楽しみながら算数力アップ!名探偵コナンの本

『名探偵コナンの10才までに算数センスを育てる157問』という本が話題です。10才までに算数センスを育てるとは? 157問もあって多すぎない?など手に取る前は疑問がたくさんありましたが、中身を見てすべての疑問は氷解。算数好きな子は当然ですが、算数が苦手な子も、この本なら算数嫌いを克服できるのではないかと思います。ぜひ親子で楽しんでほしい、そんな楽しい本をご紹介します。

名探偵コナンと一緒に算数に挑戦

名探偵コナンの10才までに算数センスを育てる157問,小学館

『名探偵コナンの10才までに算数センスを育てる157問』は、学校の算数の授業がこんな感じだったら、算数嫌いの子もずいぶん減るのでは?と思った新刊です。

名探偵コナンを冠した学習まんがやドリルは多数出版されており、昨年はここで、『名探偵コナンの10才までに覚えたい難しいことば1000』を推薦しました。そのときも思ったのですが、“有名キャラクターを冠した本はその分内容がよくないことが多いのに、これは違う! コナンがいなくても推薦したい!”。

『算数センスを育てる157問』も、まさにそんな素晴らしい内容で、お子さまにプレゼントしてほしいと思う本に仕上がっています。あえて問題集という言い方はやめにします。勉強だと思ってもらいたくないからです。

ソフトカバー400ページの分厚い本の中身は、タイトルの通り算数の問題がほとんどです。右ページに問題がのっていて、ページをめくると左ページに答えがのっています。それが延々と157問も続くの?と思うとうんざりするかもしれませんが、全くそんなことはありません。

次から次へと解いていきたくなる楽しさ

大人の身で第1問から順々に解いていったのですが、いつのまにかコナンと推理したり、謎解きをしているような気分になっていました。算数センスがない大人としては、正答できなかった問題もあったことを正直にご報告しておきます。

それに、最初にキャラクター紹介があったり、事件FILEと称してコナンのまんがが挿入されていたり、世界の数学者(ピタゴラスやユークリッド、アルキメデスなど)についての豆知識的なコラムも掲載されていました。ちなみに、コラムは、保護者の方と共に読んでいただきたいと、「はじめに」に書いてありました。

さて、メインの157問は、10才までに学校で習う基礎問題、トンチのきいた問題、私立中学入試問題レベルの問題など、さまざまなタイプ・レベルの問題で構成されています。レベルは「初級」「中級」「上級」「超級」と4段階。分野別に分けると、「計算力」・「図形力(平面)(立体)」・「論理力」・「応用力」に分かれています。

全体的にみれば最初のほうに初級が多く、後ろのほうに上級、超級の問題が多いのですが、必ずしもレベル順になっているわけではありません。問題を解く楽しみを優先させた構成になっているのです。

本当に退屈しません。1問解答すると、すぐに次の問題にとりかかりたくなるのです。問題が面白いからだと思います。たとえば、1問目は、計算力の初級の問題で、タイトルが「金庫の鍵を開けろ!!①」。金庫の鍵を開けるというミッションを動機に、そのための計算をしようというわけです。続く2問目、3問目も「金庫の鍵を開けろ!!」の②と③。同じタイプの問題を3つ解いて、しっかり計算力をつけようという配慮なのでしょう。

このように問題の設定が、金庫の鍵を開けることだったり、暗号を解くことだったり、犯人が盗んだ荷物の数を当てたり記号の謎を解いたりと、それぞれに面白いストーリーになっています。また、問題ページにあるコナンの一コマにヒントがのっているのも、算数の問題を解くというよりは、クイズに答える雰囲気です。