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「生きる力を身につけ、自尊の心を育む」ことを目指す、伝統校の東京家政学院中学校・高等学校(以下、東京家政学院)。“自分を誇れる心を持つ”ために重要視しているのが「キャリア教育」です。中高6年間かけてじっくりと、生徒自身が将来を考えるプログラムを展開している課程に注目します。

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建学の精神に基づいたキャリア教育の目的

東京家政学院はなぜ「キャリア教育」に力を入れて取り組んでいるのでしょうか。担当である国語科の児島豊先生にお話しをうかがいました。

インターエデュ(以下、エデュ):東京家政学院らしさを感じさせる学びについて教えてください。

児島豊先生(以下、児島先生):本校では多彩なプログラムを実施していますが、茶道や華道を学ぶ授業があるのは大きな特徴ですね。こういった日本文化を知る学習は、キャリア教育に通じる女子教育の一環として、長年行っている伝統的な授業です。マナー教室や家庭科の授業といった女子教育プログラムと併せて、入学から卒業までの6年間で生徒のペースに合わせて「生きる力」を身につけるためのキャリア教育を実践しています。

国語科教諭の児島 豊先生

インタビューでお話しいただいた、国語科教諭の児島 豊先生。キャリア教育を担当されています。

エデュ:どのような目的で茶道や華道(女子教育)を学んでいるのですか。

児島先生:特定の技術を身につけるというよりは、立ち居ふるまいやマナー、女性としての品性を学んでほしいと思っています。これらは、キャリア教育全般にも反映される大事な要素だと思います。

エデュ:キャリア教育を進める目的を教えてください。

児島先生:それは、建学の精神と大きく関わっています。「広く社会の動きを捉えることのできる知識(Knowledge)」、「それらを周囲の人々の幸せのために活用したいと願う心、徳性(Virtue)」、「その知識を実生活に活かすことのできる技術(Art)」の3つを総称している「KVA」の精神を身につけ、社会に貢献できる自立した女性を育てるために「キャリア教育」を実施しています。

総合学習の時間を利用した教育

総合学習の時間を利用して、中学は華道、高校は茶道を行います。

エデュ:キャリア教育のメインとなるプログラムの内容を教えてください。

児島先生:全体の柱となるのは「生き方」を学ぶプログラムです。中1では、「私のヒーロー・ヒロイン」について調べます。家族や芸能人など憧れの人にインタビューしたり調べたりして、職業への関心を深めます。中2では、近所のお店の協力により、実際に現地へ取材に出向き、仕事への思いを聞いてポスターにまとめる「ポスタビ」、中3では、関心のあるテーマを生徒自身が設定し、「研究論文」を書き上げて発表します。そして、高校生になってからは自身の進路についてより具体的に考えていきます。

「私のヒーロー・ヒロイン」と「ポスタビ」

初めてみんなの前で発表する中1「私のヒーロー・ヒロイン」と、仕事の現場を取材する中2「ポスタビ」のようす。

東京家政学院のキャリア教育について詳しく知る ≫

教師の視点から見た生徒の成長

エデュ:一連のプログラムを実施して、生徒にどのような成長が見られるのでしょうか。

児島先生:プレゼンテーションの機会が多いこともあり、人前で発言することが当たり前になっていますね。臆することなく堂々と発表しています。また同時に、友人の発表に耳を傾けることもできるようになったと思います。

エデュ:プレゼン能力を高めるために、先生方が工夫している指導はありますか。

児島先生:まずは、事前にプレゼン方法を詳しく説明しています。とりわけ少人数制の学校なので、一人ひとりに目を向けて、苦手意識を持つ生徒に対しては特にフォローするようにしています。
伸ばしたプレゼン能力は、約100大学、約500名分の指定校推薦枠へのチャレンジに活かされるだけでなく、社会に出た時にも必ず活かされるはずです。

研究論文発表

プレゼン能力は、研究論文発表や英文スピーチにも活かされています!

エデュ:今後、さらに期待できる点はありますか。

児島先生:キャリア教育で自分自身を見つめることによって、将来に対して高い意識を持つようになっているので、おのずと学習意欲も高まっています。その意欲が生徒の未来・進路実現につながっていくことを期待しています。
また、今後は身近な千代田区周辺に限らず、海外に出て視野を広げてから内側を見つめ直すグローバルな展開も考えています。

研究論文発表

深く掘り下げたテーマをどのように伝えるのか考えて、実際に発信していく研究論文発表。こうした経験の積み重ね自体がキャリア教育です。

進路指導とキャリア教育は直結している!? ≫

東京家政学院の特徴はココにある!

エデュ:東京家政学院に通う生徒は、どのような生徒が多いと感じていますか。

児島先生:非常に素直で優しい生徒が多いですね。卒業後もそのままの優しさを持ち続ける生徒を育てるような学校でありたいと思っています。
「人のために役に立ちたい」「人を助けたい」という気持ちから、看護師や保育士を目指す生徒が毎年一定数いるということも本校の大きな特徴だと思います。
さらに、プレゼンの場で発表者の話をきちんと聞き、自分の意見との違いを理解したうえで、しっかりとレポートを書く姿勢も特徴的だと思います。

優しさを持った生徒たち

仲間と支え合い、社会のために何ができるのかを考える優しさを持った生徒たち。

エデュ:キャリア教育を進めていくうえで先生が心掛けていることはありますか。

児島先生:生徒には、家族や身近な人の話をたくさん聞いて、少しずつ視野を広げていって、自分の将来についてゆっくり、じっくりと考える機会を多く設けています。生徒のペースに合わせて、地に足のついた指導していくことを大事にしたいですね。

編集者から見たポイント

「本当に素直で良い子が多い」とは児島先生の言葉。高校から入学する生徒も多数いますが、中学からの内進生とも仲が良く、和やかな雰囲気で学校生活を過ごしているそうです。気の合う仲間と楽しい学校生活を送りながら、じっくりと将来を考えられる中高6年間という時期は、生徒にとって人生の土台づくりとなる貴重な期間です。東京家政学院での日々を過ごすことで、未来に向かって着実に歩みを進めるための準備ができることでしょう。

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