eduスタッフ訪問記

インターエデュ・ドットコムスタッフが学校、塾などに訪問した際の様子をお届けします。

人工知能全盛の時代を生き抜くための「21世紀型教育」って?【「21世紀型教育機構」設立記念シンポジウム】

■「21世紀型教育」は新たな学校選びの基準

2016年入試から、特に使われるようになってきた「21世紀型教育」という言葉。教育に関心の高いエデュママのみなさんなら、1度は聞いたことがあるのではないでしょうか?

暗記力が求められ偏差値重視の日本の教育で、成績優秀な人が、本当に社会に出ても優秀かどうかが問われてきた近年。21世紀を担う子どもたちに、自ら考える力を身につけさせる21世紀型教育を実践するために、2011年から活動してきた「21会(21世紀型教育を創る会)」が改組し、新たに「21世紀型教育機構」が2016年5月に設立されました。

「21世紀型教育機構」は、推進する21世紀型教育の指針を示し、同機構に参加する学校の教育の質を保つ役割を担います。2016年9月時点のメンバー校は、聖学院中学校・高等学校など11校。21世紀型教育の注目が高まるにつれ、今後も増えていくことでしょう。学校選びの基準のひとつとして、「21世紀型教育機構」に参加する学校は、チェックしておきたいですね。

⇒21世紀型教育機構

 

■人工知能に勝る人材になるための3つの力

福原正大先生(一橋大学院特任教授、IGS代表)

福原正大先生(一橋大学院特任教授、IGS代表)

さて、改めて21世紀型教育は、なぜ必要なのでしょうか? その答えが、「21世紀型教育機構」設立記念シンポジウムで行われた、一橋大学院特任教授である福原正大先生(IGS代表)のお話にありました。

今、人工知能が話題になっているように、将来、現在の仕事の大半は人工知能に置き換わるといわれる中で、これから重要になるのが、新しい価値観を構築する力だと福原先生は言います。人工知能より、人間が勝っているのは「何かを生み出すこと」であり、人工知能が最後までできないことは、「共感を持つこと」だと福原先生。だからこそ、これからは、運動会、文化祭、クラスルームなど、みんなで何かをすることが重要となり、学生時代にいかに人間性を磨いておくかが大切となるそうです。

グローバル化が進み、人工知能全盛の時代が訪れようとしている中、福原先生は、次の3つの力の必要性を挙げています。

 

1.価値観
社会の中で何を選んでいくのかという価値観。価値観を作るには、中高時代に興味がある分野の本を読むことが大切。受験と直接結びつかないけれど、高校時代に興味を持った本を読むことが、人生にとって意味を持ってくる。

2.コンピテンシー(課題設定力)
問題設定力や想像力など、経験を通してしか得ることが出来ない知識以外の力。コンピテンシーを身につけるための手法として、PBL(Project-Based Learning:課題解決型学習)やアクティブラーニングがある。

3.スキル(特に英語力とプログラミング力)
英語は、世界標準のTOEFL iBTかIELTS以外の英語資格が、評価されない時代になりつつあり、4技能をバランスよく学ぶ必要がある。プログラミングは、STEM教育のような、何かを新しく作り出す学びであることが重要。

※STEM教育:Science(科学)、 Technology(技術)、 Engineering(工学)、 Mathematics(数学)の分野を総括的に学ぶ教育。Art(芸術)を含めて、STEAM教育という場合もある。

 

人工知能は、最大公約数的な物事を行うことに長けているため、これからは、最大公約数にならない興味や価値観で動ける人間になることが、求められていると福原先生は語ります。そこで、必要になるのが、上記の価値観、コンピテンシー、スキルの3つの力であり、この力を身につける教育こそが、21世紀型教育なのだと福原先生。日本発の教育として、これからアジアや世界に広がっていく可能性にも期待を寄せていました。

今後、ますます注目が集まる21世紀型教育。これからの時代を生きるために必要な力を育てる新しい教育の情報収集は、大切ですね。