忙しいママも勉強が大変なキッズも大切なのはパッション!

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平成の時代に足りなかったのは何? 未来を生きるわが子によりよい教育と人生をプレゼントできるとしたらそれは何? そんな親心に大きなヒントをくれる新刊が登場。ボーク重子さんの『「パッション」の見つけ方』です。自己肯定感が低いかもと感じているママには特におすすめ。厳しい小学校受験、過酷な中学受験を、どうしたら心が折れずに親子で乗り切れるかの秘訣もわかります。

◆困難な時も前向きになれる力を親子で手に入れよう!

「パッション」の見つけ方,ボーク重子,小学館

今回ご紹介する書籍は、今年2月に紹介して話題を呼んだ『「非認知能力」の育て方』の著者の新刊です。著者はボーク重子さん。前著では、子どもに賢さと幸せを約束する「非認知能力」についてわかりやすく論じられていましたが、新著『「パッション」の見つけ方』では、「パッション」こそが5歳も40歳も70歳も、世代を超えて人々に幸せをもたらす、いったいそれはどういうことか、どうすればそうなれるのかを、ボークさん自身の体験、周囲の人々の体験、専門家の研究報告なども盛り込んで、パッションたっぷりに語られています。

「パッション」を辞書的に訳すと「情熱」という意味になりますが、少々ニュアンスが違うようです。「はじめに」には、「それを心に抱いていれば、困難や逆境にさえ打ち克ち、常に前向きな人生・夢へとドライブしてくれる熱いエンジンのようなもの。また自分だけの『好き』で終わらず、必ず誰かのためになり、多くの人を巻き込んで大きなパワーとなっていくものです。」と書いてあります。

でも、これだけではわかりませんね。でも、だからこそ単行本1冊を使って、著者は、「パッション」について書いてくれたのです。ですから、ここで簡単に説明することはできません。ただ、ボークさん自身、米国に住み始めた当初は気づかなかった「パッション」について、少しずつその重要性に気づき、自分の人生だけでなく、子育てにも子ども自身にもとても大切なものであることがわかって、ご自身の生き方に取り入れていきました。そんなボークさんの物語を読んでいけば、すーっと皆さんの心にもしみわたっていくことでしょう。

◆心から「好き」と思えることに挑戦したことがありますか?

本書には、ボークさん自身の半生が詳細に語られています。序章「『パッション』とは何か」で、私たちは、ボークさんが歩んできた道を知ることができます。一生懸命だったのに、決して幸せとは言えなかった若い頃。おそらくエデュママの中にも同じような10代、20代を送った方が案外多いのではないでしょうか。

どんな若い頃かといえば、“これをやったら楽しいだろうな、でも私には無理。分不相応…、やっぱり、安定・安心と言われている道を選んだほうがいい…”という心の中の声に引きずられて、ちっとも楽しくないのに一生懸命その道をたどっていたような、そんな若い頃です。

何事も一生懸命なボークさんは、さまざまな仕事を合格点までやり遂げながらも少しも楽しくないことに気づき、そのうえ失恋も経験し、いよいよ切羽詰まって、それまで自分には分不相応だと思っていた選択をしました。「思い切って、アートの道に飛び込んでみよう!」と。そしてロンドンの美術系大学院で学び始め、そこで初めて心から面白いと思える勉強に出会ったのだそうです。30歳直前のことでした。

「勉強=テスト」という環境で育ってきた私にとって、テストがすべてエッセイ方式だったことも新鮮な驚きでした。どれだけ相手を説得させられるかが決め手で、そこに「共通の正解」はないのです。(序章 P26)


皆さんは、心から好きと思えることに夢中になった経験はありますか? あるいはお子さまが大好きなことを応援していますか? 「パッション」とは、まず第一に、他の誰でもない、その人本人が心から好きと思えることから始まります。そしてその「好き」を人生の大きな果実にしていく力であり、目標であり、目的です。

自分の「好き」で選んだ道は、もちろん平坦ではありません。しかも、そこには誰にでもあてはまる「共通の正解」もありません。一生懸命に勉強してテストで100点をとることは、与えられた課題に共通の正解を出すことですが、人生がテストのようにはいかないことは、大人になれば誰にでもわかります。人生には「共通の正解」はないのです。

それなのに、小さい頃からテストで満点をとることに邁進してしまっていたら? ボークさんによると、米国人の親御さんの中には、「そんなことをしていたら、人生を生き抜くパッションを見つける時間がなくなるじゃないか」と言う人もいるのだそうです。

◆パッションのある子に育てるには母親にパッションが必要

本書は序章に続いて、第1章「子どもの可能性を広げるもの」、第2章「母親にこそ『パッション』が必要」、第3章「『パッション』を仕事に生かす方法」、第4章「定年後こそ、『パッション』天国!」と全世代を網羅した構成になっています。さらに、第5章と第6章は実践編として、「『パッション』の見つけ方」と「『パッション』の育て方」が解説してあります。

あるエデュママは、本書の感想をこう語ってくれました。

この本で最も印象に残った言葉は、「親の仕事というのは、子どもに『あなたは何をすべきか』を教えることではなく、『あなたは何がしたいの?』と根気よく聞くことなのです。」(第1章、P51)です。

親は子どもより世の中のことを知っているから、こうしたほうがいいと言いがちだし、過去の失敗を踏まえて、こうならないようにとさせがちです。子どもの将来を思えば思うほど、それが親の大事な役目だと強く思ってしまいます。でも、この本を読んで、子育てに関する考え方が、この方向に寄りすぎているのかなと気づかされました。

そのせいか、子どもの得意なところを伸ばそう、意志を尊重しようと思っても、実は行動が伴っていない感じがします。そもそも何が得意で、子どもがどういう意志を持っているのかが、わかっているようでわかっていなかったりもします。今子どもは何がしたいと思っているのか…という視点で子どもを見ることで、『あなたは何がしたいの?』と聞かなくても、もっと子どものことを理解できるようになるのではないかと思いました。

また「根気よく聞く」という言葉に重みを感じました。この「根気よく」がなかなかできないのは、子育てへの力配分が「子どもをしつける」ことにあるからです。これからは「根気よく」にエネルギーを注ぎたいと思います。それには親の精神的余裕も、時間的余裕も必要ですよね。

そこで、母親の「パッション」なのでしょうね。生きがいを感じて毎日生き生きとしている、そうすると気持ちに余裕が生まれる、子どもに根気よく聞けるようになる…ということなのかなと感じました。

そう、子どもに「パッション」を育てるには、母親にも「パッション」が必要なのです。第2章で、母親に必要なパッションとは何か、どう自分自身で育てていくかのヒントを見つけてください。ボークさんの半生の物語に共感する方はもちろん、そうでない方も、何か行き詰まりを感じているとしたら、その突破口が見つかるのではないかと思います。

「パッション」をキーワードにしたとき、働いているとか専業主婦だとかいったことは一切関係ありません。また「パッション」探しに、就職のような年令制限やテストのような時間制限はありません。自分自身を自分で肯定できて、しかもそのことが子どもや周囲に幸せをもたらせるような生き方がいいと思うならば、そんな生き方への道筋が、この本には書いてあります。毎日「やるべきこと」に追われて一生懸命だけど少し疲れているママたちに、ぜひ読んでいただきたい本です。

「パッション」の見つけ方,ボーク重子,小学館

「パッション」の見つけ方 ―「人生100年ずっと幸せ」の最強ルール―
ボーク重子著、小学館刊、1400円+税

「パッション」とは、大好きでたまらないこと、やり始めたら時間を忘れるほど熱中すること。それこそが自分の生きる意義だという想いを持てるもの。自分だけの「好き」で終わらず、必ず誰かのためになり、多くの人を巻き込んで大きなパワーになっていくもの。それが仕事の場合もあれば、ボランティア、趣味である場合もあるが、「パッション」には、自己実現だけで終わらない「誰かのために」「社会のために」という、外向きのエネルギーが必要なのだ。 そんな”何のために”が明確になった「パッション」さえあれば、あなたの人生は一変する。子どもは心の折れない強い子に成長し、ビジネスマンはこれまでにない「幸福感」と「新しい自分」を手に入れ、シニアは健康と生きがいを得られる。誰にでも「パッション」はある。ただ、本物の「パッション」を見つけるのはそう簡単ではない。見つけるまで探し続け、見つけたらそれを育てるコツも重要だ。全米・日本各地で講演活動をするライフコーチ、ボーク重子氏が世代別にその「パッション」の見つけ方/育て方を、豊富なエピソードと共に公開する。

ボーク重子

著者のボーク重子(ぼーく しげこ)さん
作家、ICF認定ライフコーチ、福島県出身、米・ワシントンDC在住。30歳の誕生日前に渡英、ロンドンにある美術系大学院サザビーズ・インスティテュート・オブ・アートに入学。現代美術史の修士号を取得後、フランス語の勉強のために訪れた南仏の語学学校で、アメリカ人のである現在の夫と出会う。1998年渡米・出産。子育てと並行して自身のキャリアも積み上げ、2004年、念願のアジア現代アートギャラリーをオープン、2006年、ワシントニアン誌上でオバマ前大統領(当時は上院議員)と共に、「ワシントンの美しい25人」のひとりとして紹介される。また、一人娘スカイは2017年「全米最優秀女子高生」コンテストで優勝、多くのメディアに取り上げられた。現在は全米・日本各地で、子育て・キャリア構築・ワークライフバランスについて講演会やワークショップを展開中。著書に『「非認知能力」の育て方』(小学館)などがある。