どうなる?! 大学受験 もうすぐ最後のセンター試験

inter-edu’s eye
大学受験の動向が、かつてないほど世の中をにぎわせています。
2020年度に実施の大学入学共通テストにおいて導入するとしていた、英語の外部試験が延期となったのが11月1日。まだその動揺も覚めやらぬ12月17日、今度は予定されていた国語と数学の記述式問題の導入を見送り決定したと発表されました。
当事者である高校生やその保護者はもちろん、高校や塾などの教育現場も、大きな動揺と混乱の中にあります。

最後のセンター試験、万全の準備で受験を!

試験会場の様子

そんな中、来月には、最後となる大学入試センター試験が実施されます。
大学入試センターの発表によると、令和2年度大学入試センター試験の志願者数は55万7,698人。平成31年度(57万6,830人)から2万人近くの減少となりました。例年、センター試験出願後に推薦入試などで一足先に進路が決まった受験生などが一定数、当日欠席となることを考慮すると、受験者数が55万人を割り込む、最後にしてはやや寂しいセンター試験になりそうです。
また、志願者のうち既卒生は10万376人、比率にして18%ということです。

センター試験を受験予定の高校3年生・既卒生の皆さんは、今まさに最後の追い上げに励んでいるところでしょう。中でも、約2割の既卒生は、現行での試験制度が最後となるだけに、より必死だと思います。
勉強に集中しながらも、ニュースの内容やこれからの受験の動向は非常に気になるところだと思います。ですが、とにかくまずは目の前の勉強です。この春に笑って入学式を迎えられるよう努めましょう。

また、受験生の親御さんは、お子さまのこれまで積み重ねてきた努力が無駄にならないよう、食事や睡眠時間といった健康管理やメンタル面でのサポートを心がけてあげたいものです。
しかし、ここでやや厄介なのは今年の曜日の巡り合わせ。例年より長めの年末年始休みとなっているご家庭が多いのではないでしょうか。

普段、朝と夕方以降からの時間くらいしか顔を合わせないようなご家族が長時間一緒にいるとなると、それはそれできょうだいげんかが起こったり、一緒にいる間がもたなくなってしまったりすることもあるかもしれません。
ついつい受験生の我が子が心配になり、あれこれと声をかけてしまいそうだとは思いますが、この期間の過ごし方についても考えておくとよいかもしれません。

「家にいると息が詰まる」「気分を変えて勉強したい」などというときには、学校や塾・予備校の自習室、あるいは公共の図書館などを利用してみるのもよいかもしれません。
東京都内には、年の瀬ギリギリまで開館している公共図書館もあるようです。

年末年始の東京都内図書館 開館情報

大学入学共通テストの今後は…?

さて、現時点では大混乱となっている大学入学共通テストですが、そもそも大学入試センター試験が大学入学共通テストへと変わることになったのはなぜでしょうか? ここで簡単におさらいしてみましょう。

大学入学共通テストが誕生することになった背景には、次代を担う若者たち、特にそれを牽引する人材となるべき大学進学を目指す学生たちに、これからの時代を生きていくための力を身につけてもらいたいという願いがありました。

一方で、従来の大学入試問題、特に全問マークシート方式で行われる大学入試センター試験では、知識の量が多ければ多いほど得点を上げやすい傾向にありました。そのため、「知識偏重」「詰め込み型」などと揶揄されがちでした。そこから脱却するために、高校までの授業で学んだ知識・技能だけでなく、それを実際に生きていく中で活用するための「思考力」「判断力」「表現力」を測れるような入試問題にしようということになったわけです。

当初の予定では、大学入学共通テストでは、大学入試センター試験から以下のような変更がなされることになっていました。

*英語で求められる技能が「読む」「書く」の2技能から「読む」「書く」「話す」「聴く」の4技能になり、民間の検定試験・資格試験を利用する。
*出題形式において、国語と数学に記述式の問題が一部追加される。センター試験は全問マークシート形式。
*出題内容において、従来の高校までに学んだ「知識・技能」を問うものに加え、「思考力」「判断力」「表現力」についても重点的に問われるようになる。

しかし、冒頭でもお伝えしたように、ここにきて変更の目玉の一つだった「英語の外部試験導入」が延期となり、さらにもう一つの目玉「国語と数学の記述式問題の導入」も見送りとなりました。

となると、残る変更は出題内容に関するものだけになってしまいます。
従来の高校までに学んだ「知識・技能」を問うものに加え、「思考力」「判断力」「表現力」についても重点的に問われるようになるというわけです。

学んできたことは無駄にならない

勉強

さて、ここでエデュ読者の皆さまにはなじみ深い言葉が出てきませんでしたか?
そう。「思考力」「判断力」「表現力」です。公立中高一貫校の入試で課される適性検査の内容に近いですし、多くの私立中高一貫校でも、入学後に生徒たちに身につけさせる力として謳われています。

先月の大学リサーチのインタビュー「【緊急連載】大学入試 英語の外部試験利用延期が意味することとは?」にご協力いただいた教育ジャーナリストの後藤健夫先生もおっしゃっていましたが、まさに、「学んできたことは無駄にならない」のです。

また、国語と数学の記述式問題の導入見送りを発表した先日の記者会見では、萩生田文科大臣が自ら、「各大学の個別選抜において記述式問題の活用に積極的に取り組んでいただきたい」と答えていました。

東大・京大をはじめとした難関の国公立大学では、以前から個別選抜試験で論述形式の問題や小論文などが課されていました。今後は、個別選抜試験で記述や論述形式の問題を課す大学が少しずつ増えることも予想されます。
というのも、試験問題には、「こんな学生に来てほしい」という学校側の想いが少なからず表れているのです。大学のアドミッションポリシーと小論文の問題を見比べるなどしてみると、それはうっすらと見えてきます。

社会の要請を受けて大学入試センター試験が大学入学共通テストに変わろうとしたように、世の中で必要とされる力を身につけられる学生を求める大学は、自然と「思考力」や「判断力」、「表現力」を問うような入試問題を用意せざるを得なくなるでしょう。

さらに本質的なことをいうと、「思考力」「判断力」「表現力」は、受験のためだけの力ではありません。
自分が実際に社会に出て働くようになってから、思考力や判断力、表現力の大切さを痛感した保護者の皆さんも多いのではないでしょうか。いずれ社会に出たときに必要とされる力なのであれば、それをどこかの段階で身につけておくということには少しもマイナスはないはずです。

大学進学を目指す皆さん、その保護者の皆さんには、今回の騒動を、「なぜ・何のために学ぶのか?」ということを改めて問い直すきっかけにしていただければと思います。長い人生から見れば、入試はゴールではなく、将来に向けての通過点に過ぎないのですから。