第23回 元中受ママが伝授! 社会科実力テストの点が伸び悩む…

… ごあいさつ …
はじめまして。私、かつて二人の息子で中学受験を経験しました、元中学受験ママでもあります、春野陽子と申します。
現在は受験ドクターという個別指導塾で国語講師をしております。
みなさまからお届けいただいた質問や掲示板でお困りの書き込みに対し、「先輩ママ」として、そして時には「プロ講師」としてお答えすることで、少しでも皆さまの中学受験成功の一助となりましたら光栄でございます。

Q 範囲の広い実力テストで、社会の点が伸びません。
本日のお題は「社会科の実力テスト」です。
サピックスなら組分けテスト、サピオープン、日能研なら公開模試、四谷大塚なら合不合、といった、いわゆる出題範囲の広いテストになると得点できない、というお悩みは、実に多いですね。
今回は、その本当の要因と対策をお話しします。

社会の実力テストで点を落とす要因は?

社会の実力テストで点を落とす要因は?

「テストは受けた後が大事」とよく言われます。
社会の実力テストで点を落とす要因を、保護者の多くは下記の2つのように考えます。

1. 覚えたことを忘れている、もしくは知識が足りなかったから
2. ケアレスミスなど、うろ覚えの箇所が目立って点を落としたから

もちろん、上記が点を落とす大きな要因であることは、間違いありません。
そもそも「暗記された基礎知識」という「戦う道具」を持って初めて、 試験会場という「戦場に」臨めるのです。 「暗記された基礎知識」なしでは、手ぶらで戦うようなもの。確かにそうですね。

でも、待ってください。
中には、磨いてはいないけれど、とりあえず「基礎知識」という「刀」をもって戦場に赴いたはずなのに、返り討ちにあって負けちゃった…。
こんなことはありませんか?

本当の要因はここにあった!

本当の要因はここにあった!

実は、社会科の実力テストで点を落とす最大の要因として、

3. 聞かれる表現や形式、文が異なれば、自分の持っている知識と合致させることが難しくなるから

ということが挙げられます。
たとえば、解答が「大政奉還」だったとしましょう。
大人からすれば、「勉強したじゃない!」「覚えていたじゃない!」と思うことでも、小学生からすると「これ(大政奉還のことを聞かれている)とは思わなかった」という回答です。

なぜこんなことが起こるのでしょうか。そして、対処法はあるのでしょうか。

一問一答型の知識だけでは通用しない

つながりを考え、関連する知識を確認しましょう。

よく社会科はつながりの教科だといわれます。
つながらない分断された知識は、問われた形が一問一答のような単純系から離れたら、テストのとき、自分の脳みそから掬い取ることが難しいのです。

その点、つながっている知識は、つながり方にもよりますが、単発の一問一答型知識よりも引っ張り出すことがたやすいのです。
「大政奉還」にしても「1867年」とか「第15代将軍」とか「徳川慶喜」というキーワードがあれば、思い浮かぶお子さんでも、たとえば、次のような問題のときは、思い至らないケースが多いのではないでしょうか。

「太郎君は、京都に旅行に来ています。今日は、二条城にやってきました。ガイドさんの説明では、門で天皇家の家紋である菊紋の下に徳川家の家紋である葵の紋があったのだが、削り取られています、とのことでした。
問1 なぜ「徳川家の家紋である葵の紋があったのだが、削り取られて」いるのですか。
幕末の動きとあわせて答えなさい。

大人からしてみれば、知識を用いて新たな形に応用させる、という技は簡単ですが、お子さんからすると、問われ方が違う、というのは、戸惑う元です。

つながり学習と深堀り学習を組み合わせましょう

つながり学習と深堀り学習を組み合わせましょう

では、対策は?
多くの問題にあたって、経験値を上げていくしかないのでしょうか。

もちろん、それを否定するつもりはありません。
でも、あまりに非効率なやり方は、社会科という隙間学習時間を活用する教科の学習には向きません。
ここは、やはり、「根本の考え方」、いわゆる根本原理を身につけていくことだと思います。

先ほどの例でお伝えしますと、「大政奉還」の年号や場所、かかわった人物名を押さえて覚える努力はしつつも、そもそも大政奉還とは、なぜ歴史に残る事件なのか、これによってどんな状態からどんな状態へ変化したのか、そして登場人物たちのそれぞれの主張はどのようなものだったのか、将来長く残る遺恨はなかったのか、などのいわゆるストーリー的な掘り下げ方や、二条城の造りから築城の歴史、地形や気候に即した築城方法…と、話をチェーン状につなげながら、輪っかの知識を次の輪っかの知識と因果関係で結んでいく。

このように「つながり学習」「深堀り学習」でもあるのです。

暗記は隙間時間で!つながり深堀り学習は机上で!

ここで、矛盾が起こります。このような学習は、時間がかかりますね。
先ほど、社会科は隙間学習を活用する教科だといいました。

訂正します。

単純な基礎知識の暗記は、隙間学習で。そして、「つながり学習」「深堀り学習」は、毎日20分ずつしっかり時間をとって机上でおこないましょう。

つながり、深堀り学習を単純な暗記と組み合わせるだけで、「記憶に残りやすくなる」「応用力がつく」といいことづくしです。
あとは、図表に強くなること。
変化のあるところ、強弱がついているところがポイントです。

中学受験ギモン解決所

春野 陽子さんプロフィール
長男はSAPIXへ通塾し巣鴨中学校から東京大学理科Ⅱ類に進学、次男は転塾(日能研→SAPIX→市進)を経て海城中学校に進学。
大学院国文学専攻博士課程後期単位取得後満期退学。近代文学専攻。元私立高校教諭。日能研にて、約10年間、中学受験国語指導を担当したのち、2012年度から「中学受験個別指導塾ドクター」に非常勤講師として勤務し、2013年度から「株式会社受験ドクター」に入社。
国語のスーパードクターとして個別指導にあたっている。