子どもと一緒に身につけたい“そうじ脳”とは?

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掃除は生きていくのに必須のスキル。それなのに最近の子は掃除のことを全然知らない!と危機感を抱いたカリスマ清掃員・新津春子さん。子どもと一緒に身につける効率的でラクな掃除のワザを一冊の本にまとめられました。子どもに身の回りをキレイにする喜びを教え、ママは時短の掃除術をマスターできる一石二鳥の新刊です!

◆今の子どもは掃除を知らない!

羽田空港が「世界一清潔な空港」に選ばれたときの立役者として有名なカリスマ清掃員、新津春子さん。新津さんはベストセラーのお掃除ノウハウ本の著者で、テレビにも何度も出演されている方なのでご存じの方も多いでしょう。

このたび発売された本は、題して『子どもと一緒に身につける!ラクして時短の「そうじワザ」76』。いわゆる家事の実用本とはひと味もふた味も違っていて、ぜひ教育熱心な親御さんたちにご紹介したいと思います。

新津さんは、本書の「はじめに」にこう書いておられます。

小中学生の前で話をしていて、私はビックリしました。私のしている“清掃”の仕事だけでなく、小中学生の子どもたちは自分の身の回りの“そうじ”についても、あまりに知らなすぎるのです。(中略)
30年前、私が来日した当時の日本では、多くの家庭でお父さん、お母さんの役割分担が決まっていました。お父さんは外で仕事をし、お母さんが家でそうじ、洗たく、子育てをしていました。子どもたちはお母さんの姿を見たり、教わったりして、そうじの仕方を覚えました。
しかし今、周りを見渡してみると、大人は自分の子どもたちに「なるべく大変なことをさせたくない」と思って、そうじの仕方を教えていないように思います。そのうえ、お父さんもお母さんも仕事をしていることが多くなるなど、社会が変わってきました。これでは、下の世代はますますそうじができなくなってしまいます。

過去30年の変化を、こんなふうに自覚している人がどれほどいるでしょうか。新津さんは、中国残留孤児だったお父さま、中国人のお母さま、2人のきょうだいと一緒に17歳のときに日本に移ってきた方。そんな新津さんだからこそ、30年の変化がよくお分かりになるのかもしれません。

ところで、お宅はいかがでしょうか? お子さまは、昔の子どもが自然と身につけていた掃除の方法を知っていますか? ほかにやることがいっぱいあって、そこまで気づかなかったという方が多いのではないでしょうか?

◆子どもと一緒に家をキレイにしてみよう

子どもと一緒に身につける!ラクして時短の「そうじワザ」76,新津春子

「“そうじ”は、生きていくために最低限必要なスキルです。自分の暮らす部屋や仕事場、身の回りをキレイにすることは、自分の健康を守ると同時に、社会生活を送るにあたって必要な清潔感を保ってくれます。」と語る新津さん。この最低限必要なスキルを、新津さんは“そうじ脳”と命名し、15歳までに身につけようと提案しています。

本書は、第1章が「“そうじ脳”小学生レベル編」、第2章が「“そうじ脳”中学生レベル編」となっています。“そうじ脳”ですから、単なるノウハウではありません。清潔さやキレイさに対する意識を育てていくことから始まります。周囲が汚れていても、それに気づかなければキレイにしたいとは思わないし、汚いと思っても自分のやることだと思わなければ放置してしまいます。

それではいけない! 将来どんな仕事につくとしても、身の回りをキレイに清潔にしておくことは必須のスキルという新津さんの意見に、反論する方はいないでしょう。

第1章の小学生レベル編には、掃除をすべき理由や、子どもをヤル気にさせる方法が書いてあります。小学生ですから洗剤は使わなくてもいいとして、タオル1枚でできることが多数紹介されています。たとえば勉強机にはどんな汚れがついているのか、その汚れをどうやってとるとよくとれるのか、ていねいな説明の中には掃除慣れしている大人でも、知らなかった! これはいただき!といった工夫がのっています。

余裕がある休日などに子どもと一緒に読みながら、実践してみるとよいと思います。親子でやってキレイになれば、達成感が得られ、将来、掃除嫌いになるのを防ぐこともできるでしょう。

第2章の中学生レベル編には、日常掃除をしている大人でも取り入れたくなるノウハウが満載です。いつもやっている方法が効率的でなかったり、アイデア倒れだったと気づかされる内容でもあります。面倒だなあとイヤイヤながら掃除することで、むしろ無駄な時間を費やしていたんじゃないか、場所別にいろんな洗剤や道具を買って無駄なお金を遣っていたんじゃないかと反省してしまいました。

◆掃除を通じてさまざまな能力が育つ

新津さんは、ここはこうしなさい、といった断定的なアドバイスはしていません。家のつくりも生活の仕方もそれぞれ違うからです。そのかわり、汚れをできるだけつけない・ためない暮らし方、汚れを効率的に落とす方法、空間を全体として清潔に保つコツ、それぞれどこに、何に、着目したらいいのかを教えてくれます。体に負担をかけない掃除法のアドバイスもとても参考になります。

羽田空港を自分の家だと思って清掃している新津さんだからこそのプロの知恵は、説得力満点です。親子で習得してみると、お宅も見違えるようにキレイになると思います。

本書の帯に書いてあった「そうじができる子は幸せになる。なぜなら『段どり力』『気づく力』『清潔感』『やさしさ』備わるから。」というフレーズ、読む前は、少しおおげさでは?と思っていたのですが、読み終わる頃には、確かにそうだと納得していました。掃除という日常的な行為には、科学的な見方や考える力、工夫する力、他人を思いやる力を養う要素がたっぷり含まれていることが分かったからです。

子どものうちに身の回りのキレイに関心をもつことで、その後の人生に大きなプラスがもたらされるかもしれません。義務感でやらせてはいけない、キレイになって気持ちいいと思える子になってほしい…、そんなふうに思いました。

最後に、本書の「終わりに」の一節を引用させていただきます。

そうじは自分や家族、周りの人たちへの基本的な思いやりです。自分が快適に過ごすためなのはもちろん、そうじで誰かを幸せにすることができる。キレイにする=人に幸せを与えられる。つまり、相手に対する思いやりなのです。

子どもと一緒に身につける!ラクして時短の「そうじワザ」76

子どもと一緒に身につける!ラクして時短の「そうじワザ」76
新津春子著、小学館刊、1200円+税

羽田空港を2013、2014、2016、2017年に「世界一清潔な空港」に導き、700人のスタッフを束ねるリーダーとして活躍するカリスマ清掃員の著者の一番の願いが“15歳までに子どもをそうじ好きにさせる”こと。「そうじは生きていくために一生続けなければならない。ならば少しでもラクにカンタンに、家や学校をキレイで居心地のいい場所にする方法を教えたいんです」(新津さん)。

小中学生のうちに本書で書かれている内容をマスターできれば、「段どり力や清潔感が得られラクで効率のよい一生がおくれる」、しかも「想像力が養われ人への気配りができる子になる」といいことずくめ。自分の部屋や教室をキレイにしながら、人間力も育つのです。小中学生向けなので、タオル1本洗剤3つだけでもキレイになる方法からスタート。もちろん、そうじ機やモップなど、“持ってはいるが正しく使いこなせていない”道具の疲れない使い方・動き方も詳しく紹介。

著者の新津さんのご自宅を初公開して、玄関、浴室、洗面所、キッチン、トイレ、ベランダなど、ラクに短時間でキレイにするためにどんなワザが使われているのかを写真で紹介しています。そうじ嫌いの大人にも充分役立ちます。大そうじのヒントとして、毎日をキレイなおうちで過ごすための教科書としてオススメします。…購入はこちらから

新津春子

著者の新津春子(にいつ はるこ)さん
1970年、中国・瀋陽生まれ。羽田空港(東京国際空港)などの清掃を受け持つ日本空港テクノ株式会社社員。「ビルクリーニング技能士」「職業訓練指導員」「清掃作業監督者」などの国家資格を取得。27歳のとき、「全国ビルクリーニング技能協議会」で優勝(当時最年少)。2013年、2014年、2016年、2017年に、羽田空港が「世界一清潔な空港」(英スカイトラックス社のワールド・エアポート・アワーズ)に選ばれたときの立役者の一人。2015年4月からは「環境マイスター」として。技術指導や知識伝達を中心とし、スタッフ700人の指導に当たる。『プロフェッショナル 仕事の流儀』(NHK)など数々のテレビ番組で活躍ぶりが取り上げられている。