美術を通して磨き上げる“人間力”

美術を通して磨き上げる“人間力”

inter-edu’s eye

女子美術大学付属高等学校・中学校(以下、女子美)は美大の付属校でありながら、美術と普通教科を両立した教育を行う稀有な学校です。今回は女子美大出身でもある校長の石川康子先生に、美術教育の重要性や女子美の校風、今後予定しているカリキュラムの改革まで、たっぷりとお話をうかがいました。

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美術は“現代社会を生き抜く力”を育てる

美術は“現代社会を生き抜く力”を育てる
2008年に神奈川県立高校の校長に就任し、全国高等学校美術・工芸教育研究会副会長、神奈川県教科研究会美術工芸部会会長、女子美術大学特別招聘教授等を歴任し、2017年4月より現職に着任された、石川康子校長。

インターエデュ(以下、エデュ):石川先生は校長に着任する直前まで教壇に立っていらっしゃいましたが、美術教育の意義についてどのようにお考えでしょうか。

石川先生:これまで美術教育は“情緒や感性を育む”といわれてきましたが、それに加えて私は“現代社会を生き抜く力が身につく”と考えています。なぜなら美術教育はアイデアを生み出す発想力や、発想を形にする表現力を飛躍的に伸ばすことができるからです。
人工知能(AI)などのテクノロジーが急速に進化している今、次世代を生きる子どもたちはAIが不得手な創造力や独創性を養う必要があります。美術を学んでも将来役に立たないと考える方もいらっしゃいますが、むしろ美術はこれからの社会で活躍する力を養い、子どもの可能性を広げてくれると思っています。

エデュ:美術の力を時代が求めているのですね。

石川先生:時代の流れに敏感な保護者も多く、近年女子美への注目度が高まっていると感じます。これまで女子美がやってきたことにようやく時代が追いついたように思えて、とても嬉しいですね。また、来年度より高校では2単位増やし、絵画・デザインに加え、工芸・立体のコースを新設する予定です。期待してください。

エデュ:美術以外で大学受験に必要な普通教科の学習はどうなっているのでしょうか?

石川先生:他校と比べて美術の授業数は多いですが、本校はあくまでも普通科の学校です。美術と勉強が両立できるようにカリキュラムを組んでいますから、中高生に必要な学力をしっかり身につけることができます。美術大学以外への進学を目指す高校3年生のために、美術の授業数を受験の為の学科にあてる「学科選択」の制度も用意しています。

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お互いの個性を認め、刺激し合う生徒たち

100周年記念大村文子基金女子美美術奨励賞作品
2年前にインタビューしたH.Sさんの作品が、2018年度卒業制作展で100周年記念大村文子基金女子美美術奨励賞を受賞しました!(過去のインタビュー記事はこちら

エデュ:石川先生は生徒と話すのが大好きで、積極的に交流を深めているとうかがいました。生徒と触れ合って感じる、女子美生ならではの特徴はありますか?

石川先生:みんな自分をしっかり持っていますが、決して頑固なわけではなく、他者を認める柔軟性も兼ね備えている印象です。このような気質は、美術を通して育まれていると感じます。作品には、作者の性格がにじみ出るもの。生徒たちは作品を通してお互いの人となりを知り、『こんな発想があるなんて!』『わたしもこういう作品が作りたい!』と、個性を認め合うようになるのです。

エデュ:“美術が好き”という気持ちが、生徒たちの心を繋ぐのですね。

石川先生:そうなんです。さらに、社会で活躍している卒業生と交流して感じるのが、自分自身を肯定する気持ちが強いことです。在学中にアイデンティティを確立し、『自分ならできる!』と自信を深めることで、社会に出て困難に直面しても立ち向かっていけるようです。教員が保護者と連絡を密にして、生徒たちがのびのび育つように温かく見守っていることも、自己肯定感を育むことにつながっているのではないかと思います。
とはいっても、女子美生は決して温室育ちではありません。作品を教員に厳しく講評されたり、展覧会の公募で落選したりと、たくさんの挫折を味わうからです。他者に批評されながらも自分らしさを追究し、友だちと切磋琢磨することで、力強い人間へと成長していきます。

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英語を強化! 新カリキュラムで生徒の力を伸ばす

生徒たちとのコミュニケーションが欠かせないと明るくおっしゃる石川先生
生徒たちとのコミュニケーションが欠かせないと明るくおっしゃる石川先生。

エデュ:学業に関する新しい取り組みはありますか?

石川先生:来年度から中学で2時間、高校で4単位、英語の授業を増やします。高校ではiPadを活用したオンライン英会話授業の導入も計画中です。英語に力を入れるのは、自分の作品への思いを英語で伝えられるようになってほしいから。高校3年生になったとき、自身の卒業制作について英語でプレゼンテーションできるようになるのが目標です。実践的な英語の習得は、今後のグローバル社会において必ず役に立つと思うので、今後も強化していきたいと思っています。
カリキュラムが変わる変革のときにこそ生徒はグッと成長します。これからも美術に加えて勉強もできる“鬼に金棒”な生徒を育てるために、教員と連携してより良いカリキュラムを練っていきたいと思っています。

エデュ:昨年から作文と面談で行う『自己表現入試』がスタートしましたが、手応えはいかがですか?

石川先生:想像以上に素晴らしいものでした。初めての取り組みだったので、作文を採点している教員の様子をうかがいに行ったのですが、作文の内容に感動して採点がなかなか進まないと言うのです。『まさか』と半信半疑で作文を読んだら、『小学6年生の文章力はこんなにもすごいのか』と心を動かされ、来年度の自己表現入試の募集人数を増やすことを予定しています。自己表現入試では何よりもまず、発想力や表現力を重視しています。言葉で思いを伝えることに自信がある子は、ぜひチャレンジしてみてください。

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編集者から見たポイント

写真撮影の際、「先生と一緒に写ろうよ」と、自ら生徒に声をかけてくださった石川先生。女子美生の成長を温かく見守りながら、より良い学習環境をつくるために邁進する力強い姿が印象的でした。次回は、石川先生が力を入れているとおっしゃっている英語の授業に注目します! 充実した授業内容を詳しくお伝えします。

公開行事・学校説明会日程

イベント名 日程
体験学習(小学生対象)
「絵を描こう!」
6月17日(日) 午前の部10:00~、午後の部13:00~
運動会 6月27日(水) 10:30~14:00
夏期講習会(中学3年生対象) 7月26日(木)~28日(土)
美術のひろば(体験教室) 8月6日(月)・7日(火)
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