新型コロナウイルス感染確認で、フランスに広がるアジア系差別　(クーリエ・ジャポン)｜掲示板スレッド

※長い記事なので途中まとめています

ヨーロッパで最初に新型コロナウイルスの感染が確認されたフランスで、アジア系住民に対する人種差別が広がっている。差別を告発するための「#私はウイルスじゃない」（#JeNeSuisPasUnVirus）というハッシュタグも作られた。

仏紙「ル・モンド」や週刊誌「ロプス」をはじめとする多数のメディアが報じた。

ハッシュタグ「#私はウイルスじゃない」

「ハフィントンポスト」フランス版は1月28日、「中国のコロナウイルスがアジア系に対する人種差別的なステレオタイプをよみがえらせる」という記事を掲載した。

同メディアによれば、1月27日に「J」というアジア系の女性がSNS上で匿名で被害を訴え、「#私はウイルスじゃない」（#JeNeSuisPasUnVirus）というハッシュタグを作り出した。彼女の訴えは、フランスにおける人種差別の問題に取り組んでいる映画監督のアマンディーヌ・ゲイによりツイッターに投稿され、広く拡散された。

「J」はこの中で、アジア系が罵声を浴びせられ電車から降ろされたりして、差別の対象となっていると訴えている。さらに、アジア系は全員が中国人とみなされ、それぞれの文化の違いが尊重されていない現状も指摘する。彼女はこう言う。

「コロナウイルスによる公衆衛生の危機が原因で、メディアやSNS上で人種差別的な言葉が発せられるようになりました。続々と発せられるそうした言葉は、“アジア系とレッテルを貼られた人”つまり、フランス人の集合的無意識の中で“中国人”とみなされた人に向けられています。
この分類もアジア系に対する差別のひとつです。“アジア系”と言うべきところで、多くの人が区別せずに“中国人”という言葉を使っています。アジア大陸を構成するさまざまな国籍や文化・民族の多様性は考慮されていません」

(以下、フランス在住のアジア系の人々の証言)

・アジア系男性
スポーツジムから出たところで10代の若者グループに“コロナウイルスが来た！”と指さされありえないほど笑われる

・台湾系の女子中学生
学校で“コロナ”とあだ名を付けられた

・中国人ではないアジア系女性
スーパーで男性がその女性を指さしながら、子供に向かって「中国人とウイルスがいるから気をつけなさい」と言った

・日系人のジュリー
大学で咳をしたら、”病気をみんなに移している”と言われた

・リヨンのチーズ販売店のアジア系女性店員
彼女が接客をするのを拒んだ夫婦がいた。この女性店員は泣き出してしまった

フランス北部の地方紙「クーリエ・ピカール」は、1月26日、1面に「黄色警報」というタイトルとともにアジア系女性の写真を掲載した。さらに、この日の社説のタイトルは「黄禍」だった。これは、19世紀末からアジア人の脅威を表す言葉として用いられ、アジア系住民排斥にもつながった言葉だ。人種差別を指摘する多くの批判を受けて同紙は謝罪した。

(中略)

新型コロナウイルスの感染確認を受けて拡大したアジア系差別だが、これはすでにあった差別を顕在化させただけだという見方もある。

これまでアジア系のコミュニティは「勤勉」「まじめ」「文句を言わない」など、フランス社会に溶け込むことに成功した模範的なマイノリティだと考えられてきた。中国系の女性作家グレース・リーは「ロプス」誌上で、ポジティブなステレオタイプから今回のネガティブなステレオタイプへの転換について分析する。
(中略)
「模範的なマイノリティからウイルスに、私たちのイメージは変わったのでしょうか？　このことが示しているのは、明日は誰が人種差別の標的になってもおかしくないということです。差別と闘う唯一の方法は、ポジティブなものであれ、ネガティブなものであれステレオタイプを拒否することです」

(中略)

日本人もフランスへ行けばアジア系として差別を受ける側になる。だが同時に、いま日本国内で同じような差別が中国の人々に対しておこなわれていないか、ひとりひとりが立ち止まって考えてみる必要もあるだろう。

(了)