人気の中学受験漫画。受験生ママのかしこい活用法とは?

inter-edu’s eye
首都圏の小学生5人に1人が中学受験する時代、中学受験が青年向け漫画のテーマになって話題を呼んでいます。中学受験の実情を正確に描き、2020年大学入試改革をも視野に入れたプロも納得の力作。中学受験生の親御さんは、ぜひ一度目を通しておいてください。漫画ファンでなくても有効利用できますよ!

◆青年コミック誌連載の中学受験漫画が話題!

今、青年コミック誌で中学受験がテーマの連載漫画が人気を集めていることをご存じですか?週刊誌『ビッグコミックスピリッツ』で連載中の『二月の勝者―絶対合格の教室―』。昨年末の連載開始とともに、コミック関連サイトで「中学受験のリアルが分かる」と話題になり、1月にはNHK「おはよう日本」の中学受験レポートの中でも取り上げられました。

男性向け漫画週刊誌での連載なのでご存じない方が多いかもしれませんが、この2月9日に第7話までを収録したコミック第1巻が発売されています。一度は読んでおくといいと思います。コミックの帯には、エデュママブックでも何度か著書を紹介したプロ家庭教師の西村則康先生のこんなメッセージが。「中学受験の面白さ、奥深さ、難しさ、そして喜び。このマンガがそれをひもといてくれるでしょう」。西村先生のお墨付きもあるというわけです。

さて、『二月の勝者』が描くのは、2020年の大学入試改革を目前に激動する中学受験界。現在進行形の物語です。主人公は、“最強最悪の絶対合格講師” とか “受験の神様か、拝金の悪魔か?” などと評される塾講師・黒木蔵人と、中学受験経験のない新人講師の佐倉麻衣。彼らが勤める中堅の受験塾が舞台です。黒木は、トップ塾フェニックスから合格実績を上げるために助っ人として移籍してきた校長という設定。フェニックスって○○○クス?とは誰でもが想像することですね。

◆リアルで刺激的「子ども・親・講師」それぞれの中学受験

二月の勝者―絶対合格の教室―,高瀬志帆,小学館

第一話の冒頭から、吹き出しに “君達が合格できたのは” “父親の「経済力」” “母親の「狂気」” と刺激的なコピーが並びます。そして、「東京では4人に1人の小学生が中学受験する」「中学受験生のうち第一志望に受からないのは7割」と、今の中学受験の実態が塾講師の台詞として語られていきます。

さらに主人公の黒木は、塾生である子どもたちを前に、「君たち全員を第一志望校に合格させるためにやってきた、黒木蔵人です。」と自己紹介し、同僚の講師たちには、「受験塾は、『子どもの将来』を売る場所」「新規顧客獲得のチャンス」「スポンサー、すなわち親」「とりあえず通って、授業料さえ落としてくれればいい」などと、塾が営利企業である側面を強調します。そして親に対しては、「平凡な子ほど中学受験すべき」「ほかに好きなことがある子ほど、受験をやめなくていい」と物議を醸すような物言いを続けるのです。

黒木の台詞が物騒な割に取材がしっかりしているなあというのが、多くの読者の共通の意見。中学受験に縁のないコミック誌の読者にも、今の中学受験を理解してもらおうという意欲が感じられる作品です。コミックの最後には、参考文献がズラリ! たかが漫画とあなどるなかれ!なのです。

ただ、中学受験がとても身近な人が楽しむには、ちょっと刺激的過ぎるといった面もあるかもしれません。ですから、差し迫った時期ではなく、少し余裕のある時期に読むのがおすすめ。身近になりすぎた受験生活を、冷静に見つめなおすのによいと思います。

それにもう一つ、このコミックには、きわめて有効な活用法があることが判明しました。それが、たとえ漫画が好きでない方にもおすすめすしたい理由です。以下、この理由についてご報告しましょう。

◆中学受験にパパの協力を得るのに最適!

『ビッグコミックスピリッツ』での連載を、毎週楽しみにしているという中学生のパパに感想を聞いてみました。

「うちも数年前に中学受験を経験したんですが、妻が夢中になっているのを見て、何だかよく分からなかったんですよね。だから邪魔はしなかったけれど協力もしませんでした。息子がうまいこと合格してくれたのでよかったんですが、そうでなかったら今ごろ恨まれていたかもしれませんね。
でも、いつも読んでいるスピリッツでこれが始まって、なるほどそういうことか、と思いました。もっと協力すべきだったなと後悔もしましたよ。主人公の黒木が確か、『凡人こそ中学受験すべき』とか言うのですが、なるほどなあと…。
それに中学受験といっても自分が体験した昔と今では全然違うんですよね。そのことも今更ですが、よく分かりました。中学受験が過熱するのは時代の要請なんですね。」

こんな話を聞いたので、もしやと思って、中学受験生の女の子(新5年生)を持つママに、このコミックを渡してみたのです。パパが受験に理解がないと愚痴っているママでした。すると、どうでしょう! 数日後にこんなメールが返ってきました。

「先週貸してくれたコミック、ありがとうございました。本当にありがとう!
私は漫画ってあまり読まないので分からなかったんだけど、夫に読んでみてって渡したら、あっという間に読んじゃって、態度が180度変わってしまったの。ホント、ウソみたい!
女の子に受験なんてさせるもんじゃないなんて言ってたくせに、どうでしょ、あの変わりよう。
私には何にも言わないんだけど、娘に、『パパが応援してやるからな。』なんて言っているのよ! 娘も『パパ、どうしちゃったんだろう』なんて言ってて。
本当に感謝、感謝です。これで家族一丸となって受験に頑張れます!」

このように、『二月の勝者』は、中学受験に理解を示さないパパへの説得材料として相当効果がありそうです。これが漫画が趣味でない方にもおすすめしたい理由。第一話だけならネットで無料で読むこともできますので、ぜひ一度チェックしてみてください。

二月の勝者―絶対合格の教室― 1(ビッグコミックス)

二月の勝者―絶対合格の教室― 1(ビッグコミックス)
高瀬志帆著、小学館刊、552円+税

2020年の大学受験改革を目前に、激変する中学受験界に現れたのは生徒を第一志望校に絶対合格させる最強最悪の塾講師・黒木蔵人! 受験の神様か、拝金の悪魔か? 早期受験が一般化する昨今、最も熱い中学受験の隠された裏側、合格への戦略を圧倒的なリアリティーでえぐりだす衝撃の問題作!
高校からは受験できない中高一貫校の増加など、これまでの常識が通用しなくなっている激動の受験界を、中学受験塾を舞台に、講師と生徒、保護者の、合格を勝ち取る闘いを強烈なキャラクターと圧倒的なリアリティで描く、時代の要請に応える作品です。…購入はこちらから

高瀬志帆

著者の高瀬志帆(たかせ しほ)さん
漫画家。週刊ビッグコミックスピリッツで『二月の勝者―絶対合格の教室―』を連載中。代表作に『おとりよせ王子飯田好実』ほか。