難関校合格に必要な力を養う勉強法

2016年5月18日発行のバックナンバーです。

エリート育成「中学受験」サポートメール
2016/5/18号
難関校合格に必要な力を養う勉強法
監修:西村則康(プロ家庭教師)
by inter-edu.com

【今週の必修語】一生懸命(いっしょうけんめい)

「一人で一生懸命サッカーの練習をする直人くんを見たよ」
「やっぱり見えないところで努力しているんだね。僕も見習わなくちゃ!」

一生懸命は、命がけで何かをやろうとすること。また、本気で何かに打ち込むことを意味します。

『一生懸命』は、もともと『一所懸命』(いっしょけんめい)と書きました。

鎌倉時代の武士が主人から与えられた領地を命がけで守ったことからできた言葉である『一所懸命』が、『物事を命がけでやる』という意味に転じて、『一生懸命』と書かれるようになっていったのです。

今では『一所懸命』よりも『一生懸命』と表記されることが多くなっています。

多くの辞書が今も両方を見出し語として載せていますから、ぜひお子さまと一緒に辞書を引いて、『一生懸命・一所懸命』の箇所を読んでみてください。

メルマガ特集

『中学受験で難関校に合格するための勉強法が知りたい』とおっしゃる親御さんはたくさんいらっしゃいます。そんな方々にまずお伝えしておかなければならないのは、どんなに多くの知識を暗記しても、それだけでは不十分だということです。

難関校の入試問題は、問題文を読んでパッと解き方や答えの単語が思い浮かぶようなタイプではないからです。『あなたはこの問題の解き方を見つけられますか?』といった考えさせるタイプの問題が多く出題されます。

そんな難関校の問題に立ち向かうためには、日ごろから“3つの力”が身につくように意識して勉強をする必要があります。

1つ目は、『論理的思考力』。

問題文と設問をしっかり読んだうえで、『問題文では何がわかっているのか』『聞かれていることは何か』『答えを導き出すために何が必要か』を、正確に把握していく力です。

この力は、音読するように黙読することで伸びていきます。そのためには、問題文をたくさん音読させてください。文章を声に出して読むことで、黙読だけでは理解できなかったことがスッと理解できることが多々あります。

「先生、この問題がわからない」と質問に来たときに、「まず、問題文を声に出して読んでごらん」とアドバイスすると、それだけで「あ、わかった!」と解き始めるお子さまは多いのです。

音読は、黙読したときの読解力も伸ばすことができます。小学校低学年のうちから習慣づけ、高学年になってからもときどき行うようにしてください。

2つ目は、『図やメモを書く力』です。

難関校の問題は、図を書いたり、メモを書いて問題を整理して初めて、答えを導き出すための一手が見えてくることが多いです。面倒くさがらずに図やメモを書き、問題を解く習慣をつけておきましょう。

また、難関校の問題を解き進めていくときには、途中で自分の思考の過程を振り返るために、図やメモをきれいに書いておく必要があります。ときどきお子さまのノートをチェックし、字や図が乱雑になっていないか確認をお願いします。

3つ目は、『アウトプットする力』です。

これは、知識がインプットされている頭の引き出しから、問題を解くために必要なのはどの知識なのかを、探し出す力です。探し出す力とは、自分の知識や経験をもとに自分自身でいろいろと考えて答えを見つけ出す力のことです。

このアウトプットができたとき、はじめて『わかった!』『納得!』となり、勉強が面白くなります。この経験を積み重ねることで、未知の問題に出会っても、挑戦し、粘って考えようという姿勢が身につくのです。

知識が定着していることはもちろん大切ですが、難関校合格を目指す場合は、この3つの力を伸ばしていく必要があります。

難関校合格を目指している、または目指したいと思っているお子さまの親御さん。これから立ち向かっていく入試問題がどういったタイプの問題なのかを把握し、お子さまを温かくサポートしてあげてください。(塾ソムリエ&プロ家庭教師の西村則康)

学年別・今週のスポットアドバイス

【1~3年生】学校のテストの点数をチェック

お子さまは学校のテストで、何点くらいとれていますか?

点数によって、学校の授業をどれくらいきちんと理解できているかが判断できます。いつも80点以下をとっているようだったら、注意が必要です。60・70点の場合は、そのまま放っておくと、どんどん授業がわからなくなってしまいます。

できるだけ早く、正しい授業の受け方を身につけさせるとともに、演習量に不足がないかをチェックすることが大切です。

「先生が説明を始めたら、先生の話を聞こうね」「先生が黒板に何か書き始めたら、それを見るようにしようね」といった、基本的な授業の聴き方のコツを教えてあげてください。
また、お子さまの学力に適した問題集を毎日少しずつ解いていくように導いてあげてください。

【4年生】正しい『黙読』を身につけるには?

受験勉強が始まったばかりのこの時期には、黙読を正しくできないお子さまがいます。本を読んでいるお子さまの正面に座り、黙読しているときの目線の動きを見てみてください。
読み飛ばしたり、つまみ食いのように一部だけを読んだりしてはいませんか?

いい加減な黙読が習慣化すると、問題文の分量が増える5年生以降、成績が伸び悩んでしまう危険性が高まります。

正確に、かつスピーディーに黙読できるようになるためには、慣れが必要になります。国語の長文や問題文を読むとき、文字に鉛筆を添え、なぞるように読むクセがつくように導いてあげてください。
このとき、鉛筆の先の動きと目の動きがあっているか、チェックをお願いします。

この方法は、問題文の読み取りミスを減らす訓練にもなりますよ。

【5年生】範囲がないテストは苦手克服のチャンス!

総合テストやクラス分けテストは、習ったことすべてが出題範囲です。何も準備をせずに受けると、当然点数は悪くなりますし、今まで習ったことを復習できる大きなチャンスを逃していることにもなります。

とはいっても全ての範囲を復習することは不可能ですから、『速さの問題は出題されたら解けるようにしよう』『植物の単元は復習して、完ぺきな状態にしておこう』といった、小目標を作りましょう。

いくつかある苦手な分野の一部に焦点を当てて、それだけはしっかり復習してテストに送り出してあげてください。このようにして、総合テストやクラス分けテストのたびに、少しずつ苦手な分野を克服していきましょう。

【6年生】テストの結果で注意すべきは『ミスの種類』

テストの結果を見て、『どういうミスをしたのか』をチェックしましょう。ミスには以下の3つの種類があります。

・単純な計算ミス
・問題文の読み取りミス
・アウトプットのミス

『アウトプットのミス』は、たとえば、“つるかめ算”を習ったのに使いこなせなかったり、“線分図”を使って解くべき問題で“ダイアグラム”を使って解こうとする、といったような、『頭の中の知識の引き出しミス』です。

子どもは3種類とも「ケアレスミスだ」と言いますが、それぞれが、繰り返されてしまう本質的なミスであることが多いのです。特に、『アウトプットのミス』はケアレスミスではなく、すべて本質的なミスですから、知識や解き方がまだ定着していないと考えられます。

しっかり復習して、正しく知識を引き出せるようにしておきましょう。6年生になると、毎回のテストで一喜一憂しがちだと思いますが、点数より、ミスの種類に着目してみてくださいね。

【6年生難関】お子さまが焦っているようすはありませんか?

お子さまの「あれもこれも勉強しなきゃ」という使命感は、親御さんが思っている以上に強いものです。お子さまが義務感で潰れかけていないか、チェックしてみましょう。

解答用紙やノートを見てみて、「なんでこれを間違えているんだろう?」というくらい簡単な問題で間違えていたり、本来の力が発揮されていないようすはありませんか?その場合、焦って気持ちに余裕がなくなり『あたふた学習』になっている可能性があります。

1週間に最低でも1時間は、ていねいに問題文を読んで、「ああでもない、こうでもない」とじっくり問題に向き合うスローな勉強をする時間を取るように導いてあげてください。

また、子どもの「たくさん勉強しなきゃ」と焦る気持ちを、親御さんが和らげてあげてください。

これで成功! 先輩ママの声かけ実例

5年生の夏休み明けから、息子の成績が伸び悩みました。

「宿題はきちんとこなしているのに、なぜだろう?」と不思議に思い、勉強している息子のようすを見てみると、問題文を読むのが異常に速いことに気がつきました。算数の6~7行ある問題文を10秒も経たないうちに読み終え、計算式を書き始めているのです。

「そんなに速く問題文を読んで、ちゃんと解けるの?」と聞くと、「パッと読めば、『あの解き方だな』ってわかるから大丈夫だよ」と返されました。

「息子はそう言っているけれど、問題文をあんなに速く読んではいけないはずだ」と思い、今までのテストの問題用紙や解答用紙を見直してみると、「間違っているものを記号で答えなさい」、「正しいものをすべて選びなさい」、「小数点第2位を四捨五入しなさい」など、普通の問題とは少し異なる条件が出されている問題が、ことごとく不正解になっていました。

問題文をていねいに読んでいないから、問われていることにきちんと答えられなかったのだと思います。

「やっぱりきちんと読まないとダメなんだ」と確信し、問題用紙や解答用紙を息子に見せながら、「ほら、こういう問題で間違えているでしょ? きちんと読んでいたら正解できたのに、もったいないわよ」と、きつい口調にならないように気をつけて、息子に語りかけました。

すると、息子も「本当だ、もったいないことしちゃったなぁ」と、素直に聞き入れ、問題文を読むときは、文章を鉛筆でなぞりながらていねいに読むことを、約束してくれました。

それからすぐには成績が上がりませんでしたが、6年生の1学期にグッと伸び、無事に第1志望校から合格をいただくことができました。

子どもに何かを改善してほしい時は、「○○しなさい!」と頭ごなしに叱るのではなく、なぜ直すべきなのか証拠を示して本人に実感させた方が、効果があると感じました。(てっちゃんママ)


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