新大学入試・現役合格に向けてやるべきこととは?

inter-edu’s eye
最後のセンター試験ということもあり、何かと話題の多かった2020年度の大学入試。新型コロナ肺炎の影響で、一部の国立大学で後期日程試験が中止となるなど、最後まで大きな混乱のままに終わりを告げようとしています。
そして、次の受験生である現・高校2年生も、その保護者の皆さまも、急に始まった長い春休みに戸惑い、また、自分たちが最初の受験生となる新大学入試の実施まで1年を切った今、さまざまな不安を感じていることでしょう。
そんなタイミングで、河合塾が「新大学入試 まるわかり講演会〜新入試を勝ち抜け! ここから始まる現役合格の道〜」という講演会を開催するということを聞きつけました。今回の大学リサーチでは、その模様をレポートし、新大学入試に向けての戦略についてお伝えします。

大学受験を知り尽くした専門家の知見が満載の講演会

この日は、午前と午後の2部構成で講演会が行われました。
この日は、午前と午後の2部構成で講演会が行われました。
開演25分前。すでに前方の席は埋まっていました。
開演25分前。すでに前方の席は埋まっていました。
各々の座席に用意されていたさまざまな資料。合わせると2cmほどの厚みに。
各々の座席に用意されていたさまざまな資料。合わせると2cmほどの厚みに。
時間となり、河合塾新宿校の進学アドバイザー・大崎さんの進行で講演会がスタートしました。

新型肺炎が猛威を振るうなかにもかかわらず、新大学入試に関する最新情報を得ようと、多くの中高生やその保護者が会場を訪れていました。

時間となり、河合塾新宿校の進学アドバイザー・大崎さんの進行で講演会がスタートしました。

新大学入試の大きな3つの変化とは?

今回の講演会の前半は、河合塾の首都圏現役生事業部、長谷川智彦さんによる「Part1 新大学入試の基礎知識」および「Part2 変わる入試に向けてやるべきポイント」です。

河合塾首都圏現役生事業部の長谷川智彦さん。
河合塾首都圏現役生事業部の長谷川智彦さん。

「Part1 新大学入試の基礎知識」の講演は、「そもそもなぜ大学入試が変わるのでしょうか?」という問いかけから始まりました。

その答えは、「変化する社会に対応するため」。そのことが、社会の変化の具体例を交えて解説されました。

続けて、新大学入試の大きな3つの変化−−「大学入学共通テスト」の導入、英語4技能評価の推進、個別試験のルール変更についても詳細な説明がなされます。

心強さを感じたのは、「出題内容が、思考力・判断力・表現力がより問われるようになるものの、本質的には皆さんが動揺するほど変わるわけではないのです」というお話。つまりは、今までの学習を確実に積み重ねていくことができれば、条件は皆同じで、新大学入試に向けて、何か新しく特別なことを始めるような必要はないということでした。

また、英語で4技能を測るために利用される各種検定試験について、それぞれの特徴と違いを再確認。

また、英語で4技能を測るために利用される各種検定試験について、それぞれの特徴と違いを再確認。

英語の民間試験には、TOEICやTOEFLに代表されるスコア型の検定と、英検やケンブリッジ英語検定などのように「○級」と一定基準への到達度を見る検定があります。また、それぞれのテストで大きく出題形式などが異なるので、同じ生徒が受検しても、結果に大きな幅が出るということも起こりえます。ですから、自分の場合はどの検定試験だと有利になるのか? どれが自分の力を表現しやすいテストなのか? をよく見極めた上で受験する必要があるのです。

新大学入試の出題内容については、「思考力・判断力・表現力」が重視されるようになるので、付け焼き刃で知識を身につけるだけでは太刀打ちが難しくなることが予想されるとのこと。よりしっかりとした準備が必要になるので、例え推薦入試を念頭において部活に力を入れていたとしても、高校1年生の段階から勉強しておくこと。まずは学校の授業の内容をしっかりと理解することに努め、取りこぼしをなくしましょう。

高3の春から本格的にエンジンをかけ、入試本番までにギリギリで遅れを取り戻して合格!というようなケースが毎年ありましたが、これからはそういったことは現実的ではなくなるだろうということでした。

新入試に向けて、やるべきポイントは3つ

続けて、「Part2 変わる入試に向けてやるべきポイント」の講演がスタートしました。

河合塾の考える、変わる入試に向けてやるべきポイントは3つ。
それは、

1 志望学部・大学を明確にする
2 大学入試の情報を収集する
3 「学力の3要素」を伸ばす

1つ目のポイント、志望学部・大学を明確にするためには、逆算スケジュールをもとにしたロードマップを意識する必要があります。

そのためにも、まずはきちんと目標を決めること。「自分がなぜこの大学に行きたいのか?」が明確で、しっかりとした目標を持てている方が勉強にも身が入るからです。

それには、単に難易度から「医学部へ」「法学部へ」というような学部選びではなく、興味から学問を選ぶことが大切で、「数学が苦手だから文系」のような消去法での進路選択はNG。

「このことを学びたいから、この大学のこの学部に行きたい!」という強い動機の方が、困難にあったときにも挫けずに勉強を続けられる力になるのです。

では、どのようにして行きたい学部を検討すれば良いのかというと、受験生自身の「興味」から学問を見つけ、情報収集をすることが大切。比較的時間のある高校1・2年生のうちから、オープンキャンパスなど大学で行われるイベントに参加しましょうということでした。長谷川さんは、「このとき、お子さんに嫌がられてもぜひ一緒に行ってください!」と保護者の方に向けて声を大きくしていました。

2つ目のポイント、大学入試の情報を収集するためには、情報サイトをしっかりと活用すること。河合塾の運営する「新入試Navi」や「Kei-Net」などが紹介されました。

3つ目のポイントは、「学力の3要素」を伸ばす。つまり、「思考力・判断力・表現力」を伸ばしていくということですが、そのためには次のような学習サイクルを意識するとよいということでした。

当日のレジュメをもとにインターエデュ 編集部で作成
当日のレジュメをもとにインターエデュ 編集部で作成

このサイクルをうまく回すためのオススメの方法の一つが模試を活用すること。学習スケジュールを立てる際にはうまく模試を組み込んでいくようにするとよいでしょう。

講演の最後には、各家庭でできることについてもお話が。環境面のサポートと家族で子どもの学部・大学選択に関わることの重要性についてふれていました。

環境面でのサポートは、まずなんと言っても生活リズムを整えさせること。ついつい夜型になってしまう高校生の生活を改められるのは家族だけです。早く起こしたり、スマートフォンの使い方を改善したりといったことが考えられます。

また、家族での会話も「学力の3要素」を伸ばす格好の材料になるとのことです。高校生にもなるとあまり親子・家族での会話は多くないかもしれませんが、家族で食卓を囲みながら「今日はどんなことがあったの?」と問いかけるだけでも、人に説明する練習になるのです。

日常生活の中で、子どもに自分の考えをまとめさせるような問いを投げかけることができるという話に来場者も大きく頷いていました。

長谷川さんの講演の締めくくりは、「まずは子どもに成功体験をさせましょう」というメッセージでした。まずは小さなことから学習をスタートさせ、そこから成功体験を得ることで、長い受験生生活を乗り越えることができるのです。

新大学入試に関する知識が整理され、また、子どもの大学受験を成功させるために、すぐにでも始められるような具体的な行動のヒントを多く得られる、長谷川さんの講演でした。

新大学入試に関する知識が整理され、また、子どもの大学受験を成功させるために、すぐにでも始められるような具体的な行動のヒントを多く得られる、長谷川さんの講演でした。

河合塾人気講師が伝授した学習方法、「2週間単位での学習計画を」

短い休憩を挟んでの後半は、Part3の河合塾講師による講演です。

「現役合格を勝ち取るために、今すぐやるべきこと」と題して、河合塾の超人気英語講師である森千紘先生の講演が始まりました。

さすがは河合塾の人気講師。ユーモアがふんだんに織りまぜられつつも迫力がある語り口に、会場全体が前のめりになるようでした。

さすがは河合塾の人気講師。ユーモアがふんだんに織りまぜられつつも迫力がある語り口に、会場全体が前のめりになるようでした。

「去年の今ごろ、みんな『入試が変わる』って大騒ぎしていましたよね。でも僕は、『入試は変わりません!』って断言していたんです。結果、どうなりましたか? 時代が僕に追いついてきましたねえ〜!」

冗談交じりながら、核心をついてくるお話です。

森先生曰く、4技能は特別な力ではないとのこと。例えば……と示されたのは、慶應義塾大学の2007年の入試問題。もともと、慶應義塾大学などの難関大学では、「まさに新技能!」というような入試問題が出ていたのです。

森先生のお話は、英語4技能や「使える英語」についても鋭く切り込んでいきます。「例えば皆さん、毎日のように使う言葉だけど、『…をレンジでチンして』って英語で言えますか?」答えは「Please microwave….」となりますが、既存の英語の教科書の中にはなかなか出てくる機会がないので、答えに詰まってしまった人も多い様子でした。

森先生のお話は、英語4技能や「使える英語」についても鋭く切り込んでいきます。

こういった目から鱗が落ちるような話を重ねながら、森先生は新大学入試に立ち向かうための英語をはじめとする勉強法について、やるべきことは基本的に変わらないが、やらねばならない量が増えただけだと結論づけます。

「入試にはトレンドがあり、入試が変わるというよりは、トレンドが変わっているだけなんです」

確かに、思考力が問われるといっても、その前提となる知識がなければ、そもそも何をどう考え、表現すればよいのか、見当もつかないでしょう。

森先生はまた、「出遅れ科目を放置しない!」ということを強調していました。

森先生流の具体的な学習方法としては、To Doリストではなく2週間単位での学習計画を立てて勉強をしなさい、というものでした。

To Doリストは、書き出そうと思えば無限に書き出してしまうし、さらにそれが終わらないことで自己否定につながってしまいます。それよりは、2週間くらいの単位でざっくりとした学習計画を立て、都度それを見直しながら勉強のリズムを作っていくとよいそうです。この「2週間」というのも大事なポイントで、学校行事、定期テスト、部活の試合、模試などなど、高校生の生活リズムにぴったりと合うのだそうです。

長年、多くの高校生の姿を間近で見てきた森先生は、高校生の忙しさも熟知。ご自身の授業は授業を受けることがそのまま予習にも復習にもなり、しっかりと知識の定着を図れるように設計していて、そのために運動部に所属している生徒など時間のない高校生に支持されているとのことでした。

「とは言え、君たちはアオハル(青春)なんだよね。まずは学校生活に全力投球を!」高校生への温かいエールで、森先生の講演は幕を閉じました。

2月にしては暖かく、過ごしやすい天気だったこの日。でも、会場から帰る参加者の足取りが軽やかに見えたのは、この日和のせいだけではなかったでしょう。

不安のある新大学入試にしっかりと対峙するための知識を得、これから始まる大学受験への指針を見つけた様子の大勢の親子連れ。その背中に、心の中でエールを送りました。