では、ゲームをしながら「このシーンはどうやって作るのか」と制作側のことを意識するようになったそう。

エデュ:興味があることを調べるチームがあれば、そうでないテーマに取り組むチームがあるのですね。

竹澤先生:片山くんは段階を経て考えることが得意な生徒だったので、「難しいけれど、このテーマはどう?」と提案しました。中学生に対しては、教師が狙いを持って課題を与えることがありますね。

エデュ:では、それぞれのテーマについて、どんな仮説を立て、調査していったのでしょう。

岩瀬さん・村上さん:葛西臨海水族館、すみだ水族館、新江ノ島水族館に足を運び、職員の方に話を聞きました。すると、冬は来場者が減少するという共通の課題が見つかったんです。そこで「冬に行きたい場所を水族館に取り入れれば来場者が増えるのではないか」という仮説を立てて、職員室で先生にアンケート調査を行いました。すると、行かない理由として「寒いイメージがあるから」という回答が多くあり、反対に冬に行きたい場所は温泉だと分かりました。このため、底がガラスの足湯を設置して、温まりながら魚を見えるようにしたらいいのではないかと発表しました。

卒業研究で「水族館の問題点」について取り組んだ村上さんと岩瀬さん
左、村上さん:将来の夢は某テーマパークのナースキャスト。
右、岩瀬さん:生徒会に所属。「将来は学芸員など歴史に関わる仕事に就きたい。一番好きなのは戦国時代です」。

片山くん:「東京五輪開催による宿泊先不足は、地方の民宿を活用することで解消するのではないか」という仮説を立てました。そして、解消するには地域を活性化させるため住人を増やす必要があると導き出しました。

エデュ:振り返って、気づいたことや感じたことはありますか。

片山くん:卒業研究には、フィールドワークでの経験が役に立ちました。疑問・仮説と続く思考サイクルが身につくと、順序よく道筋を立てられるようになります。

村上さん:フィールドワークや卒業研究では、いろいろな人に話しかける機会があります。私は人と話すことが苦手でしたが、探究プログラムを通して人見知りがなくなりました。

岩瀬さん:中3生になると、無意識に思考サイクルに沿った考え方ができるようになっていましたね。文化祭の準備では、仮説を考えて計画を立て、スムーズに進行できました。

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上野学園の探究プログラム <高校編>

高校では探究プログラムがどう発展していくのでしょうか。引き続き、竹澤先生が語ってくださいました。

高校3年間の流れ

1年次から1年半かけて自らを探究し、自身を構成する要素を可視化する「マインドマップ」を作成。並行して2年の1学期には、集団の中での立ち位置を客観視して考えます。この作業により、マインドマップがはっきりしたものになりますね。その後、大学に通う卒業生や地元で働く方と話をする機会を設けると、生徒には自分の進むべき道がだんだん見えてきます。夏休み前には分野別の9つのゼミのいずれかに所属し、ゼミの中でチームを作り、興味のあることについて2年の終わりまで探究します。高3では探究した内容を論文にして、大学受験で利用できる形にまとめます。

インタビューに答える竹澤先生

成長を実感するとき

高2生は同プログラムの1期生として、中1のときから段階を経て探究をしてきました。その彼らが「いま取り組んでいる探究が大学で学びたいことです」と話してくれています。こうして、やりたいことを自覚しているところに成長を感じますし、「これがやりたい」と生徒が決意した姿を見られることは、教師として幸せです。

中1Trip to Asakusaのようす
中1Trip to Asakusaのようす
フィールドワーク発表のようす
フィールドワーク発表のようす

編集者から見たポイント

“自覚”がキーワードになっている上野学園の探究プログラム。アクティブラーニングやプレゼンを行って終わりではなく、キャリア教育も兼ね備え、生徒が大きく成長できるプログラムだと感じ入り、「受験生に上野学園の探究の素晴らしさを伝えなければ!」という使命感に火が付きました。学校施設や近隣の環境を知ることもできるので、11月・12月に行われる中学校の説明会にぜひ参加してみてください。

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イベント日程

イベント名 日時
入試体験 2019年11月30日(土)
14:00~16:30
成長できる6年間
~未来の自分~
2019年12月7日(土)
10:00~12:00
上野学園の魅力と入試対策 2020年1月11日(土)
10:00~12:00
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