日本大学藤沢高等学校・藤沢中学校

掲載日:

日大藤沢の新しい高大連携を体験!中高生×大学生で挑むワークショップ企画

inter-edu’s eye

日本大学藤沢高等学校・藤沢中学校(以下、日大藤沢)では日本大学付属としての利点を活かした中・高大連携プログラムを実施しています。2025年度には中学3年生、高校1、2年生を対象とした新たなプログラム、「生物資源科学体験学習プログラム」がスタートしました。
一体どのようなプログラムなのでしょうか。今回は6月に実施された講座の様子をレポートします。

日大生物資源科学部11学科と
コラボする全10回講座

日大藤沢の大学連携プログラムは、中学校では生物資源科学部(※)と連携し、1年生で農場実習、中学2年生で食品加工実習といったフィールドワークを実施します。高校では1年生の9月末に生物資源科学部や法学部、文理学部など各学部のキャンパスで大学の授業を体験しますが、今年度より新たに中学3年生からの希望者を対象として大学での学びを体験できる新しい体験学習プログラム「生物資源体験学習プログラム」がスタートしました。
プログラムでは5月から12月まで、生物資源学部の各学科がその専門領域から企画講座を開催。バイオサイエンスからアグリサイエンス、森林、環境、食品開発、獣医学、海洋生物など全10回の体験講座が用意されました。
※日本大学湘南キャンパスにある学部。生物資源の総合研究・教育機関として11学科がある。

各講座は体験型の実験・実習や、見学・座学(講義)を組み合わせ、1講座あたり2回開催します。生徒たちは自身の興味関心にあわせて好きな講座を受講できます。
ゼミ生が自分たちの活動を紹介
ゼミ生が自分たちの活動を紹介
今回レポートする講座は国際共生学科が主催です。テーマは「地域資源のブランド化!コト消費(体験企画)を大学生と考えよう」。
参加したのは3名の中学3年生と、4名の高校1年生。生徒たちは授業が終わると、学校の玄関ホールに集合。担当の小谷教授とゼミ生と共に、研究室に向かいました。

“江戸前ちば海苔”を広める
アイデアとは

小谷教授の専門はブランディングとマーケティング。教授のゼミ「地域マネジメント研究室」では学生と一緒にさまざまな地域課題に取り組んでいます。
今回日大藤沢生が取り組むのは「江戸前ちば海苔の消費拡大を目指した体験企画(ワークショップ)を考える」というものです。
小谷教授からは学科の説明のほか、「マーケティングは、もともと“商品を売るための方法”を考えることでした。でも今はどうすれば人の共感を得られるかに焦点が移ってきている。今日のワークショップを通して、皆さんにはものを売るだけではなく、共感を生む体験をどう届けるか、という視点で考えてもらいたい」というお話しがありました。
小谷教授の話を聞く日大藤沢生
小谷教授の話を聞く日大藤沢生

海苔を味わい、発想を広げる―
大学生と一緒に考えるアイデア出し

1日目はまずアイデアを出すこと。生徒たちは2グループに分かれて、それぞれがどんなワークショップを開いたらいいかを考え、意見を出し合い、各グループで一つの案にまとめ上げていきます。
実際にアイデア出しを始める前に、まず海苔の試食です。普段ではあまり食べることのない高級海苔や、ゼミ生たちが千葉の海苔漁師と共に商品開発した海苔が配られました。光に透かして色や海苔の密度を見たり、匂いを嗅いだりしながらじっくり味わっていました。
まずは海苔を試食
まずは海苔を試食
製法によって異なる味や香りの違いにびっくりしていました
製法によって異なる味や香りの違いにびっくりしていました
海苔を透かしてじっくり観察
海苔を透かしてじっくり観察
ゼミ生がブランディングを行っている海苔について説明
ゼミ生がブランディングを行っている海苔について説明
矢印
矢印
試食が終われば配布されたワークシートにアイデアを書いていきます。とはいえ、生徒たちも初めての体験。考え込む場面も多く見られました。そんなときは補佐役の大学生たちが積極的に声をかけていきます。サポートするゼミ生から「海苔のどんなところが美味しかった?」「開催内容から考えてもいいし、ターゲットから考えてもいいよ」「箇条書きでもいいからとにかくパーッと書いてみよう」というアドバイスを受け、さまざまな意見が出てきました。
グループに分かれてアイデア出し
グループに分かれてアイデア出し
最初は固い表情だった生徒たちも徐々に緊張がほぐれアイデアが出るようになった
最初は固い表情だった生徒たちも徐々に緊張がほぐれアイデアが出るようになった
ある生徒たちは持参したクロームブックで検索しながらアイデアをひねり出していました。
ある程度アイデアが出てくるとグループ内で発表。「場所は渋谷でキッチンカーを出したらどうだろう」「オリジナルふりかけづくりは?」「海苔を使ったキャラ弁づくり講座は?」など、出し合った意見を多数決で集約し、一つのアイデアにまとめていきました。
浮かんだアイデアをワークシートに書き込む
浮かんだアイデアをワークシートに書き込む

参加生徒が感じた学びの手応えと発見

2回目は考案したワークショップを紹介するチラシをCanva(デザイン制作アプリ)で制作し発表しました。2回目の終了後、プログラム初参加の生徒3名に参加した感想をうかがいました。
大学生も加わり出しあったアイデアをさらに絞り込んでいく
大学生も加わり出しあったアイデアをさらに絞り込んでいく

この講座を選んだきっかけや参加した感想を教えてください。

Aさん(高校1年生)

地域の資源と大学がどのように関わっているのかが気になったからです。講座に参加して、大学生でも実際にワークショップを考え、また企業とも協力して行動していることがすごいなと思いました。実習では大学生からいろいろアドバイスをいただきました。

Bさん(高校1年生)

面白そうなテーマだなと思い参加しました。参加前は理系の学部で堅苦しい印象だったが、ゼミの大学生や教授がフレンドリーに接してくれたため雰囲気が柔らかく楽しそうだという印象に変化した。

Cさん(中学3年生)

きっかけはマーケティングやビジネスは社会で役に立つと思ったからと、友達も参加するということで興味を持ったからです。大学生と話すことは貴重な経験だったので参加して良かったなと思いますし、社会の問題を解決するために学んで行動していることがとてもすごいと思いました。また自分が大学生になったらどうだろう、社会に貢献できるような行動が取れるかと思うと不安を感じると共に興味も湧いてきました。

休憩ではゼミ内を探索。ゼミ生のプロフィールが貼られたボードを興味津々の様子で見る生徒たち
休憩ではゼミ内を探索。ゼミ生のプロフィールが貼られたボードを興味津々の様子で見る生徒たち

今回はグループで一つのテーマにまとめ上げましたが、皆さんはそれぞれどのようなワークショップを考えたのでしょう。

Aさん(高校1年生)

私が考えた企画は、江戸前海苔のことを知らない人に向け、どうやったら知ってもらえるか、楽しんでもらえるかを考え料理講座を考えました。
実際にグループで話しあった結果、パッケージデザイン体験になりましたが、チラシづくりではどうしたら人の目を引くか、言葉や配置を考えて提案しました。

Bさん(高校1年生)

参加者には海苔のパッケージを考案してもらいます。後日優勝者を決め、その優勝者のデザインで商品化し、さらに海苔1年分プレゼントという特典をつけよう、というものでした。

Cさん(中学3年生)

江戸前ちば海苔でつくるキャラ弁のような「キャラにぎり」を考えました。

企画をまとめていく上で難しかったところはありましたか

Aさん(高校1年生)

ターゲットにした家族連れが、どうやったら来やすいか楽しんでもらえるかというところでした。でも、大学生の方が分かりやすくアドバイスしてくれて、チラシもよくできたと思っています。

Bさん(高校1年生)

ターゲット層を決めることでした。多くの人に来てもらいたい気持ちが強く、思い切ってターゲット層を絞るのに戸惑いがあったからです。

Cさん(中学3年生)

宣伝用のチラシを作るときにグループのメンバーと協力して納得するものを作る作業はそれぞれの意見を取り入れなくてはいけないので大変でした。

今回大学のゼミの研究活動に触れたわけですが、どんな印象を持ちましたか。

Aさん(高校1年生)

生物資源科学と聞いて少し堅い印象がありましたが、身近な海苔の研究をするなど、イメージが変わりました。

Bさん(高校1年生)

街を歩いていると時々開催されているマルシェや、そのチラシを見かけることがありました。こうした催しも大学生が企画しているものがあると知って、すごいなと驚いたし、大学やマルシェに対する印象もちょっと変わりました。

Cさん(中学3年生)

大学の研究室がどのようなものかはあまり知らなかったのですが、たくさんの大学生の方が集まって考えたりしているのを見ると、一つの目標に向かってすごいことをしているなと思いました。
参加する前は、生物資源科学部という名称なので、科学などの理系科目が多いと思っていましたが、文系の学部もあることに驚きました。ゼミの大学生は優しく活気があったので大学生になるということにとても憧れを持ちました。

編集後記

その他の生徒からは、多様な分野を学べることを知ったという感想も聞かれました。また中には体験講座は全部参加したいという生徒(事実、過去3回の講座も全て参加)も。
知的好奇心をくすぐるような講座が今後も開催されます。
小谷教授は、生物資源科学部との連携講座はいろいろ行っているものの、知られているのはほんの一部。大学生と一緒にゼミを体験することで、こういう分野もあるのかということをぜひ知ってほしいと話していました。
全ての体験が生徒の成長につながり、新しい発見や将来の可能性を広げるきっかけになる、そうした機会を日大藤沢はとても大切にしていると感じられた取材でした。

イベント情報

詳細はこちらをご確認ください

企画・編集:インターエデュ・ドットコム
提供・取材協力:日本大学藤沢高等学校・藤沢中学校