第45回 今見ておきたい大学入試改革の重要ポイント

inter-edu’s eye
「2020年大学入試改革」ですが、発表されてから時間もたち、内容も世間に情報が出てきつつあります。今回の大学リサーチでは、一体どういう情報が出ているのか、大学側はそれに対しどういう動きをとっているのか、そして受ける側はどういう対策をとっていけばいいのかをリサーチしてきました。

大学入試改革は英語がポイントに?

ポイントは英語

8月31日に文部科学省から発表されたのは、TOEFLや英検などの外部資格・検定試験を受験生が受け、その成績を「大学入学希望者学力評価テスト(仮称)」の一部として、大学の合否判定に使えるようにするというものです。

現在行われているセンター試験は、マークシート形式にリスニングテストを取り入れたもので、英語の力を測る、「聞く・話す・読む・書く」の4技能のうち「読む・聞く」の力しか測れないため、それを補う目的で導入するのが目標です。

実際に「話す・書く」を入れた4技能を測るには記述式や面接などが必要になり、採点の体制に課題があり、難しいと判断。将来的には「聞く・話す・読む・書く」の4技能すべてを民間試験で評価することを検討している、とも発表されています。

まだ検討段階ではありますが、もし導入されれば、大きな変化といえます。

大学の受け入れ体制も変わりつつある

受け入れ体制

次に、これらの改革を受け、大学がどう変わっていくのかを見ていきましょう。

先行している事例として、お茶の水女子大学では2017年度入試から現行のAO入試を大きく変えた「新フンボルト入試」というものを取り入れます。これは一次選考を兼ねるプレゼミナールと二次試験を、各々2日かけて行うという二段構えの、手間暇をかけたユニークな入試です。

まずプレゼミナールでAO受験者に大学の授業をじかに体験してもらい(受講を必須とします)、そこでのミニレポートや他の提出書類を評価して一次選考を行います。そして二次選考からは系統により入試内容が変わってきます。

文系学部は図書館入試

同大学附属図書館を舞台に、自在に文献や資料を駆使しつつ自分の論をじっくり練り上げ、またグループ討論や面接を通じて論理力や課題探求力、独創性などを評価します。

理系学部は実験室入試

各学科の専門性に即した実験や実験演示、データの分析等の課題を課したり、高校での学びを活かした課題研究発表などを行ってもらい、探求する力を見ます。

すでに行われている東大の推薦入試、京大の特色入試でも、センター試験での一定以上の点数とともに、面接、グループディスカッションや口頭試問を課しており、今までのような知識型だけではなく、知識応用型の選考も行なっています。

このように大学側も徐々にではありますが、2020年の大学入試改革を意識した入試スタイルを取り入れつつあります。

これから小中生が学ぶべき力とは?

小中高生

これからの大学入試は、これまでの「知識・技能」を問われていた暗記型から、「思考力・判断力・表現力」を求められる知識応用型へと変化していきます。当然、学ぶ内容や、学び方も変わっていきますが、その全容が見えていない分、はっきりとした勉強法が確立されているわけではありません。

ただ、先ほどご紹介した英語に関しては、「読む・聞く」能力だけでなく、「話す・書く」能力を求められるようなので、英語をひとつの科目として会得しているだけでなく、コミュニケーションツールとして使えるような学習が必要になってきます。そのためには学校での学習はもちろん、校外での学習も重要になってきます。

他教科に関しては、まだ具体化していないためはっきりとした勉強法について言及できませんが、参考にすべきであろうモデルとして、都立中高一貫校などで学力試験の代わりに行われている「適性検査」、そして主に私立中高一貫校で導入されている「適性検査型入試」が挙げられています。「大学入学希望者学力評価テスト(仮称)」では先述の通り、知識をいかに応用できるかを問う目的がありますが、それがまさに「適性検査」で問われている内容とイコールなのです。

もしお子さまが小学生であれば、2020年大学入試を意識したうえで、都立中高一貫校や私立中高一貫校の受験を経験しておくのも良い準備になるかもしれません。

今、教育業界で最も注目されていると言っても過言ではない、2020年大学入試改革。内容が確定されているわけではありませんが、エデュでも情報が発表され次第お伝えしていきます。

■参照サイト

お茶の水女子大学


中学受験・子育てをよりわかりやすくサポート!エデュナビはリニューアルいたしました!

エデュナビから皆さまへ

いつもエデュナビをご覧いただきありがとうございます。
この度「エデュナビ」は、リニューアルいたしました。

URLが変更になっているので、ブックマークやお気に入りの変更をお願いいたします。
これからも、皆さまの受験や子育てをサポートできるよう、コンテンツの充実とサービスの向上に努めてまいります。