古都鎌倉で過ごす6年間の小学校生活とは?清泉小学校
第25回では神奈川県鎌倉市にある清泉小学校校長の大西貞弘校長にインタビュー。古都鎌倉に位置する同校の特色ある学びから、新しいものを取り入れつつも、教育で一番大切にしていることまでをうかがってきました。
初等教育で身につけるべき力をしっかり身につける
教科の学習を支える5つの基礎学力
エデュ:まずは貴校の教育の特徴を教えてください。
大西先生:本校はキリスト教の教えに基づく人間教育を理念とし、学校生活を通して子どもたち一人ひとりが、「かけがえのない大事な存在であること」に気づくことを大切にしています。そして自分のためだけに生きるのではなく、他者のために力を尽くして、将来的には「世界の平和に寄与できる人間」に成長することが本校の教育の理想です。
エデュ:特色のあるカリキュラムを教えていただけますか?
大西先生:2つお話しします。
1つ目は「基礎学習の徹底」です。教科の学習を支える5つの基礎学力「読む」、「書く」、「聞く」、「話す」、「計算する」を小学校の段階でしっかり身につけさせるために指導しています。この5つの力がないと学習は成り立ちません。そのため、まずは入り口として基礎学習の徹底のお話をしたうえで、「本校にはこんな魅力的な教育がありますよ」とお伝えしています。
2つ目は「総合学習」です。これは子どもの意欲や関心をもとに、子どもたちが自らテーマを探し、主体的に取り組む意欲を大切にし、「自ら学び、考える力」を育てる学習活動です。明治時代以降からずっと続いてきた教師主導の授業ではなく、主役は子どもたち。教師は後ろからあるいは脇に立って、支えていくのが役割です。例えば1~2年生ではクラスごとに飼いたい動物を決め、毎日の動物のお世話や健康状態のチェックなどを子どもたちが話し合い、活動し、そこから思いやりの心や問題解決能力を育てていきます。
エデュ:子どもたちに人気のある行事は何でしょうか?
大西先生:「自然教室」ですね。三浦半島にある約1万坪の大自然をまるごと教室と考え、観察・栽培・勤労・遊びの野外活動を通し、豊かな感性を育てたり、友達と協力することの大切さを学んでいく行事です。年10回程度、1学期・2学期には1泊2日の合宿もありますが、本当に活き活きとした表情を見せてくれます。
学校見学で注目してほしい在校生の表情や雰囲気
清泉小学校が選ばれる理由は?
エデュ:貴校は女子のほぼ全員が内部進学。男子は全員が中学受験をしますが、レベルの高い学校に合格されている。その秘密は何でしょうか?
大西先生:正直申し上げて何か特別な進学指導や、受験対策をしているということではありません。ただ思い当たることがあるならば、「精神が鍛えられる」ことでしょうか。どういうことかというと、男子は1学年に15名ほどと少なく、どうしても埋もれがちです。ただ本校では一人ひとりをかけがえのない存在ととらえていますので、男の子も埋もれないように良い所を取り出し、活躍できるようにこころがけています。もちろんそこからどう動くかは本人次第ですが、こういった学校生活を通し、精神面が鍛えられ、メンタル面が大きく左右する中学受験に活きていると思っています。
エデュ:なるほど。貴校が求める受験生やご家庭の理想像を教えてください。
大西先生:本校の方針や精神をきちんと理解されているということが大前提にあります。保護者の方が通わせたいと思うだけでなく、お子さまもこの学校で勉強したいと思っているかどうかですね。あとは協調性があるかどうかは大事な点ですね。
エデュ:学校見学でここに注目してほしいというところはありますか?
大西先生:在校生の表情や雰囲気です。本校は先ほどお話しした通り女子はほぼ全員、エスカレーター式で中学校に上がれるのでメリットがあります。しかし男子は外部受験をするので、正直申し上げて女子ほどメリットは大きくありません。それでも本校が選ばれる理由として、在校生の表情や雰囲気が良かったからというお話を保護者の方から聞きます。学校見学ではぜひ注目してほしいですね。
エデュ:近年、力を入れている教育は何でしょうか?
大西先生:「英語教育」と「ICT教育」です。
まず「英語教育」に関しては、1~2年生は週3時間、3年生は週4時間、4年生以上では毎日授業があります。2年前にカトリック校向けのテキストを使用し始めたのですが、登場人物たちとともに成長するストーリーになっており、語彙は900語習得することができます。小学校で学んだことは中高と連携しているので、高い英語力を身につけられると思います。
「ICT教育」は学年全体で18クラスある教室のすべてにプロジェクターとホワイトスクリーンを完備。iPadは80台用意しています。校内の無線LAN環境も整えたので、これからどんどん活用していきたいと考えています。
注目の学校
共働きのご家庭へ向けた2つのサポート
新しいものを始めるのではなく定着を
エデュ:共働きのご家庭が増えていますが、サポートとして行っていることはありますか?
大西先生:まず本校では、保護者の方が強制的に学校に来る行事やイベントをなるべく少なくしています。
あとは「アフタースクール」です。2017年度から大船駅に「清泉アフタースクール大船校」。2018年度からは学校敷地内に「フエンテ(スペイン語で泉)」を開設しました。宿題の時間を確保した後に子ども同士で自由に遊ぶ時間をとっているので、活用してもらいたいと思っています。
エデュ:今後行ってみたい取り組みはありますか?
大西先生:新しい取り組みは今のところ考えていませんが、先ほどお話しした「英語教育」や「ICT教育」は近年新しいことを取り入れたばかりなので、定着させたいと考えています。2022年に本校は75周年を迎えるのですが、そこを1つの節目として100周年に向けて25年間を過ごしたいと思っています。
エデュ:大西先生ありがとうございました。
清泉小学校データ
学校名 | 清泉小学校 URL: http://www.seisen-e.ac.jp/ |
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男子・女子・共学 | 共学 |
所在地・アクセス | 〒248-0005 神奈川県鎌倉市雪ノ下3-11-45 JR「鎌倉」駅よりスクールバスあり |
制服の有無 | 有 |
給食の有無 | 無 |
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