小学校で必修になるプログラミング。親はどうする?

inter-edu’s eye
2020年から小学校でプログラミング教育が必修になります。それを受けてか、子ども向けプログラミング教室も急増。生徒募集のチラシを見た方も多いでしょう。そんな折り、『プログラミングはロボットから始めよう!』という本が発刊。子どもとプログラミングの関係について知っておくべきことは?

◆子どもがプログラムしてロボットが動く

子ども向けプログラミング教室って何を教えるの? 小さいうちから必要なの? 親世代には未経験のジャンルですから、さまざまな疑問が生じてきます。それでも小学校で必修になるとなれば無関心ではいられません。教室に通わせるかどうか考える前に、まずは本を見てみましょう。

この夏発売された『プログラミングは、ロボットから始めよう!』の表紙カバーには、「小学1年生でもできるよ!」「2020年、文科省は小学校のプログラミングを必修化。家庭で取り組みべきことは?」と書いてありました。目次を見ると、「ロボットって何だろう?」「ロボットを作ろう」「ロボットと遊ぼう」「高度なロボットに挑戦してみよう」といった章で構成されており、文字はすべてふりがな付きです。章ごとに具体的なロボットが紹介してあり、それらを子どもが自分で作ったり動かしたりしながらプログラミングを体験するという内容になっています。

筆者は、小学生向けの算数教室やロボットのワークショップを運営している加藤エルテス聡志さん。加藤さんは多くの保護者から、子どもにプログラミングを学ばせる方法について相談を受けたことがきっかけで、この本を著したと言います。プログラミングというと画面に向かってプログラムを書き、その結果もまた画面に表示されるイメージですが、画面だけだと、子どもはあまり注目してくれない。それがロボットとなると、子どもたちが一気に夢中になってくれるのだそうです。

画面上のプログラムがちらちら動いているよりも、目の前でロボットが動くほうがずっと子どもの興味をひきます。ロボットのワークショップ中には、子どもは歓声を上げたり飛び跳ねたり、困ったり笑ったり、大興奮です。これはロボットなしの、画面だけでのプログラム学習ではめったに見られない高揚です。(「はじめに―保護者の皆さんへ―」より)

◆プログラミング言語を覚えるのではありません

本書で取り上げられているロボットは、スマホやタブレットで動かせるタイプのもの。つまりパソコンが必要ないのです。アプリをスマホにインストールする際には保護者が手伝う必要はありますが、ロボットを動かすプログラミング自体は、お子さまだけでできるのです。ここで、“コーディング、つまりプログラミング言語を記述する作業が必要なのでは?”と思ってしまう方は、NHK・Eテレの番組にもなっているスクラッチを思い出してください。本書に紹介されているロボットも、プログラミングのツールそのものが子ども向けに作られているので、職業プログラマーのように各種言語を覚えたり、ひたすら記述するといったプロセスはないのです。

プログラミングは、ロボットから始めよう!,加藤エルテス聡志

これは、小学校で必修化されるプログラミング教育も同じで、決してコーディングを覚えさせるものではありません。プログラミング教育の目的は、自分が意図したことをコンピュータに指示することができるという体験をさせること。そしてそのためのプログラミング的思考(=論理的思考)を育もうというものです。この本を一緒に見てくれたパパが、こんなふうに説明してくれました。

「僕の子ども時代は、機械がなぜ動くのか知りたくて、よく分解して怒られたものだけど、今の機械は分解してもコンピュータ制御されているから、なぜこんな動きをするのかわかりません。それを知りたかったら内蔵されているプログラムを知っておく必要があります。そう考えると、小学校でプログラミング教育を必修化する意味もわかりますね。だってあらゆる機械がボタンを押せばこうなるとしかわからなかったら、何の発展も創造もないでしょう。未来を担う子どもたちには、身の回りのツールの基礎的なしくみを知って、次世代へのアップグレードを期待したいですからね。それにプログラミングを学べば論理的な思考も身につきますよ。」

※参考:文部科学省「小学生段階におけるプログラミング教育のあり方について(議論の取りまとめ)」

◆子どもの探求心に火をつけよう!

8月の中旬、八重洲ブックセンターで行われた本書の発刊記念イベントに行って来ました。著者の加藤さんと、ゲストスピーカーとして本書に登場するロボットを作った「ユカイ工学」代表の青木俊介さんのおふたりが登壇し、机の上には小さなロボットたちもお目見え。参加者の多くは子どもを持つ親御さんのようで、親子での参加も数組みられました。

加藤さんが実際にロボットを動かしてみたり、おふたりがプログラミングの世界に入っていった10代の頃の経験を語ったり、Q&Aコーナーでは、子どもにプログラミングを教える意義やモチベーションの高め方など、さまざまなことが語られていく中、加藤さんが、“学ぶことは楽しい”をベースに子どもの才能を引き出そうと懸命に活動しておられることがわかってきました。そんなお話の一部を紹介すると、こんな感じです。

「子どもは親の分身ではないのだから、何に関心を持つかはわかりません。親は子どもが何に興味を持つかをよく見ておきたいですね。また、いろいろな刺激を与えて反応がよかったものをさらに与えてみるといったことが必要なのではないでしょうか。案外大変なことではありますが、そんな親のアンテナが子どもの可能性を左右するのではないでしょうか。大事なことは、探求心と主体性が育つことなんです。」

また、本書の担当編集者の楠田さんからは、こんなメッセージをいただきました。

「著者が本書で狙っていることは、親子でプログラミングを楽しもうということと同時に『子どもの心に火をつけること』です。一度心に火がつけば、子ども自身が必要な試行錯誤や知識の吸収を進めてくれるからです。ロボットを使ったプログラミングは、とても楽しいものです。保護者の皆さんには子どもたちがロボットで単に遊んでいるように見えるかもしれませんが、実は受験に必要な算数や理科、国語などを自然にしっかりと学んでいます。プログラミングでロボットを動かすことに夢中になっているうちに、それに必要な知識を自然と身につけるからです。」

本書の「おわりに」は、「1人でも多くの保護者にとって、子どもの探求心に火をつける助けになるよう願っています。」という一文で締めくくってありました。今、親がすべきことは、“学校で必修になるから勉強しなさい”ではなく、“一緒にプログラミングをやってみようか、楽しいかもよ”と誘ってみることなんですね。本書は、プログラミングの縁のない親御さんでも十分対応できる内容になっているので、ぜひ手にとってみてください。

プログラミングは、ロボットから始めよう!

プログラミングは、ロボットから始めよう!
加藤エルテス聡志著、小学館刊、1900円+税

本書なら、小学生親子でプログラミング学習するときに、何から始めたらいいかがすぐにわかります。ロボットを使ったプログラミングは、とても楽しく、この1冊で子どもたちはプログラミングに夢中になるでしょう。プログラミングを一切やったことがない保護者にとってもわかりやすく、子どもがプログラミングを楽しく学べる構成となっています。本書の狙いは、「子どもの心に火をつけること」です。一度心に火がつけば、子ども自身が必要な試行錯誤や知識の吸収を進めてくれます。また本書は初心者にとっての簡単さ、そして楽しいと感じてもらうことを大切にしています。本書で紹介するプログラミング学習が、スマホやタブレットさえあればできるようにしてあるのもそのためです。本書が、1人でも多くの子どもたちの心に、火をつけるきっかけになればと思います。 著者による「ロボット動画集」「ロボットの組み立て」や「セッティング」の特典動画を本書とともにご活用ください。…購入はこちらから

加藤エルテス聡志

著者の加藤エルテス聡志(かとうえるてすさとし)さん
RISU Japan共同創業者、取締役。東京大学卒業。コンサルティングファーム(McKinsey and Company)、米系メーカー等を経て、2014年に(社)データサイエンス研究所を創設、代表理事に就任。同年RISU Japanを創業。才能あふれる世界を創り出すために、子どもたちに最先端の学習科学に基づくサービスを提供しています。RISUのタブレット教材(算数)は、一般の教育課程(小学校1年生~6年生)に準拠しつつも、年齢・学年にとらわれず、どんどん先に進めるシステムを採用したものです。また、RISU式ロボット・プログラミング教室(http://www.risu-japan.com/robot-book/)も運営を開始しました。 著書に「機械脳の時代」(ダイヤモンド社)、「日本製造業の戦略」(ダイヤモンド社・共著)、編集協力に「日本の未来について話そう」(小学館)、「Reimagining Japan」 (Viz Media LLC) など。 講演 TEDxTokyo Salon 教育の未来とデータサイエンス。著者の運営する教育会社RISU Japanはこちら