パパに読ませたい 必読!中学受験マニュアル

inter-edu’s eye
中学受験専門のプロ個別指導教室SS-1副代表の辻義夫さんと、プロ家庭教師・西村則康さんの共著『いちばん得する中学受験』を読んでみました。素晴らしい内容の本です。中学受験の現状から、勉強法や資金計画など、プロ中のプロならではの具体的なノウハウが満載されている上、読みやすい。中学受験予定のご家庭はもちろん、小学生をお持ちのすべての方におすすめしたくなりました。

◆プロ中のプロが明かす「こうすれば中学受験は成功する!」

得する中学受験 辻義夫 西村則康

今年、親戚の子どもが中高一貫校の受験をしました。まるで遊んでいるように勉強をする子で好奇心も旺盛、小学校の成績は常にトップ。周囲は「もしかしたら受かるかも」と期待していたようですが、残念ながら落ちたと言います。

「落ちた理由は何だろう?」と知りたくなったのですが、両親から話を聞いてみても要領を得ずよくわかりません。そんなときです。この本の出版を知ったのは。

本のタイトルは『いちばん得する中学受験』。中学受験専門のプロ個別指導教室SS-1副代表の辻義夫さんと、インターエデュでもおなじみのプロ家庭教師・西村則康さんの共著です。

読んでみて驚きました。中学受験を役立つものにするための心構えから、中学受験の現状、塾や学校の選び方、勉強方法、そして資金計画に至るまで、必要なことが体系的に簡潔にまとめられています。中学受験アドバイス本はいくつも見てきましたが、本書こそナンバーワンと言えるでしょう。

たとえば中学受験のために塾に通わなければならない理由。今の親御さんたちが受験をした頃と受験事情が様相が変わり、私立中学や中高一貫校に合格するためには、学校の勉強とは別に、受験対策の勉強を本格的に行わなければならなくなった現状が具体的に解説されていています。

あるいは塾通いのスタート時期。小学4年生から始まるのが一般的になっていますが、それは小学5年生から学習内容が一気に難しくなるため、小学4年生から始めるのが最も理にかなっているというのです。

著者は言います。「小4から勉強した子は、まずどこかに受かる」。それは、小4の1年間を、勉強をするクセをつける助走期間として使えるから。9歳から厳しい勉強をさせるのはかわいそうだという意見には、長年にわたって子どもたちと接してきた経験から、「まったくそんなことはない」と断言しています。

塾や志望校の選び方や、子どもをやる気にさせる効率的な勉強方法、塾が合わなかったときの対処法、資金に余裕がないときでも最大限の効果を発揮させられる塾の使い方なども同様で、さまざまなノウハウが、過不足無く網羅されています。

「この進学塾は資金的に無理」「中学受験させるには遅いかも」と思っても、Aという方法がダメならBがある、BがダメならCがある、という具合に、次々と代案が示されているのも見事と言う他ありません。ひとつひとつのテクニックはよく知られているものなのですが、子どもの性格や能力に合わせ、手法を有機的に組み合わせて効率的に利用するアイデアを教えられると、「そうか、こういう方法もあったんだ」と気づかされます。読み進めるうちに、誰もが「これを実践すれば中学受験は成功させられるのでは?」と思えてくることでしょう。

◆鶏口となるも牛後となるなかれ

著者が勧める塾は、大手の集団指導塾を基本としていますが、その理由もはっきりしています。志望校に合格させるための情報やノウハウが、分厚く蓄積されているからです。試験問題の傾向をさまざまなルートから集め、対策をしっかりと取っています。

となると、塾選びの基本としては、大手4塾を選択肢の中心とせざるを得ませんが、その塾に関する分析も具体的。曰く、「SAPIXは最難関校を目指す子向き」「早稲田アカデミーは体育会系」「四谷大塚はテキストが秀逸」「日能研は万人向け」といった具合です。

といって、地方の中小塾や個人塾を全面的に否定しているわけではありません。通える範囲に大手塾がない、塾の授業料を負担できないといったケースもあるからです。その場合、「四谷大塚準拠」の塾を選ぶか、地元の個人塾で勉強するクセをつけた段階で大手塾に転塾するなど、具体的な代案が示されているのです。

塾選びのノウハウで最も感心したのが、子どもが「できるだけ上位クラスで学習できる塾はどこかを探る」という部分です。理由は簡単。進学塾にとって大切なのは難関校への合格実績だから、上位クラスの子が大事にされるのです。

進学塾はビジネスです。優秀な生徒を大勢集めて難関校を受験してもらい、合格実績を高めなければビジネスを続けていくことはできません。だから「できる子」を大切にしてしまいます。もちろん講師によっては、下位クラスの子に可能性を感じて懇切丁寧な指導をしてくれることもあるでしょう。でも塾に入る前からそれを期待することはできません。塾選びでは、原則、「鶏口となるも牛後となるなかれ」という格言が生きているのです。

世間の評判や知人からの情報、あるいは見栄で選ぶのではなく、自分の子が伸びる可能性がもっとも高い塾はどこか、親御さん自身でしっかりと見極めてください。上位クラスに入れるかどうかとともに、その教室の環境や講師の指導法なども要チェック。これは子ども自身にできることではありませんから、親御さんの能力が試される部分でもあるのです。

軽快な文章で記された具体的な中学受験のノウハウだけが、この本の魅力ではありません。各章の終わりに入れられた西村先生のコラムが秀逸です。こちらも、ぜひ熟読してください。

◆ママだけでなく、パパにこそ読んでほしい

さて、本書を読み終えて、冒頭で紹介した親戚の子が受験に失敗した理由がよくわかりました。最大の理由は、公立の中高一貫校を目指していたのに「ena」など、それ専門の進学塾に行かなかったこと。中学受験の実情をよくわかっていなかった両親は、そのことの重大さに気づいていなかったのです。聞いてみると、塾の先生は、私立なら受かると言ってくれていたと言います。

加えて、進学塾に通い始めたのが小学5年生になってからと、遅かったことも影響しているでしょう。さらに、西村先生の2番目のコラム「お父さんだからできる役割がある」を読んで、気づいたことがありました。親戚の子の父親は地方出身者で公立の中学、高校に通いました。息子が「ここに行きたい!」とずっと言っていたのに、受験に関しては子ども任せで、ほとんど関心を持たなかったんですね。失敗パターンの王道に入り込んでしまったような気がします。

とはいえ、受験に失敗した親戚の子は、もうすでに、高校受験でさらに上を目指す気になっています。著者が言うように、中学受験は結果はどうあれ決して無駄にならないんだと思わざるを得ません。

公立中学校へ通わせるものだと思っていても、子どもはいつ、「受験したい」と言い出すかわかりません。中学受験という人生の飛躍ステップに親子で挑み、最大限の効果を発揮させるにはどうすればいいのか。そんなことを少しでも感じた親御さんにとって、この本に記された具体的なノウハウや心構えは、大きな手助けになること間違いありません。小学生のお子さんをお持ちの親御さん、特にお父さんにおすすめしたい本です。

得する中学受験 辻義夫 西村則康

いちばん得する中学受験
辻義夫/西村則康共著、すばる社刊、1400円+税
「小学生にあんなに難しい勉強をさせるのはかわいそう」「地元にいい塾がない」「進学塾に通わせるにはお金がかかりすぎる」「中学受験で子どもが燃え尽きるのでは?」といった心配で、中学受験に踏み切れない親御さんも多いことでしょう。
でも大きな心配には及びません。確かに一朝一夕では無理ですが、小学校低学年のうちから受験準備をスタートさせ、進学塾を効果的に使って子どもの能力を伸ばしていけば、親も子も無理をせず、志望校に合格させることも夢ではありません。
ではそのためにどうすればいいか。そのノウハウがぎっしり詰まっているのが本書です。教育および受験指導のプロ中のプロである著者ふたりが、中学受験成功のためには何が必要か。余すところなく紹介してくれました。小学生をお持ちの親御さんすべてにおすすめしたい本です。 …購入はこちらから

辻義夫

著者の辻義夫(つじよしお)さん
中学受験専門のプロ個別指導教室SS-1副代表。中学受験情報局『かしこい塾の使い方』主任相談員。1988年から兵庫県で学習塾での指導を開始。浜学園の講師を経て2000年のSS-1の設立に尽力。開設当初から大阪谷町教室で最難関中学受験生の指導を担当する。2012年から活動の場所を東京に移し、さまざまなメディアで情報を発信している。
著書に『中学受験 見るだけでわかる理科のツボ』(青春出版社)、『頭がよくなる 謎解き 理科ドリル』『楽しく覚えてアタマに残る 謎解き 理科用語』(以上、かんき出版)、『中学受験 すらすら解ける魔法ワザ 理科・計算問題』(実務教育出版)他。


西村則康

著者の西村則康(にしむらのりやす)さん
30年以上、難関中学・高校受験指導一筋のカリスマ家庭教師。日本初の「塾ソムリエ」としても活躍中。暗記や作業だけの無味乾燥な受験学習では効果が上がらないという信念から、「なぜ」「だからどうなる」という思考の本質に最短で入り込む授業を実践している。また、受験を通じて親子の絆を強くするためのコミュニケーション術もアドバイスする。 これまで開成中、麻布中、武蔵中、桜蔭中、女子学院中、雙葉中、灘中、洛南高附属中、東大寺学園中などの最難関校から中堅校まで、レベルを問わず数多くの子どもたちを合格させてきた実績を持つ。テレビや教育雑誌、新聞でも積極的に情報発信を行っており、保護者の悩みに誠実に回答する姿勢から熱い支持を集めている。また、中学受験情報サイト『かしこい塾の使い方』は16万人のお母さんが参考にしている。