自分を守る法律があるんだ!子どものための法律本『こども六法』

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子どもを取り巻く現在の社会環境について、どんな思いをお持ちでしょうか。
相変わらず「いじめ」の問題は後を絶たず、また児童虐待や性的搾取などの理不尽な行為による痛ましいニュースも後を絶ちません。
自分たちが苦しんでいること、助けて欲しいことを大人に気付いてもらうために、子どもからSOSの声を上げる術を知っていれば…。それには子ども自身が法律の知識を身につけることが必要ではないか、という思いから生まれたのが『こども六法』です。

子どもにもわかりやすい平易な言葉で解説

本を読む親子

通常「六法」とは、日本国憲法、民法、刑法、商法、刑事訴訟法、民事訴訟法のことを指しますが、『こども六法』は子どもに関係のある法律を解説することを前提にしているため、商法を除いた、以下の法律が掲載されています。

第1章 刑法
第2章 刑事訴訟法
第3章 少年法
第4章 民法
第5章 民事訴訟法
第6章 日本国憲法
第7章 いじめ防止対策推進法

さらに各法律中で、重要な条文、また子どもに関係の深い条文が選ばれ、小学校高学年以上の子どもが読んで理解できることを前提に、日常使っている言葉で平易に書かれています。法律用語特有の難しい言い回しがないため、この法律にはこんな意味があったのか、こういう内容だったのかと大人でも改めて気付かされます。

また法律の解説には、その法律がどんなことを目的に作られたのかも書かれています。
例えば「刑法」については「刑法は『これをやったら犯罪』のリスト 安全な生活を守るためのルールだよ!」として、
「自分は関係ないと思っていても、ある日突然、犯罪の被害にあったり、わざとではなくても他人に迷惑をかけてしまったりする危険は誰にでもあります。」
と、刑法がどんな場面で効果があるのかというだけでなく、自分の身に置き換えてみるとどうなのか、考えさせるような内容です。

掲載された条文はイラスト付きで解説されているものもあり、例えば刑法第202条「自殺関与及び同意殺人」においてでは、「気軽に『死ね』って言ってない?」という問いかけが、そういう文言をSNSに書き込もうとしているイラストとともに紹介されています。イラストと同時に理解することで、「ちょっとふざけて言ってしまった」「ついノリで書いてしまった」という気軽な行為であっても、実は大きな罪になる場合があることに気付くでしょう。

いじめは子どもだけの問題ではない

本書は子ども向けに書かれてはいますが、決して子どもだけが読むものでもありません。

本書の最終章では「いじめ防止対策推進法」についても掲載されています。

もともと「こども六法」は著者である山崎聡一郎さん自身が受けた、いじめの被害経験がきっかけとなり、「小学生当時の自分に法律の知識があれば、自分で自分の身を守れたかもしれない」という思いから、慶應義塾大学在学中に企画。その後クラウドファンディングにより出版に至ったという経緯がありました。

本章の法律の解説には次のように書かれています。
「すべての子どもに悪い影響を与えるいじめは子どもだけの問題ではなく、いじめがあることに気づかない、または解決できない大人たちの問題でもあるのです。」

この法律への理解が進むほど、子ども自身が「いじめ」に立ち向かうだけでなく、大人が子どもからのSOSをしっかり受け取り、安心して学校に通えるように協力していく義務について述べられていることを思い知らされるのではないでしょうか。

また巻末には「いじめで悩んでいるきみに」と題したメッセージとともに、いじめにあったときの対処方法や、相談先などが掲載されています。

※最終章、「いじめで悩んでいるきみに」は弘文堂のウェブサイトにて閲覧できます。

子どもが発信するSOSを受け止めるのは大人の義務

子どもが発信するSOSを受け止めるのは大人の義務

大人向けのあとがきには、次のようなメッセージが書かれています。
「恐ろしいことに、いじめ問題も含め、そういった問題を深刻化させるのはしばしば大人たちの『見て見ぬふり』なのです。」

さらに、
「どうすれば苦しんでいる子どもに気付き、救出することができるかを常に考えていくことは、わたしたち大人に求められた義務であると思いますし、筆者はそういう姿勢であり続けたいと考えています。」
ともあります。

子どもたちがどういう状態に今いるのか、すべて見極めるのは難しいことも多いでしょう。しかし何らかの原因で苦しい思いをしている子どもが、自分自身を救うきっかけに、そして大人として子どもが発信するSOSを受け止め、それに対して何ができるのかについて考えるきっかけにもなる本ではないかと思います。

著者からのメッセージ

今回、『こども六法』を本コーナーにて紹介するにあたり、著者の山崎聡一郎さんから、エデュナビ読者のみなさんに向けてメッセージをいただきました。

「人生を豊かに生き抜いていくうえで必要な能力の一つに、「バランス感覚」があります。ワークライフバランスという言葉に代表されるように、仕事だけ、趣味だけのどちらに偏っても豊かな人生は実現しないのです。受験においても各科目の得点力のバランスは重要ですし、モチベーションを維持する上で適度に息抜きをすることも重要です。『こども六法』を読むにあたっては、自身の権利を主張する力と、他者の権利を尊重する力をバランスよく伸ばしていただきたいと考えています。そうして身につけたバランス感覚が、自身の人生、ひいては社会全体を良くしていくと信じています。」

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こども六法
山崎聡一郎著、弘文堂、1,200円+税

「いじめ、虐待に悩んでいるきみへ。法律はみんなを守るためにある。知っていれば大人に悩みを伝えて解決してもらうのに役立つよ!きみを強くする法律の本。」

いじめや虐待は犯罪です。
人を殴ったり蹴ったり、お金や持ち物を奪ったり、SNSにひどい悪口を書き込んだりすれば、大人であれば警察に捕まって罰を受けます。
それは法律という社会のルールによって決められていることです。

けれど、子どもは法律を知りません。
誰か大人が気づいて助けてくれるまで、たった一人で犯罪被害に苦しんでいます。
もし法律という強い味方がいることを知っていたら、もっと多くの子どもが勇気を出して助けを求めることができ、救われるかもしれません。

そのためには、子ども、友だち、保護者、先生、誰でも読めて、法律とはどんなものかを知ることができる本が必要、そう考えて作ったのが本書です。
小学生でも読めるように漢字にはすべてルビをふり、法律のむずかしい用語もできるだけわかりやすくして、イラスト付きで解説しています。

大人でも知らないことがたくさんある法律の世界、ぜひ子どもと一緒に読んで、社会のルールについて話し合ってみてください。

(弘文堂ウェブサイト「こども六法」紹介ページより)

山崎 聡一郎(やまさき そういちろう)さん
教育研究者、写真家、俳優。合同会社Art&Arts代表。
慶應義塾大学SFC研究所所員。慶應義塾大学総合政策学部卒業、一橋大学大学院社会学研究科修士課程修了。修士(社会学)。2013年より「法教育といじめ問題解決」をテーマに研究活動と情報発信を行う。劇団四季「ノートルダムの鐘」に出演するなど、ミュージカル俳優としての顔も持つ。(2019年4月現在)

(こども六法プロジェクト特設サイトより)


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