夢を育む学校で出会う「夢のたまご」とは?関東学院小学校

inter-edu’s eye
第24回では神奈川県横浜市にある関東学院小学校校長の岡崎一実先生にインタビュー。最寄り駅から徒歩5分ほどの高台に位置する見晴らし抜群の環境で過ごす6年間の小学校生活とは? 特色のあるカリキュラムなどを詳しくうかがってきました。

アナログ教育からデジタル教育まで充実した小学校

本を通して知らない世界と出会う

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関東学院小学校校長 岡崎一実先生。

エデュ:まずは貴校の特徴を教えてください。

岡崎先生:本校はキリスト教の教えに基づく人間教育を理念とし、校訓である「人になれ 奉仕せよ」のもと3つの教育目標、「“人になれ 奉仕せよ”を体現する子」を育てる、「“夢を実現する学力”を身につけた子」を育てる、「自分で考え、判断し、行動しようとする子」を育てる。ここに向かって歩んでいる「夢を育む学校」です。

エデュ:夢を育む学校とは素敵ですね。貴校を卒業した子どもたちに将来こういう大人になってほしいという理想像はありますか?

岡崎先生:奉仕する人になってほしいですね。奉仕はもともと礼拝(サービス)を意味する言葉ですから、神さまに仕え、人に仕え、世に仕える人になってほしい。授かっている賜物を生かして互いに仕えあうことで、自分も生かされ輝きを放つ。職場でいえば三角形の一番上にいるリーダーではなくて、逆三角形の下にいるリーダー、いわゆる「サーバントリーダー」です。ワンマンタイプではなく、部下を支え、チームに奉仕する、それが校訓の「人になれ 奉仕せよ」の一つの姿ではないかと思っています。

エデュ:特色のあるカリキュラムを教えてください。

岡崎先生:3つお話します。
1つ目は「ほんの学校」です。本校は2019年度で創立67周年を迎えますが、創立してまもなく、のちに第3代校長となる先生がアメリカに勉強に行った際に図書館の大切さを学び、帰国後すぐに寄付を募り、図書館を建設。専任の司書教諭を早い時期から配置していたという歴史があります。この伝統を引き継ぎ、自分を刺激し、自分らしさを作り、想像力を広げるための本と子どもたちをつなげる活動をたくさん取り入れています。

日常では30年近く前に取り入れた「朝の読書」。月に一度礼拝堂で開かれる、担任や司書教諭がお話を覚えて語る「お話会」。そして子どもの本の作家を招いて「講演会」などを行っています。お話会や講演会ではお話を聞いて、ただ面白かったではなく、子どもの興味・関心を広げ、読書意欲をかきたてることを目的にしています。

また6年生では「ビブリオバトル」を取り入れ、教師がバトラーになり子どもたちに本を紹介、投票してもらいチャンプ本を決める。これを子どもたち同士で、クラスのチャンプ本を決める、こんな取り組みをやっています。もちろん勝つことが目的ではなく、自分の知らない本や本を紹介した人と出会うことを目的に行っています。

2つ目は「ICT教育」です。
本校ではパソコンやiPadの使い方を学んで、こんなソフトを使えるようになったというのが最終目標ではありません。子どもたちがICT機器を通して、学ぶ意欲と関心を高め、コミュニケーションツールとして使えるようになることを目標にしています。たとえば全教室に設置されたホワイトボード、プロジェクターを駆使して、iPadを使ってプレゼンテーションのような形で発表する。今まで紙に書いていたものがICT機器を使えば、表現の幅が広がり、自分の伝えたいことがしっかり伝わりやすくなる。こういったことを学んでほしいと考えています。

3つ目は「子どもの哲学」です。
4年生以上で学期に数時間行っていますが、普通の勉強とは違い、問題もなく、正解もない、答えのないものを子どもたちで考える、そんな授業です。授業の始まりは、これからみんなで何を話し合うかを考えることから始まりますが、人の意見を聞き、自分なりの答えを見つけ、考えを深めるのが目的です。

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校内見学レポート
今回、岡崎先生に校舎内を一通り案内していただきました。その中でも一番印象に残っているのは、木を基調としたシンプルなデザインで約600人が収容可能な「礼拝堂」。りっぱなパイプオルガンもあり、厳かな雰囲気で賛美歌を歌う光景が目に浮かびました。礼拝堂以外も校舎内は木を基調としているので、モダンながら落ち着いた雰囲気で6年間を過ごせる環境だと感じました。

内部進学が7割だが、進路選択は自由

外部進学者は難関中学へ合格

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エデュ:貴校は3割が外部進学で難関中学へ合格されていますが、何か特別な取り組みをされているのでしょうか?

岡崎先生:実は学校で中学受験のための特別な指導は行っていません。ただ中学校に上がりしっかりやっていける素地・基礎作りはしっかり行っています。基礎から応用までを教える学習カリキュラムだけでなく、宿題をする習慣をつける、勉強のための身の回りの整理、こういったことを学ぶことで外部進学のチャレンジをするときに、塾や自宅でやらなければいけない勉強をやっていける力になっているのではないかと思っています。

エデュ:進路指導について教えてください。

岡崎先生:まず4年生の最初の段階で、進学希望調査をとっています。外部進学を視野に入れたご家庭には、「お子さんに合った学校を一緒に探しましょう」と伝えています。先ほど申し上げた通り、直接的な受験指導はしていませんが、「こういう勉強が必要では?」というアドバイスはしています。

エデュ:貴校が求める受験生像を教えてもらえますか?

岡崎先生:笑顔の素敵な子ですね。子どもが自然で素敵な笑顔を出せるというのは、ご家庭や幼稚園・保育園での6年間の育ちが影響します。家庭に自分の居場所があって、周りの大人からたっぷり愛されている実感がある。こういった子どもは自尊感情や自己肯定感があって、知らない大人である私たちと面接したときに笑顔でお話ができます。自尊感情や自己肯定感があれば、何かにつまづいたときも、もう1回頑張ってみようという気持ちが生まれます。

エデュ:受験前にこれだけは身につけておいてほしい力はありますか?

岡崎先生:「聞く力」です。小学校の勉強はまず聞くところから始まりますので、最低限これだけは身につけておいてほしいですね。

夢のもとになる「夢のたまご」

さらに膨らむ「夢を育む学校」の取り組み

関東学院小学校4

エデュ:これからの私立小学校に求められるものについてどのようにお考えでしょうか?

岡崎先生:私立小学校は公立小学校と比べ、一定の制約があるとはいえ、建学の精神に基づいて、独自の方向性を持って教育を行うことができます。ここをしっかりアピールして、その教育を求める人にご提供できるかどうかが私立小学校に求められるものだと考えています。

エデュ:今後行ってみたい取り組みはありますか?

岡崎先生:本校は「夢を育む学校」というキャッチフレーズを持っています。「~になりたい・~をしてみたい」という目標と、「~のために」という目的をあわせもった夢。その夢のもとになるものを私たちは「夢のたまご」と呼んでいるのですが、それに出会わせる取り組みを充実させたいと思っています。社会で活躍される方のお話を聞いたり、さまざまな体験をする必要があり、今までにも何度か行ってきてはいたのですが、来年は整理し、何年生ではこういうことを、この時期にはこの授業と組み合わせてやってみようかという具合に整理したいと考えています。

エデュ:岡崎先生ありがとうございました。

関東学院小学校データ

学校名 関東学院小学校
URL: http://es.kanto-gakuin.ac.jp/
男子・女子・共学 共学
所在地・アクセス 〒232-0002 神奈川県横浜市南区三春台4
京浜急行「黄金町」駅より徒歩5分
校訓 「人になれ 奉仕せよ」
制服の有無
給食の有無 週2回 ※他の日は希望制

編集部から見たポイント

同校は決して広いグラウンドを持っているわけではありませんが、笑顔で元気に遊ぶ子どもたちの姿が印象的でした。広々とした施設はもちろん重要ですが、それ以上にどういった先生や仲間たちと6年間過ごすのかが、子どもたちの自然な笑顔を作るうえで重要ではないかと感じました。お子さまに6年間笑顔で過ごしてほしいご家庭は一度足を運んでみてはいかがでしょうか?

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