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東京家政学院中学校・高等学校(以下、東京家政学院)で、2014年から始まったタブレット端末を活用するICT教育。電子黒板やWi-Fi環境も整った校内で生徒たちはICT機器をどのように活用して授業を進めているのでしょうか。気になるICT教育の現場を紹介します。
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教材がプリントからタブレットに移行してからの変化
生徒一人ひとりにプリントを配布する光景。わたしたちには当たり前の授業風景ですが、東京家政学院は一歩先を進んでいます。先生がパソコンから教材をそのままクラウドにアップロードして、その内容を生徒がタブレットで確認。わずか数秒で何ページもの課題が全員に行き届きます。印刷することによる文字・写真の見づらさ、それに紛失の心配はありません。カラーページや動画などで学ぶべきポイントが分かりやすく提示されることで、生徒の理解もより深まります。
授業では、生徒の作品や考えなどをすぐにTVやプロジェクタに映すことができます。生徒全員で意見を述べ、感想を共有する機会が大幅に増えたことでプレゼンテーション能力も向上しているそうです。タブレットには、個人のデータが保存されるので、提出物や学習度合が蓄積された結果を、学校・自宅を問わず簡単に確認することができます。授業参観などで保護者がその様子を見ると、時代の変化に驚くと同時に、ICT教育の効果の高さを実感しているそうです。
授業の進め方とICT機器の活用法
授業の一例を見てみましょう。中2クラスの社会では、電子黒板とタブレットを使用して授業を進めています。板書するのは一部のみ。基本的には、先生が予め送信しておいたスライドを参照したうえで、生徒同士で答えを考えさせるような流れで進行していきます。
今回の授業は、天保の改革から、関連するデフレ、物価上昇に至った意味まで考えさせる発展的な内容。教科書や参考書も使用しますが、タブレットも参考書代わりに使用する程度で、ICTありきの授業にならないようツールとしての使用に留めています。生徒たちは、意見を出し合うなど積極的に授業に臨んでいました。
また、授業でICT機器を活用しているほかに、東京家政学院独自の取り組みとして「まなふりくん」というシステムを使った学習があります。まだ学習習慣が定着していない中学生に、授業や家庭学習の振り返りをさせるために使用しています。授業に対して生徒がコメントし、それに対して教員やクラスメイト、さらに保護者がコメントを加えるというものです。双方向でやり取りすることで、さまざまな人たちと協力して学習を行っているという実感が生まれ、授業に対して積極的に臨む姿が見られるようになりました。また、授業で時間が足りなかったときも、教員の質問を生徒が「まなふりくん」で返答する場合もあります。
さらに進化する受験向けアプリの導入
今後、東京家政学院では高校生にも生徒端末BYODや電子黒板、Wi-FiなどのICT環境を整えていく方針です。また、高校では受験に特化した「classi」や「スタディアプリ」などの導入を検討しています。
より発展的なICT教育を推し進めるため、黒板をノートに書き写すという従来の授業形態ではなく、動画やデータを提示してから、自ら問題を発見して解決していくような授業形態を取り入れようと各教科で考えているとのことです。
編集者から見たポイント
ICT教育というと、常日頃からタブレットばかりを使っているイメージを思い浮かべがちですが、東京家政学院は、タブレットに依存することはなく、あくまでツールとして使っており、生徒自身が意見を考え、みんなで発信するというアクティブな授業が展開されています。授業効率化はもちろん、密度の濃い授業を実現する手段として活用するICT機器によって、生徒がこれからどのような成長を見せるのかが楽しみです。
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