元銀行支店長が教える親子のためのマネー教育の指南書『あなたと子どものお金が増える大金持ちの知恵袋30 』

『あなたと子どものお金が増える大金持ちの知恵袋30 』

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子を持つ親なら誰もが、「将来、お金で苦労してほしくない」と思うもの。ところが、お金のことを子どもに教えたくても、どうすればいいか迷ってしまう。そんな親御さんに向けて書かれた本が話題を呼んでいます。書名は『あなたと子どものお金が増える大金持ちの知恵袋30 』。元メガバンク支店長の菅井敏之さんが、「お金の成功者」との付き合いで知り得た「大金持ちの知恵袋」から、本当に大切な要素を選び抜いて紹介した本です。

お金との良好な付き合い方は「真の資産家」に学べ

本書の著者の菅井敏之さんは、元銀行マン。メガバンクの支店長をつとめたあと、不動産オーナーとして独立した方です。銀行マンとしての経験と不動産オーナーとしての実践をもとに、『お金が貯まるのは、どっち!?』『家族のお金が増えるのは、どっち!?』(ともにアスコム刊)を著したところ、シリーズ累計で50万部のベストセラーに。

読者の反応の中には「もっと早く知っていれば子どもに教えてあげられたのに」という、切実なものもあり、あらためて、お金の悩みや不安をかかえている人が多いことに気づかされたそうです。本書は、こうした声に応えるために著されました。

「はじめに」の中で、著者は次のように書いています。

「お金のことは、『お金の成功者』に教えてもらいましょう」

お金持ちというと、つい派手な生活をしているように思われがちですが、そんなことはないそうです。昔、大金持ち相手の高価な商品を販売している人から「本当のお金持ちは生活が地味」と聞いたことがありますが、著者も同じことを書いています。

「真の資産家は決して派手な生活はしませんし、服装も地味です。『秘すれば花』とよく言いますが、自分たちの核となる『最高のお金教育』や『お金の増やし方』をべらべらと吹聴したりもしません」

そうした「真のお金持ち」の暮らしぶりに接する中で著者が発見した「秘伝」の中から、親子にとって本当に大切なものを厳選し、「知恵袋」と名付けてわかりやすく解説したのが本書です。

お金教育は筋トレと同じ。正しく、繰り返し学ぶ必要あり

本書は、30の秘伝を5つのテーマで分類し、それぞれに詳しい解説をつけ、最後に「知恵袋」と名付けたエッセンスを記す構成になっています。

第1章 「大金持ち」の知恵袋
第2章 「稼げる人」の知恵袋
第3章 「貯められる人」の知恵袋
第4章 「増やせる人」の知恵袋
第5章 「もらえる人」の知恵袋

ここでは第1章の、「大金持ちのお金に関する考え方」を中心に少しご紹介します。著者によると、「真のお金持ち」は、例外なくお金教育に熱心だそうです。お金に対する基本的な考え方やノウハウを、子どもが幼いころから、「暮らしのなかで自然に、繰り返し、根気よく」教え込むのです。

「筋トレと同じ」と著者は言います。間違った筋肉トレーニングをすれば身体を壊すように、間違った知識やノウハウは資産を損なうのです。たとえ正しい方法でも、毎日、繰り返してトレーニングを続けないと、お金に関する知恵と習慣は身につきません。筋トレのように、サボらず、続ける必要があるのです。著者は、「お金筋」を鍛えると表現していますが、言い得て妙です。

「大金持ちが子どものお金教育に熱心なのは、お金と仲良く生きていくには、正しい『お金筋』が必要だと知っているから」(知恵袋1)

代々続く資産家は「子どもに決して秀才を目指させない」という話も興味深いものでした。通常はまんべんなく良い成績をとって、良い学校に進学してほしいと願うものですが、資産家は「成績はそこそこで良い」と考えるのだとか。むろん、成績は良いに越したことはありません。でも、それよりも、突出した得意分野があることを、より重要視しているのです。

「得意分野がある人たちを集めてスーパーチームを作り、最大の結果を得るほうが数段いいと考える−−これが、経営をする側の発想なのです」

また、才能を生かすためには常に新しいことを学ばないといけないし、人とのコミュニケーション能力も求められます。

だから、資産家は「人脈」「情報」「勉強」「健康」の4つの要素への投資は惜しまない、と著者は断言します。資産家は、これら4つの要素がもたらしてくれる恩恵が、何物にも代えがたいものであると熟知しているのです。

家族で経営会議を開き、お金について話し合う

お金

第2章以降から、資産家の暮らしぶりから見つけた秘訣に著者自身が実践していることが加わり、お金を稼いで貯めて、増やすための考え方とノウハウが紹介されます。著者は「アナログであたりまえのこと」と書いていますが、かなり興味深い内容です。

たとえばお金の稼ぎ方。「どうして働くとお金がもらえるのか」と子どもに聞かれたとき、どう答えるか。著者は「人が困っていることを解決したことへの感謝と感動の対価だ」と答えるそうです。

仕事をしている大人なら誰しもわかっていることでしょうが、いつもいつも人から求められるとは限りません。人が何に困っているのか、誰もやっていないことで人が必要とすることや物は何なのか、考えて行動に移さないとビジネスにつながらないのですが、これがなかなか難しい。

これも子どものときから習慣化しておくと、ビジネスの基本となる「進取の気性」を持つ子に育てることが可能となるのです。そのために著者が提案していることのひとつが、「家庭内ビジネス制」。子どもに、誰かの悩みを自ら発見し、自分で働いて解決する役割を担ってもらうのです。

常日頃家庭内で役割分担されているお手伝いについては無報酬。ただし、子どもが自発的に人の手伝いをすればお小遣いを与える。言われる前にやったことで人に喜んでもらえ、報酬までもらえることの意味を理解すれば、子どもはどんどん自分で「仕事」を探すようになるものです。

子どもがある程度の年齢になったら、家族のライフプランを作ることも著者は提案しています。人生の計画、つまり家族全員が将来したいこととその支出予想をまとめたものです。将来の収入は予想がつかなくても、したいことの予算は予想がつきます。それを数字で「見える化」するのです。

そして、家族全員で、定期的に経営会議をし、お金の話をどんどんする。短期的な経営会議だけではなく、ライフプランをもとにした長期目標の会議もする。その際、1か月分の収入を現金で用意し、家計の実態を家族全員で把握することを著者はすすめています。その際、教育費も含めて聖域は作らないのが大切。具体的なお金を使うことで、家計の見直しにつなげることもできるでしょう。子どもにとっては、お金は有限だということを自覚することにつながります。こうしたことの繰り返しで、金を貯める力が養われていきます。

お金の失敗は子どもの財産。過剰な口出しはやめよう

そして最後は、貯めたお金を増やすことを学びます。お金を増やすために必要なことは、「お金を管理する能力」と著者。お金が入手できたら「消費」「貯蓄」「投資」の3種類に分けて「必ず貯蓄」することが鉄則だそうですが、子どもにも口座を作り、自分で管理させることが大切になるのです。

子どもですから、お小遣いが入ったとき、貯蓄をせずに衝動買いに走ることもあるでしょう。その買い物が失敗だったということもあるでしょう。でも、親はあまり口出しをすべきではない。口出しをしすぎると、失敗する経験を奪い、失敗を失敗として認める機会を失ってしまうからです。

「子どもが自分にとって価値あるお金の使い方について考えるチャンスを奪ってしまうのです」と著者。子どものときの、お金の使い方に関する失敗は、とても貴重な経験、いわば財産です。最高の教材なのですから、親は心してその機会を奪わないようにしてほしい、というのが著者の主張です。

どの「知恵袋」も、題材が具体的で、解説が読みやすいのも本書の秀逸なところ。巻末には財務諸表とライフプランの解説が付いています。小学校高学年以上のお子さんであれば、本書で解説されているお金の稼ぎ方、貯め方、増やし方を実践することは十分に可能でしょう。本書を指南書に、親子で一緒に金融リテラシーを身につけてみてはいかがでしょうか。

おしごと年鑑

あなたと子どものお金が増える大金持ちの知恵袋30
菅井敏之(すがい としゆき)著、集英社刊、1300円+税

これからの時代を生きる子どもたちに必要な「マネー教育」について、詳しく解説したのが本書です。元銀行支店長として多くの資産家たちと深く接した経験から学んだ「お金持ちの知恵」から親子に必要な法則やノウハウを厳選。といっても、その多くは難しいことではなく、どれも親子で楽しく学ぶことができる内容で、家庭でこそ実践したいものばかりです。
巻末付録として、財務諸表や、家族のライフプランについてのベーシックコラムがついており、お金と上手に付き合うための基本となるPL(損益計算書)やBS(貸借対照表)の作り方も学ぶことができます。子育てを真っ盛りの人のみならず、マネーの悩みを感じている人すべてにおすすめしたい本です。

著者の菅井 敏之(すがい としゆき)さん
元メガバンク支店長。「お金の町医者」として活動中。別名「田園調布のマネードクター」。
1960年生まれ。学習院大学卒業後、三井銀行(現・三井住友銀行)に入行。個人・法人取引、およびプロジェクトファイナンス事業に従事。金沢八景支店長(横浜)、中野支店長(東京)を経て、48歳で退職。複数のアパートオーナーとして不動産賃貸事業に力を入れる。2012年、東京・田園調布にカフェ「SUGER COFFEE(スジェールコーヒー)」をオープン。
銀行員としてのお金を「貸す側」、不動産投資家としてのお金を「借りる側」、両方の視点を生かして毎年安定した収入を得ることに成功した経験をもとに、全国の講演会で講師として活動するほか、テレビ・ラジオ等にも多数出演。
2014年に上梓した初の著書『お金が貯まるのは、どっち!?』は、40万部突破のベストセラーとなり、2015年、オリコンビジネス書部門第1位に輝いた。その他、『家族のお金が増えるのは、どっち!?』、『金の卵を産むニワトリを持ちなさい』、『読むだけでお金の増やし方が身につく 京都かけだし信金マンの事件簿』(すべてアスコム刊)など著書多数。