都立小石川中等教育学校インタビュー

東京府立第五中学校と小石川高校が「都立小石川中等教育学校」として生まれ変わったのは2006年。両校の伝統を脈々と受け継ぐ一方、「小石川教養主義」や「理数教育」の強化など新たな柱を加えグローバルなキャリア教育を提供する。「小石川教養主義」から育まれる生徒像とは何か。どのような特色を打ち出しているのか。栗原卯田子校長に話をうかがった。

エデュ：次に教育カリキュラムについて教えてください。

栗原校長：小石川では、日本史も世界史も地理も、物理も生物も学習指導要領にある教科すべてを学習します。大学を受験することだけに特化したら遠回りなのかもしれませんが、ここで学んだことは必ず生徒自身に返ってくると思います。

いつも生徒には話しているのですが、大学に入学することはゴールではありません。自分で志を立て、その通過点としてどの大学を選ぶのかは重要ですが、大学入学を最終目標にはしてほしくないのです。ですから、どこの大学に何人入れるかよりも、生徒が志望する大学に入れるよう最大限支援します。

エデュ：自分で志を立てるためのヒントともいえるキャリア教育の内容はどのようなものでしょうか。

栗原校長：2年生で「東京寺子屋」という体験学習があり、いろいろな企業の方が話に来てくださっています。また、保護者の方の関係や地元文京区を中心に、職場体験もします。

さらに、小石川OBをはじめ、様々な分野から講師を招いて最先端の学問に触れる「小石川セミナー」や、気軽に参加できる「サイエンス・カフェ」などが数多く開催されます。サイエンス・カフェは会議室などで行うものから廊下で机といすを並べて行うものまで規模もさまざまです。

後期課程では、大学別模擬講義や大学の研究室訪問など、OBをはじめ様々な周囲の力を借りて、キャリア教育を展開しています。生徒達はこれらを通して自分で志を立てるためのヒントを得ることができます。

エデュ：次に学校生活についておうかがいしたいのですが、先輩と後輩の触れ合い、また卒業生との関わりなどはいかがですか？

栗原校長：小石川には「行事週間」といって、芸能祭、体育祭、創作展を1週間のうちに開催します。その準備、運営はすべて生徒会を中心とする生徒の手に任されます。

どれも先輩・後輩の縦のつながりがある行事ですが、体育祭は1学年4クラスが縦割りで1年から6年までが1つのチームを作るので、特に盛り上がりますね。5月から予備体育大会が始まり、実行委員たちがルールを作って体育祭が始まる前から盛り上がっています。

また卒業生との関わりは、部活動の指導や放課後に開放している自習室での指導にあります。自習室ではチューターとして分からないところを指導したり、進路の相談に乗ったりしています。卒業生のほかに、場所が近いこともあり東大生もチューターとして来てくれています。

　　

エデュ：進学実績について教えてください。

栗原校長：進学実績については、データで出ている通りですが、5教科7科目型が多いということが分かっています。今後は、キャリア教育と大学進学とのつながりがより明確になってくるのではないかと思います。東京大学だけではなく、京都大、筑波大など国公立志望も幅が出てくるのではないでしょうか。

エデュ：これから適性検査を受けようと考えている方や進路選びに悩んでいる方にアドバイスはありますか？

栗原校長：小石川の場合、適性検査は学力検査ではないので、好奇心、探究心、思考法などをテストしています。適性検査の内容は、小石川の授業を意識して作っているので、小石川に興味のある方は、学校の特色を理解することが重要であると思います。言葉やグラフ、数値などを正確に読み解く力を身につけることが求められると思います。初見で情報がキャッチでき、自分の言葉で発信できる。小石川の授業そのものです。学校の特色を知って入ってきてほしいですね。