算数の苦手意識は克服できる!目から鱗のつまずきポイント解説書

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小学生の算数で親御さんを悩ませる単元の代表格、「図形」。子どもが図形問題に苦手意識を持っているのは、「子どもにセンスがないから」「図形が苦手で教えられないから」と思っていませんか? そんな親御さんにぜひ読んでもらいたい本があります。名門指導会代表の西村則康先生と副代表の辻義夫先生の共著「つまずきやすいところが絶対つまずかない! 小学校6年間の図形の教え方(すばる舎刊)」です。本書は算数を教えるのが苦手な先生にもおすすめだとか。気になる本の内容を、著書である辻先生の生解説と共にご紹介します!

子どものやる気を引き出す「声かけ」事例が満載!

『つまずきやすいところが絶対つまずかない!小学校6年間の図形の教え方』西村 則康、辻 義夫著

本書は全体的に図や文字が大きく、親子のイラストと吹き出しも多く目にします。ページをめくると、「part1 子どもの接し方」とあります。冒頭には、「子どもに勉強を教えるときに大切なことは、子どもを快適にするコミュニケーションです。子どものやる気を引き出す言葉選びや表情、口調にも気を配りましょう。」という解説が。どうやらこのあたりに、本書の特徴がありそうです。

その特徴を具体的にみなさまにお伝えしたいと思い、本書「part2」に掲載の2年生で習う「間に0が入る単位の変換」を例に、辻先生に解説いただきました。

辻先生: 3m7cmを307cmということがすぐにわからず、37cmと言ってしまう子がいるという設定です。お母さんがこのような場面に出くわすと、「どうしてわからないの?」と子どもから聞き出そうとします。でも、このように問いかけることは、子どもからすると、なぜこんなことができないのかと親に言われるようなものです。そうではなくて、3m7cmを37cmといった子に対して、「1mは何センチだっけ?」と子どもに聞くのがこの本で紹介しているアプローチ方法です。

1mは100cmと言えない子はほとんどいません。そこで「1mが100cmなら3mは何センチ? 300cmだよね。じゃあ、3mが300cmだから、3mと7cmなら?」と紐解いてあげると307cmに行きつく。子どもが今持っているものを整理してあげることが大事なんです。そんな親子のやりとりをセリフにして表現しました。

お母さんは、子どもが間違ったり、とんちんかんなことを言ったりすると、どうしてこの子はこんなことができないのかとうろたえてしまう。周りの子ができているのに、うちの子は大丈夫なんだろうかとか、どうしちゃったんだろうと、感情混じりの反応をしてしまいます。大切なのは、どんなにとんちんかんなことを言ってもまず受け止めること。本書で伝えているのは、「教え方」というより「受け止め方」なんです。

確かに、親は子どもができないことに対して、「えっ?どうしてわからないの?」という反応をしてしまいがちです。子どもはどうしてわからないのかが説明できず、「できないこと」だけがクローズアップされ、自信を失ってしまいます。まず、親御さんは「できない」ということを受け止め、それから、子どもがわかっていることから細かく積み上げていく。すると、子どもが「わかった!」と自信が持てるようになり、やる気も出てくるというわけですね。

算数が急にわからなくなるのは4年生。「教える」よりも「まず、受け止める」

学校で習う算数は、4年生から「角」「割り算の筆算」「面積」などつまずきやすい内容が多くなり、算数がわからなくなって苦手になる子どもも多くなります。しかも、4年生ともなると自我がでてきて、口答えもするようになる時期。親から言われたことが気に入らない、それでますます算数が嫌いになってしまうことも。一体、どう接したらよいのでしょうか。

辻先生: この時期、お母さんが「これはこうやってやるんだよ」というような「教える」というアプローチだと、「いや、先生の言っていたやり方とは違う」とか、「お母さんだって本当はわからないくせに」という反応も出てきます。
そうではなくて、先ほどお話したように、まず受け止める。たとえば、「学校の先生はなんて言ってた?」というような聞き方をして、子どもがどういうふうに理解しているかを聞くこと、知ることからスタートしましょうよという内容にもなっています。

たとえば、この図形の面接を求めよる問題。欠けているところに線を引いて、その面積を引くというのが答えとなりますが、本書では、図形を切り分けて、それぞれの部分の面積を足してもいいよね、という手順も記載しています。多くの子どもはまずそういう考え方をするからです。

子どもの心理として、「なぜないところを足さないといけないんだ」というのがあります。子どもたちにとって受け入れやすいのは、目に見えているところの面積を合計することなんです。それを理解したあとに、ないところを足してあとから引けばいいという理屈がくる。切り分けて足して面積を求めるということを認めてあげずに、いきなり大人のやり方はこうなんだといっても響かないんです。

子どもってこういう考えをするんだ、こう理解しているんだということを、まず受け止めて確認します。そして次の段階に進めていけば、子どもはずいぶんとスムーズに理解できるようになります。そうすれば、親は自分の教え方が悪いと思い、子どもはなんで自分にはわからないんだろうと思い、お互いに自信をなくすこともなくなります。

このお話は目から鱗でした。子どもは「解き方」を知らないから問題が解けない、だからその解法を「教える」、それが算数ができるようになる方法だと思っていました。そうではなくて、子どもがどう理解しているのかをまず受け止めることが大事だということなのです。
さらに本書では、「これってどうなんだろうね」と親子が一緒になって考えていけるような手順がていねいに記されています。親がこういう言葉で声かけするといいよというアドバイスも事細かに書かれています。このステップが、算数ができるようになる上で重要なポイントということが本書を通して伝わってきました。

辻先生が著書で最も伝えたかったことは、「まず、受け止める」こと。
ではなぜ、このコンセプトをもとにして本を作ったのでしょうか。

辻先生: 「教え方」というと、もちろん、親や先生が子どもに“何かを教える”ことです。「教える」という書名の意図は、そういうところにもありますが、わたしは「先生これ教えて」と言われたときに、「これの解き方は…」と教えるのは素人のやり方だと思って長年講師をやってきました。なぜならば、問題の解き方を教えることなら誰でもできることで、この問題がわからないということは、その根っこにあるのは何かを考えるのが先生の役割だと思っているからです。先生というのは、解法を教えるのが仕事ではなくて、目の前の子どもを理解してあげて、その子に合ったテキストとか情報を、どう“沿わせてあげるか”が腕の見せどころなんです。

なるほど。算数を教えるのが苦手な先生にもおすすめだという理由もわかりました。
解法ではなく、子どもを理解することからスタートする新しい視点の算数の本。取り組んでいくうちに、親子のコミュニケーションが良くなるという効果も期待できそうですね。

『つまずきやすいところが絶対つまずかない!小学校6年間の図形の教え方』

『つまずきやすいところが絶対つまずかない!小学校6年間の図形の教え方』
西村 則康、辻 義夫著、すばる舎刊、1300円+税
大好評『小学校6年間の計算の教え方』第2弾、「図形」編。図形は計算と比べ、習うことは少ないが、苦手意識を持つ子は多い。また、中学受験でも、図形問題に苦戦する子はたくさんいる。親(とくに母親)自身も図形が苦手で、子どもに聞かれても教えられない…。そんな悩みに、ていねいな解説でこたえる本。子どもが自分で学ぶのにも最適。三角形のかき方から角度、平行四辺形の面積、円周、体積まで。「どこに」「なぜ」つまずくが徹底解説。大人の方が「わかった! 」を連発します。「受験算数のカリスマ」2人の、楽しく超わかりやすい紙上授業。…購入はこちらから

著者の西村 則康(にしむら のりやす)さん
35年以上、難関中学、高校受験指導一筋のカリスマ家庭教師。
日本初の「塾ソムリエ」としても活躍中。
暗記や作業だけの無味乾燥な受験学習では効果が上がらないという信念から「なぜ」「だからどうなる」という思考の本質に最短で入り込む授業を実践している。
また、学習指導だけでなく、受験を通じて親子の絆を強くするためのコミュニケーション術もアドバイスする。
コーチングの手法を取り入れ、親を巻き込んで子供が心底やる気になる付加価値の高い指導が評判である。

著者の辻 義夫(つじ よしお)さん
中学受験理科のスペシャリスト。その指導は「知らない間に理科が得意になる」「いつの間にか理科が大好きになっている」というもので「わくわく系中学受験」と評されるほど。2012年より活動の拠点を東京に移し、執筆・講演活動なども行っている。
著書に『頭がよくなる 謎解き理科ドリル』(かんき出版)『中学受験 理科のツボ』(青春出版社)『中学受験 すらすら解ける魔法ワザ 理科・計算問題』(実務教育出版)などがある。