第19回 「なんで解けなかったの?」もNGワードに
第19回 やる気を引き出す「子どものほめ方・叱り方」(2013年8月9日)
前回の「どうしてやらないの?」と似た言葉に、「なんで解けなかったの?」があります。ただしこの言葉の場合、言い回しより気をつけたいのが、口にしてしまうシチュエーション。わが子が持ち帰ってきたテストを見た瞬間、バツがついている問題を発見して、「なんで解けなかったの?」「なんでできなかったの?」と言っていませんか?
解けなかったことに何か特別な理由があるのなら、子どももその理由を話すことができますが、だいたいの場合そんなものはありません。できないのは実力不足か勉強不足か、キャパをオーバーしているか、そんなところです。だから、「なんで?」と親に聞かれると、子どもはつい適当な言い訳(ときにはウソ)を言ってしまうことになります。
「だって、習ったことないし」(本当は習っている)
「こういう問題はやらなくていいって先生が言ってた」(そんなこと先生は言っていない)など。
なぜ、こんなことを言ってしまうのか? ちょっと、子どもの心の中を想像してみましょう。お母さんは、自分がこの問題くらい解けると思いこんでいる。そんなときに、「ぼくは、こんな問題解けないんだよ。似たような問題を見たことあるような気がするけど、忘れちゃったし、実はあのときも全然わからなかったんだ」なんていう本音を、子どもは口が裂けても言えません。自分を期待してくれているお母さんの反応が怖いし、勉強不足のわりに子どもは案外プライドが高いから。
テストが返ってくるたびに、「なんで解けなかったの?」と理由ばかり聞いていると、子どもは言い逃れをするくせ、解けなかったことを正当化する知恵をつけるだけです。そうすると、ますます成績は伸びなくなります。
「なんでできなかったか」と子どもを責める親の側には、「あなたなら、できるはず!」という思い込みがあります。だからこそ子どもを責めてしまうのですが、それはあくまでも親の思いこみ。子どもに適当な言い訳をさせて親の気持ちが少し楽になったところで、成績はあがりません。
では、どういうふうに声をかければいいでしょう?
できた問題に注目することです。「すごい! この問題難しそうに見えるけど、どうやってこの問題を解いたの?」。たとえそれが簡単な問題だったとしてもです。以前はよく間違えたタイプの問題だとしたら、どうしてできるようになったかと聞いてあげるといいと思います。そして、子どもがうれしそうに説明するのを聞いたあとに、さらにほめる。「けっこうすごいじゃない!」って。
どんなに小さなひとつの問題でも、「解けた!」という成功体験のほうが、ずっとずっと子どもを伸ばすものです。私の経験から言っても、これは100%間違いありません。
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<<プロフィール>>高木 潤子(たかぎ じゅんこ)
若いころから週刊誌・女性誌で、子育て・インテリア・料理など幅広い分野の記事を取材執筆。仕事量を減らして二児を育て、インターエデュはお受験ママとして活用。現在も取材・編集・執筆と幅広く活躍中。
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