児童中心主義の「小中9カ年一貫教育」 清明学園初等学校
第26回では東京都大田区にある清明学園初等学校校長の横山豊治先生にインタビュー。私学としては珍しい「小中9カ年一貫教育」体制の教育内容や、他校にはない強みなどをうかがってきました。
都内では珍しい「小中9カ年一貫教育」
創立以来揺るぎない“児童中心主義”

エデュ:まずは貴校の教育の特徴を教えてください。
横山先生:本校は私学としては珍しい、「小中9カ年一貫教育」が最大の特徴になっています。9年間のなかで成長発達を見守り、どんな教育が最も子どもたちの力を伸ばすのかを研究し、それを実践している学校です。
エデュ:都内では中学受験に強い私立小学校が人気を集めていますが、貴校の強みは何でしょうか?
横山先生:「ぶれない教育観」です。おっしゃる通り、都内では中学受験に強い私立小学校の方がニーズは高い傾向にあります。しかし、その中であえて高校受験に向かわせる姿勢は、しっかりとした教育観がないと進められません。創立以来揺るぎない“児童中心主義”という教育観を持ち、日々実践している。これが本校の強みだと思っています。
エデュ:貴校を受験されるご家庭はどのようなご家庭が多いのでしょうか?
横山先生:やはり「小中9カ年一貫教育」に魅力を感じ、賛同してくれるご家庭は多いですね。
エデュ:実際どのような教育を行っているのかを知りたいのですが、特色のあるカリキュラムを教えてください。
横山先生:3つお話しします。
1つ目は「低学年の総合学習」です。1・2年生においては、生活経験を豊かにすることが教科学習にも大きな影響を与えると考えています。そのために「手作り」「散歩」「そうごう」の時間を通して実物に直接触れ、全身を使っていろいろなものを感じ取りながら、子どもたちが多くのことを経験して身につけていくことに、わたしたちは力を入れています。
2つ目は「劇の学習」です。これは3・4年生で週1時間行っていますが、設定されたテーマについて、友だちと知恵を出し合って話し合い、短時間で内容や配役を決めて、グループで劇を発表し合います。友だちの思いを汲み取ったり、自己主張したりすることを通して、子どもたちは表現する楽しさを味わうとともに、コミュニケーションの力、ともに力を合わせて創り上げる力を育てていきます。
3つ目は「個別学習」です。子どもたちは一人ひとり理解力が違います。特に低学年のうちは生まれ月によって大きく差があります。ここを踏まえて、できる限り一人ひとりのペースに合わせた学習ができるように2人の教員がつきます。子どもの今の発達や理解の状態に合わせて、子どもたちの力を最大限に伸ばせるような学習を行っています。
学校全体を自由に見られる「公開授業」
1年生から9年生まで完全公開

エデュ:これから貴校の受験を視野に入れるご家庭に向けて、注目してほしいイベントなどはありますか?
横山先生:6月と9月には、1年生から9年生まで自由に見学できる公開授業を行っています。ここでは、1年生ではにぎやかだけれど5年生では落ちついて学習に取り組めている、といったことから子どもたちの発達を感じ取っていただけるかと思います。そして、いかに子どもが伸び伸びやっているか、教員が押しつけていないか、型にはめていないか、そういったところに注目してほしいですね。
エデュ:全学年公開は珍しいですね。来られた方の反応はいかがでしょうか?
横山先生:低学年の授業をご覧になった保護者さまは驚きますね。「授業中、こんなに声が聞こえるんですか?」と。ただ、その声も全部授業に関係していることなので、子どもたちが授業を楽しんでいるという状態をわかってもらえると思います。
エデュ:確かに貴校に一歩入った途端、子どもたちが元気だなという印象を受けました。
横山先生:ありがとうございます。本校は学校生活全般で、とにかく子どもたちがやりたいことをたくさんやらせています。実は、ゴールデンウィークの長期休み明けで、学校に行きたくなくなってしまう子がいるんじゃないかと心配だったのですが、全校生徒350名中休んだのはたった3名。とにかく学校が好きな子が多く、元気に遊び回っています。
エデュ:なるほど、それは納得ですね。そういった学校生活を通し、将来こんな大人になってほしいという人物像はありますか?
横山先生:自分がなりたいものに全力で向かえるような、自分に自信を持てる人に育てていきたいですね。将来どんな職業に就くとしても、それが自分の最高の職業だと思って、世のため人のためと考えながら、悔いのない人生を歩んでほしいと思っています。そのためには、小学1・2年生が非常に重要だと考えています。なので、この学年では、子どもたちを十分に満足させ、自信が持てる生活をさせてあげたいですね。
エデュ:自信を持たせるために実践されていることは何でしょうか?
横山先生:「徹底してその子のことを認めること」です。たとえば、本校ではものをつくる時間がたくさんあります。学校によっては「これを作りなさい」という見本があって、それに近いものを作らせることを目指したりもしていますが、本校ではそれがありません。材料だけ与えて自由に作らせ、その子が一生懸命に作ったものや表現したいことを認める。そうすることで「ぼくはこれでいいんだ。人と違うことをしたけれど、先生は認めてくれた。」と感じ取り、自信につながるわけです。
注目の学校
自然なままの入学生を求める
子どもたちの成長を教員がしっかりサポート

エデュ:受験前にこれだけは身につけておいてほしい力はありますか?
横山先生:子どもたちの「自然成長発達」を研究している学校なので、数や文字に関して身につけておいてほしいというものはありません。自然でありのままの子どもたちをお預かりし、そこからの子どもたちの成長を、発達段階を見ながら私たちがサポートしていくのでご安心ください。
ただ1点お願いしたいことがあります。それは幼稚園や保育園でお友だちとたくさん遊び、たくさんの経験をしてきてください。満足した幼稚園・保育園生活を過ごし、本校でも思いっきり遊ぶことを目標に、学校生活をスタートしてほしいですね。
エデュ:横山先生ありがとうございました。
清明学園初等学校データ
学校名 | 清明学園初等学校 URL: http://www.seimei-gakuen.ed.jp/elementary/ |
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男子・女子・共学 | 共学 |
所在地・アクセス | 〒145-0066 東京都大田区南雪谷3-12-26 東急池上線「雪が谷大塚」駅より徒歩6分 |
制服の有無 | 有 |
給食の有無 | 無 |
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