第22回 元中受ママが伝授!テストの復習は何をすればいいの?

… ごあいさつ …
はじめまして。私、かつて二人の息子で中学受験を経験しました、元中学受験ママでもあります、春野陽子と申します。
現在は受験ドクターという個別指導塾で国語講師をしております。
みなさまからお届けいただいた質問や掲示板でお困りの書き込みに対し、「先輩ママ」として、そして時には「プロ講師」としてお答えすることで、少しでも皆さまの中学受験成功の一助となりましたら光栄でございます。

Q テストの復習は何をすればいいのでしょうか?
テストといっても、1週間ごとの復習テスト、2か月ごとのクラスの昇降にかかわる復習テスト、学期末におこなわれる範囲の広い実力テストなど、範囲だけでも、様々な種類があります。
また、テストの内容や形式に関しても、記述思考型、知識型、混合型とあり、また、問題の分量や難易度、受験者層も異なりますので、本来は、テストごとにそれぞれ効果的な復習方法があるのですが、今回は、どのテストにも共通する、基本的な復習方法についてお伝えします。

テストは受けた後が大事

テストは受けた後が大事

「テストは受けた後が大事」とよく言われます。

しかし、個人的な感覚では、よくアスリートが試合の最中に成長するといわれるように、小学生もテストを受けている間、学力が上がっている、と感じています。
テストを受けている間、学力を上げるには、やはり相応の勉強は必須で、勉強をしたことを試す、という意味でのテスト=試験であるなら、受けている間に学力は伸びていると思うのです。
そして、テスト中そのように真剣に解くからこそ、そのあとの復習が生きてくるのだと思います。
つまり、しっかり勉強して、その勉強の成果をテストで真剣に試し、テスト後に復習する、このサイクルによって、学力は伸びていくのです。
テストの復習の前に、テストのための真剣な勉強、学習がある、という前提で、今日のお話を始めたいと思います。

【国語】

国語

国語は、時間内に一通りすべての設問を解き終わっている状態が必要です。
もしも空欄が目立つ場合は、時間配分をお子さまと再現してみましょう。そして、思いがけず時間のかかっている問題に関して、○でも×でも、解答を見て自分の考えと照らし合わせます。このとき、解答を見る前に、お母さまがお子さまに自分の答えの根拠を口頭で言わせてください。そして、解答の解説を読んで、どの部分で間違えていたのか、お母さまがジャッジしてください。

なぜ時間をかけた問題からやり直しをするのかというと、○の場合、たとえ合っていたとしても理解があいまいだから完全に定着させるため、また、定着しやすい状態になっているためです。×の場合、たとえ間違っていたとしても解けそうだと本人が判断して格闘した問題なので、同じくやり直しをすることで、定着しやすくなっているためなのです。
時間配分を確認したとき、選択肢問題で時間をかけている場合は、とりあえず選んでおいて先に進むことを教えましょう。選択肢問題で迷っていい時間の目安は3分です。答えが不安なときは、問題用紙の問題番号にマルを大きくつけておきましょう。後で時間が余った時に、振り返りしやすくするためです。また、マルをつけたら、とりあえず安心して前に進める、という心理的効果もあります。お子さまに伝えておきましょう。

知識問題は7割取れていれば、OKです。間違えたものを素早く覚え直しましょう。
知識問題で点数をかせいで、読解でまちがえた150点中の88点と、知識問題で点を落として、読解でかせいだ88点とは、後者のほうが一部の学校を除いて、入試においては価値が高い。ただ、テストで出題された知識問題は、入試においてもよく出るものが多いので、やり直しの際に、しっかり覚えていくと、普段、やたら知識問題に時間をかけた学習よりも効率の良い学習になります。

記述問題は、記述の型を押さえることです。記述問題は、部分点が狙えるうえ、この型に沿えば実は点数の取りやすい問題です。偏差値を安定させるには、記述問題よりも選択肢問題の正答率を上げるほうが、確かな方法なのです。

【算数】

算数のテストの復習は、間違えた問題の仕分けから始まります。
間違えた理由が、【1】単なるミスなのか、【2】途中からの考え方の間違いなのか、【3】そもそもまったくわかっていなかったのか、この大きく分けた3種類に分別しましょう。
そして、【1】【2】【3】の順にやり直します。

【1】の単なるミスですが、なぜそのようなミスが起こったのか、原因を突き止めましょう。ひっ算をしていて、位取りを間違えたのなら、ひっ算をしない方法で学習しましょう。
問題の読み間違いなら、問題文に線をつけて答えを出す際に見返すようにしましょう。
つまり、ミスを単なるミスとして侮らないことです。単なるミスに見えても、そこには、考え違い、思い違いなどの本人だけの「癖(クセ)」が潜んでいることが多く、何度でもミスを繰り返すことになるからです。

【2】の途中まで合っていたのに、詰めで間違えた、という場合、問題にとりかかる際に、解答までの見通しが立っていなかったということです。このように小学生は、解きながら次を考えていく、記憶をたどって手を動かしていくという側面が強いので、どこまでできていて、どこから考え違いをしたか、どこからわからなかったのか、を明確にすることは大切です。つまずきのポイントを的確に指摘してあげることで、同じ間違いを繰り返すことがなくなります。

【3】のそもそもまったくわかっていなかった場合は、その単元に戻って、基本の考え方である「根本原理」をしっかり押さえましょう。押さえてから、もう一度解いてみる。解けなかったら、解説を読んで、どの部分を間違えていたのか確認する。そうして三度、解いてみる。【3】がいわゆる「捨て問」であれば、無視して大丈夫ですが、正答率が50%前後以上あるのなら、「根本原理」を押さえて、しっかり解き直しましょう。

【理科】

理科

理科のテストの復習も算数と似ています。
まずは、間違えた問題を、【1】知識問題なのか、【2】思考力問題なのか、ふたつに大別しましょう。

そして、【1】知識問題の場合、覚え直せばいいのですが、理科も社会と同じく、一問一答式のバラバラの知識では、実際の入試において使えないので、全体の中のどの部分の知識なのか、という体系知識を身につけることです。

そのために社会と同じく、周辺知識を確かめ、関連性を押さえる学習が必要になります。
また、間違った問題をどの段階で間違ったのか、知識段階なのか、関連性部分なのか、計算なのか、というレベル分けをして、深い段階で間違ったものからやり直しをするのも有効です。その際、そもそもの「根本原理」が理解できているかどうかの確認は必須となります。当該単元に戻って基本の考え方を確認したり、先生に質問したりしてそもそもの考え方部分を身につけましょう

【社会】

社会も理科と同じく、知識で成り立つ科目のように思われますが、知識と同等にその関連性、体系だった知識が必要とされます。

まずは、間違えた問題の周辺知識もあわせて押さえておくことです。
その際、一問一答式ではなく、因果関係を意識して知識を入れていくことが、応用力がつくカギです。そのためにも、周辺知識の習得には、地理、歴史、公民分野にまたがって因果関係としての関連性を確かめていく、深掘りの学習をしましょう。
既習範囲において、できうる限り、関連性をたどっていく学習こそが、社会が好きになり、結果、テストで点が取れることに結びついていきます。

テストを有効活用するには

1.テスト前には、テスト範囲を根本原理を押さえながら、必死で学習する
2.テストを真剣に受ける
3.テストを受けた当日は、答え合わせをし、解いた順番、かけた時間を再現しておく
4.テストを受けた当日、もしくは翌日には、間違えた問題の解説を読んで、原因を探っておく
特に、時間をかけた問題に関しては正誤に関係なく、考え方の定着を図る。算数は、間違えた理由を大別しておく。社会、理科の知識系は周辺知識を確認。
5.正答率が出たら、正答率が高くて間違えた問題から、順に解き直していく

テストは、テスト前からの一連の学習で志望校合格へ向けて、有効活用できます。
穴を見つけて埋める、という意識で復習してください。

中学受験ギモン解決所

春野 陽子さんプロフィール
長男はSAPIXへ通塾し巣鴨中学校から東京大学理科Ⅱ類に進学、次男は転塾(日能研→SAPIX→市進)を経て海城中学校に進学。
大学院国文学専攻博士課程後期単位取得後満期退学。近代文学専攻。元私立高校教諭。日能研にて、約10年間、中学受験国語指導を担当したのち、2012年度から「中学受験個別指導塾ドクター」に非常勤講師として勤務し、2013年度から「株式会社受験ドクター」に入社。
国語のスーパードクターとして個別指導にあたっている。


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