視野を広げて行動力を育む教科横断型授業

視野を広げて行動力を育む教科横断型授業

inter-edu’s eye

美大付属校でありながら、美術と普通教科を両立した教育を行う女子美術大学付属高等学校・中学校(以下、女子美)では、すべての教科を幅広く横断的に学んで知性を深めるオリジナリティに溢れた授業を実施しています。今回は生徒から「おもしろい!」と大人気の地理の授業を担当する近藤千鶴先生にインタビューを行い、授業や課題に込めた思いなどについて、詳しくうかがいました。

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地理の授業をきっかけに見聞を広めてほしい

インターエデュ(以下、エデュ):近藤先生が高校1年生の授業で行う「運命の国をアピールしよう!」は女子美の名物授業と評判ですが、どのような内容なのでしょうか?

近藤先生:生徒はくじ引きで引き当てた国について夏休みにレポートを制作し、2学期にグループワークで内容を共有します。そして、3学期には担当した国の魅力を伝える3分間のプレゼンテーションを行います。民族衣装や街並みの模型を作るなど、プレゼンにかける熱量は見学に訪れた保護者が涙するほどです。

夏休みのレポートは手書きがルールで、力作ぞろい。
夏休みのレポートは手書きがルールで、力作ぞろい。
飛び出す絵本のようなレポートも!
飛び出す絵本のようなレポートも!

エデュ:教科の枠組みを超えた、ユニークな授業ですね。

近藤先生:地理は理科や公民、英語、国語などさまざまな教科に通じているので、地理をきっかけに多様な知識を深めてほしいと願い、この授業を行っています。実際、生徒の中にはフィリピンを引き当て、調べていくうちにストリートチルドレンに興味を持ち、大学入学後に現地を訪れてストリートチルドレンを支援するNGOの活動に参加した子もいて、教師として冥利に尽きますね。

エデュ:授業に取り組む生徒のようすはいかがですか?

近藤先生:対象国には日本人にとってあまり馴染みがなく資料集めに苦労している場合もありますが、生徒は大使館に行って情報を集めるなど積極的に行動して、質の高い内容に仕上げている印象です。また、プレゼンでは生徒同士がお互いに感想を書き合うのですが、友人から称賛のコメントをもらうことで自信がつき、自己肯定感も高まるようです。

クロアチア観光大使として発表する生徒。
クロアチア観光大使として発表する生徒。
フィリピン観光大使として発表する生徒。
フィリピン観光大使として発表する生徒。

エデュ:他にも女子美ならではの地理の授業があれば教えてください。

近藤先生:中学2年生の地域学習で、くじ引きで引き当てた都道府県のご当地キャラクターを制作する課題があります。キャラクターを作るにはその地域のことを深く知る必要があるため、課題を通して自然と愛着がわき、他者への理解力も育まれます。女子美生はインプットした情報をうまくアウトプットするセンスに秀でているので、個性豊かで愛らしいキャラクターがたくさん生み出されますよ。

地理以外にも美術の要素を取り入れた授業が! ≫

授業の主人公は教師ではなく生徒

エデュ:先生ご自身は地理の授業を通して生徒にどのような力をつけてほしいと考えていますか?

近藤先生:地理はアートと同様に境目がなくボーダレスで、世界に広く目を向ける必要がある教科です。私は「Think Globally、Act Locally(地球規模で考え、足元から行動しよう)」という標語がとても好きなのですが、私の地理の授業を通して世界に目を向け、行動する精神を育んでもらいたいと願って、授業を行っています。また、物事を多角的に見る力を養うことも重視しています。全体を広く見通す“鳥瞰的視点”と細部まで詳しく見る“虫瞰的視点”の両方をバランスよく養えるよう、一つの事象に対して論文を読んだり統計を分析したり、映像を見るなど、幅広いアプローチを行っています。

オランダ観光大使として発表する生徒。
オランダ観光大使として発表する生徒。
ルーマニア観光大使として発表する生徒。
ルーマニア観光大使として発表する生徒。

エデュ:地理の授業を通して感じる、生徒の変化や成長について教えてください。

近藤先生:中学では地理を暗記する教科だと捉えて苦手意識を持つ生徒がいます。しかし、クラスメイトと協働して学ぶことで自信がつき、苦手意識がなくなって、不得意なものにも果敢に取り組むチャレンジ精神が養われるように感じます。高校ではプレゼンテーション力はもちろん、毎週行う国名の小テストを通してコツコツ地道に積み重ねる力が身につきます。また、女子美では地理の授業に限らず、提出物の締め切りを守ることが非常に重視されているため、期限までに100%の力を作品やレポートに注ぎ込むことができるようになります。この力は、アーティストや社会人になった時に役立つと感じます。

エデュ:生徒と接する際に大切にしていることはありますか?

近藤先生:授業の主人公は教師ではなく生徒だと考えているので、指導するというよりもファシリテーターとしてアドバイスをしながら、生徒と共に学んでいく姿勢を心がけています。

生徒がプレゼンで使用した作品を解説する近藤先生。
生徒がプレゼンで使用した作品を解説する近藤先生。
プレゼンのために料理の模型を作った生徒も。精巧な作りに驚き!
プレゼンのために料理の模型を作った生徒も。精巧な作りに驚き!
美術につながる教育課程 ≫

女子美は“想像の翼”を広げられる学校

エデュ:近藤先生が生徒と触れ合って感じる、女子美生の特徴を教えてください。

近藤先生:独立独歩な生徒が多いです。入学当初は大人しくても、女子美で過ごすうちに「自分は自分。ありのままでいいのだ」と気づき、個性を発揮できるようになる印象があります。また、他者を認めることができる、優しい心を持った生徒が多いと感じます。これは、美術の作品を通してお互いの人となりを知り、個性を認め合うようになるからだと思います。

エデュ:受験生にメッセージをお願いします。

近藤先生:アンネ・フランクの言葉に「想像の翼は誰にも折ることができない」というものがあります。作家を夢見ていた彼女は苦しい状況でも、日記の中で想像の翼を広げ、心に希望の光を灯し続けていました。現在、ウイルスの影響で先が見えず、不安な思いを抱えている受験生も多いと思いますが、自分の想像の翼を折らずに、女子美で翼を思う存分広げる機会がやって来ることを信じて、頑張ってほしいです。皆さんが本校に入学するのを、心待ちにしています!

さまざまな分野で輝く卒業生たち ≫

編集者から見たポイント

「運命の国をアピールしよう!」のプレゼン前には生徒一人一人と丁寧に面談し、内容がより良いものになるようアドバイスをするという近藤先生。取材ではプレゼンの動画を見せていただきましたが、国を紹介するオリジナルソングを歌うなど、生徒たちの多彩なアイデアに驚かされました。女子美ならではの自由闊達な雰囲気を、ぜひ公開授業や文化祭などを訪れて体感していただきたいです。

イベント日程

イベント名 日時
体験学習(小学生対象)
※要予約
2020年9月6日(日)
10:00~・13:00~
中学校説明会
※要予約 ※小6のみ
2020年9月12日(土)
10:00~・12:00~
公開授業(中高共通)
※要予約
2020年10月3日(土)・11月7日(土)
9:00~10:00・10:00~11:00・11:00~12:00
女子美祭
※要予約
2020年10月25日(日)
10:00~・13:00~
ミニ説明会 11:00~・14:00~
中学校説明会
※要予約 ※学年不問
2020年11月14日(土)
10:00~・12:00~
詳細とお申し込みはこちら ≫

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