掲載日:

注目を集める公立中高一貫校の今!

公立中高一貫校とは?

公立中高一貫校は6年間を見通した教育カリキュラムや、地域性を活かした独自の取り組みなどが注目を集め、毎年高い受検倍率となっています。ハイレベルな教育を受けられるのにも関わらず、私立の中高一貫校に比べ学費が安く抑えられるのが、大きな魅力でしょう。一方で、教員の異動などがあるため、私立中高一貫校と比較すると、授業や部活などで同じ教員からの継続した指導を受けられない可能性もあります。

公立中高一貫校の設置形態

公立中高一貫校には、中等教育学校型、併設型、連携型の3つの設置形態があります。

定義 中学入学時の選抜方法 高校入学時の選抜方法
中等教育学校型 1つの学校において一体的に中高一貫教育を行うもの 選抜試験 無試験で進学外部募集なし
併設型 高校入試選抜を行わず、同一の設置者による中学校と高等学校を接続するもの 選抜試験 無試験で進学外部募集あり
連携型 中学校と高等学校が互いに教育課程の編成や教員・生徒間の交流などで連携を深める形 就学指定 簡便な選抜試験を実施
外部募集あり

難関国立大学への高い進学実績

東京都の公立中高一貫校では、東京大学、京都大学をはじめとする難関国立大学に、例年多くの生徒が合格しています。
神奈川県、千葉県、埼玉県の公立中高一貫校でも毎年、有名難関大学の合格者を多数輩出しており、進学実績が人気の理由の1つになっています。

2020年度の合格者状況

( )内は現役合格者の数

学校名 東京大学 京都大学 一橋大学 東京工業大学
桜修館中等教育学校 9名
(6名)
1名 2名
(2名)
7名
(5名)
大泉高等学校附属中学校 6名
(4名)
1名 4名
(3名)
1名
(1名)
小石川中等教育学校 10名
(10名)
5名
(5名)
8名
(8名)
4名
(3名)
立川国際中等教育学校 2名
(2名)
- 8名
(8名)
2名
(2名)
白鷗高等学校附属中学校 4名
(1名)
- - 2名
(1名)
富士高等学校附属中学校 2名
(2名)
1名
(1名)
2名
(2名)
2名
(1名)
三鷹中等教育学校 - 3名
(2名)
1名 -
南多摩中等教育学校 3名
(3名)
2名
(2名)
4名
(3名)
5名
(4名)
武蔵高等学校附属中学校 8名
(7名)
- 5名
(3名)
6名
(5名)
両国高等学校附属中学校 6名
(5名)
- 3名
(2名)
9名
(9名)
千代田区立九段中等教育学校 4名
(3名)
1名
(1名)
3名
(2名)
3名
(3名)

※2020年度の合格者状況。学校のホームページを参照。

実質倍率が軒並み5倍以上!2021年度入試でも人気は継続の予想

東京都では多くの公立中高一貫校で実質倍率が5倍を超えます。有名私立校の倍率が3~4倍という点と比べても、その人気の高さがうかがえます。また、2021年度は新型コロナの影響もあり、経済的な負担が比較的軽い公立校に、さらに注目が集まると見られています。

令和2年度 1都3県公立中高一貫校の受検状況

東京都(一般募集枠)

学校名 募集定員 受検者数 実質倍率
桜修館中等教育学校 160名 916名 5.73
大泉高等学校附属中学校 120名 682名 5.68
小石川中等教育学校 157名 801名 5.10
立川国際中等教育学校 130名 628名 4.83
白鷗高等学校附属中学校 133名 846名 6.36
富士高等学校附属中学校 120名 612名 5.10
三鷹中等教育学校 160名 910名 5.69
南多摩中等教育学校 160名 852名 5.33
武蔵高等学校附属中学校 120名 492名 4.10
両国高等学校附属中学校 120名 811名 6.76
千代田区立九段中等教育学校 80名 511名 6.39

神奈川・千葉県・埼玉県

学校名 募集定員 受検者数 実質倍率
神奈川県立相模原中等教育学校 160名 1,101名 6.88
神奈川県立平塚中等教育学校 160名 822名 5.14
横浜市立南高等学校附属中学校 160名 789名 4.93
川崎市立川崎高等学校附属中学校 120名 483名 4.03
横浜市立横浜サイエンスフロンティア高等学校附属中学校 80名 463名 5.79
千葉県立千葉中学校 80名 712名 8.90
千葉県立東葛飾中学校 80名 859名 10.70
千葉市立稲毛高等学校附属中学校 80名 626名 7.80
埼玉県立伊奈学園中学校 80名 410名 5.12
さいたま市立浦和中学校 80名 609名 7.61
さいたま市立大宮国際中等教育学校 160名 702名 4.38

※各自治体のホームページ等を参考

思考力、表現力が問われる「適性検査」

公立中高一貫校の「適性検査」は、題材や写真、詩を見て自分の考えを作文にまとめたり、国算理社の4教科がミックスされたような問題に答えたりします。単に知識があれば解けるという問題ではなく、その場で思考を巡らせ、論理的に表現する力が問われるのです。 
都立校の受検では、共通問題のほかに独自の問題を課す学校があるため、学校ごとの対策も必要です。

学校によって異なる、適性検査の出題構成

適性検査には適性検査Ⅰ、適性検査Ⅱ、適性検査Ⅲの3種類があります。学校によって適性検査Ⅰ・適性検査Ⅱだけを課す学校と、適性検査Ⅰ・適性検査Ⅱに加えて適性検査Ⅲまでを行う学校とがあります。

適性検査の種類

適性検査Ⅰ① 国語系の問題、作文 共同で作成した共通問題または学校の独自問題①~④から2問まで
適性検査Ⅱ②③④ 算数・理科・社会の複合問題 共同で作成した共通問題または学校の独自問題①~④から2問まで
適性検査Ⅲ 理数系の問題 学校の独自問題

首都圏の私立校にも広がる「適性検査型入試」

公立中高一貫校の入学者選抜で用いられる適性検査。出題傾向などをこれに近づけた「適性検査型入試」を実施する私立校が、年々増加しています。実質倍率が軒並み5倍を超える公立中高一貫校受検者の受け皿として、優秀な生徒を確保したいと考える学校が増えているからです。また、単に知識を身につけるだけでなく、思考力を育てる学びが重視されるようになったことも、影響を与えています。では実際に、首都圏の私立校ではどのくらい「適性検査型入試」が行われているのでしょうか?

約半数の私立校が「適性検査型入試」を実施

2020年に適性検査型(総合型・思考力型など)入試を実施した首都圏の私立校は149校で、約13,000人の受験生がこのタイプの試験を受けたことになります。4年前と比べると約1.7倍になっており、首都圏に約300ある私立校の、ほぼ半数で適性検査型入試が実施されています。 

年度 2016年 2017年 2018年 2019年 2020年
私立校 86校 120校 136校 147校 149校
出願者数 約7,000名 約8,000名 約12,000名 約12,000名 約13,000名

私立校では併願を意識した出題

公立中高一貫校の「適性検査」は、国語、算数、社会、理科といった4教科の問題とは異なり、グラフや表などが盛り込まれた問題を読み解き、自分の考えをまとめて表現する力が求められます。私立校では公立中高一貫校をめざす受検生が対応しやすいように、「小石川型」、「区立九段型」などと名づけて併願を意識した出題を行ったり、これまで準備してきたことが発揮しやすいような、思考力、総合力型の入試を実施したりしています。

公立中高一貫校をめざす受検生が対応しやすい、私立校入試の例

1適性検査型入試

教科横断型で公立中高一貫校の入試に準じた内容

2思考力入試

自分で考え、アイデアやものを生み出す思考力、創造力が問われる

3総合型入試

複数の教科の知識と技能を使って解答する。さまざまな観点から物事を考える力が必要

4プレゼン型入試、AO入試

スポーツや習い事など、自分が打ち込んできたことや得意なことをアピールする

51教科得意型入試

英語を含む、得意な1教科で受験ができる

トップへ