第11回 お父さんが間に入ってなぐさめる

子どもの能力を引き出す、やる気にさせる上手なほめ方・叱り方

第11回 やる気を引き出す「子どものほめ方・叱り方」(2013年6月14日)

お父さんと息子

中学受験を決意して子どもが塾通いを始めると、子どもだけでなくお母さんの生活も激変します。今どきの中学受験において、親が子どもと二人三脚で頑張らないといけないというのは、もう周知の事実と言っていいでしょう。でも、一生懸命になればなるほど、子どもと一緒に袋小路にはまりこんでしまうリスクもあります。

これは、あるお父さんの経験談です。学校でも塾でもとても成績のいい息子さんが、突然「受験やめる」と言い出しました。塾弁も塾への送り迎えも欠かしたことのないお母さんは、びっくり仰天、ヒステリー気味。そのお父さんには、どうも息子とお母さんの関係性が飽和状態になり、二人とも疲れ切っているように見えたそうです。

そこでお父さん、ある休日に「そんな余裕ない!」というお母さんの反対を押し切り、息子をハイキングに連れて行きました。そして話を聞いてみると、息子さんはお母さんの一生懸命さにまいってしまっているよう。お母さんの期待に応えなければという思いが、彼を疲れさせていたのですね。ハイキングでお父さんと話をすることで心がほぐれ、また受験を頑張ると言ってくれたそうです。

今、東京ではクラスの半数以上が中学受験をする小学校も多いそうです。たとえ親に中学受験の経験があったとしても、当時とは状況がまったく違います。まじめな親子であれば、途中で疲れ切ってしまうというのも、無理もないことだと思います。

そういうとき、過熱した子どもとお母さんの間にお父さんが入って心を癒してくれたら、どんなにいいことだろうと思いました。逆に、受験がきっかけで離婚になったというご夫婦の話も聞いたことがありますが、そうなると子どもにとっては中学受験などよりずっと深刻な問題です。

中学受験はゴールではなく、成長の一過程にすぎないということ。そして、当たり前のことですが、子どもにとっては中学受験より親との関係性のほうが大事。過熱しがちな中学受験に際しては、この大原則を何度も心に刻んでおいたほうがいいかもしれませんね。

<<プロフィール>>高木 潤子(たかぎ じゅんこ)
若いころから週刊誌・女性誌で、子育て・インテリア・料理など幅広い分野の記事を取材執筆。仕事量を減らして二児を育て、インターエデュはお受験ママとして活用。現在も取材・編集・執筆と幅広く活躍中。

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