将来の選択肢が広がる学部合同説明会
【フィジカルAI時代】これから重要になる学問・学部は?
生成AIの普及に続き、今後はAIが現実世界で「見る・考える・動く」フィジカルAIの時代が進むと言われています。
フィジカルAIは、単なるAIソフトウェアの話ではありません。
AI・データサイエンスだけでなく、
・ロボティクス
・機械工学
・電気電子工学
・制御工学
・情報工学
・半導体・デバイス
・センサー・計測
・材料工学
・通信
・エネルギー
・数理・統計
など、複数の技術分野が組み合わさって成立する産業です。
実際、政府もAIロボティクスについて、AIモデルの性能だけでなく、コンピューティング、制御系、駆動系、知覚系を統合する「統合力・運用力」が競争力になるとしています。また、AIとロボット双方の知見を持つ人材の不足も課題として挙げられています。
そこで、大学受験という観点から考えてみたいです。
① これから重要性が増す学問は何か?
AI・情報系だけでなく、機械、電気電子、制御、半導体、材料などの重要性はどう変わるのか。
② 具体的にどの学部・学科が有利になるのか?
情報、工学、電気電子、機械、材料、数理など、それぞれどのような役割を担うのか。
③ 「AIを学ぶ」だけで十分なのか?
フィジカルAIでは、AIを現実世界で動かすための「身体側」の技術も重要になります。AIとロボットの両方を理解できる人材の価値は高まるのでしょうか。
④ 大学選びでは何を見るべきか?
学部名や偏差値だけでなく、研究設備、産学連携、半導体・ロボット・AI関連の研究室、大学院進学、企業との共同研究などを見る必要があるのでしょうか。
フィジカルAIは「ヒューマノイドだけ」の話ではありません。
自動車、工場、物流、医療・介護、建設、農業、インフラなど、現実世界で機械が動くさまざまな産業に関係してきます。
「AI時代だから情報系」だけでなく、「フィジカルAI時代には、どの学問・学部が産業のどの部分を担うのか?」
大学受験・大学選びの観点から考えてみませんか?
専門性を深く身につけることが重要、という点については私も否定していません。
ただ、今回のやり取りで気になっているのは、そもそも「AI=頭、機械・制御=手足」という「手足論」を持ち出す必要があるのかということなんですよね。
ウエイさん自身も、
「AI=頭、機械・制御=手足という比喩を文字通りの階層構造として捉える必要はない」
としていますし、さらに、
「身体側が単なる出力装置ではない」
とも認めています。
それなら、フィジカルAIについては、少なくとも「AIが上位で、機械・制御が下位」という単純な序列ではない、という点では、ほぼ同じ認識なのではないでしょうか。
私が言っている「〇〇×AI」も、「機械・電気・制御・AIを一人ですべて浅く学べ」という話ではありません。
例えば制御工学なら、制御工学を専門として深く学ぶ。
そのうえでAIやデータサイエンスを理解し、自分の専門領域とどう接続するのかを考える。
つまり、
「専門性を捨てて幅広く」ではなく、
「専門性を持ったうえで、AI・他分野と接続できる」
という話です。
むしろウエイさんが挙げたNVIDIAの例も、perception、planning、control、simulation、VLAなど、それぞれの専門領域を深く研究しながら、最終的には一つのシステムとして統合しているわけですよね。
それなら、
「専門性の深さ」と「分野を接続する力」は、別に対立するものではない
と思います。
だから私としては、専門性の深さの議論より先に、まず確認したいのは、
「AI=頭、機械・制御=手足」という手足論を、フィジカルAIの技術構造を説明する比喩として本当に採用する必要があるのか?
というところです。
身体側も知能の成立条件の一部であり、センサーから制御、駆動、環境との相互作用まで含めたフィードバックで成立するのがフィジカルAIなら、最初から「頭」と「手足」という上下関係を置かない方が、むしろ実態に近いのではないでしょうか。
そのうえで、
「深い専門性+他分野との接続」
をどう大学教育で実現するか、という話をすればいい。
今回のやり取りで、少なくとも「手足論」と「専門性の深さ」は別問題だ、ということは整理できたように思います。
>デジタル化で職を失うホワイトカラーの労働移動を支援ー政府方針
2024年2月27日
労働需要が少なくなるおそれがあるホワイトカラー(事務職従業員)のブルーカラー産業への転職支援
製造業や土木など
手先が器用で、体力があって、根性さえあれば、AIに仕事を奪われてリストラされても、なんとか人間らしい生活は送れそうですね。
NVIDIAとFANUCは、フィジカルAI分野で実際に協業しています。
しかも、今回の「〇〇×AI」という考え方を説明する、かなり分かりやすい実例だと思います。
FANUC自身が、NVIDIAとの協業によるフィジカルAIとデジタルツインの推進を明記しています。
FANUCのロボットをNVIDIAのIsaac Simに対応させ、JetsonなどのNVIDIAの計算基盤やAI技術と組み合わせながら、産業用ロボットへのフィジカルAI実装を進めています。
役割を大まかに分けると、
・NVIDIA → GPU、AI計算基盤、Jetson、Isaac Sim、GR00Tなど
・FANUC → 産業用ロボット、モーション制御、製造現場の技術・ノウハウ
という、それぞれの専門性を持った企業同士の組み合わせです。
2026年には、FANUCがNVIDIA Jetson Thorを採用したシステムを開発し、GR00Tを使ったロボット動作学習にも取り組んでいます。
ここで重要なのは、どちらか一方がすべてを担っているわけではないということです。
NVIDIAのAI・計算基盤だけで工場のロボットシステムが完成するわけではありません。
一方、FANUCのロボットやモーション制御技術だけでも、高度なフィジカルAIを実現することはできません。
それぞれが持つ専門技術を、
AI・計算基盤・シミュレーション
×
ロボット・センシング・モーション制御・製造技術
という形で接続し、実際のロボットシステムとして成立させているわけです。
これは、今回話している「〇〇×AI」の考え方そのものではないでしょうか。
大学で考えても同じで、
機械を専門として学ぶ
+
AI・データサイエンス・制御・センシングなど、機械をAI時代に活かすための知識を身につける。
これは「機械も電気も制御も半導体も、全部一人で(深く)学ぶ」という話ではありません。
むしろ、それぞれの専門性を深く持ったうえで、それをAIや他分野と接続できることが重要になるという話です。
NVIDIAとFANUCの協業を見ても、フィジカルAIは「AIだけ」の世界ではありません。
異なる専門領域の技術を、実際に動く一つのシステムとして成立させる。
そこにフィジカルAIの難しさと、同時に各専門分野の価値があるのだと思います。
「〇〇×AI」は、機械・電気・制御・AIを全部浅く学びましょう、という話ではないでしょう。
例えば機械工学を専門にするなら、まず機械工学をしっかり学ぶ。
そのうえでAI・データサイエンスを理解し、自分の専門領域と接続できるようにする。
つまり、
「専門性を捨てて幅広く」ではなく、「専門性を軸に、AIとの接続領域を広げる」
という話です。
むしろフィジカルAIが分野融合だからこそ、この「専門性+接続力」が重要になるのではないでしょうか。
また、
「どの技術領域でどれだけの付加価値と雇用が生まれ、そのためにどの専門人材が何人必要なのか」
まで数字を出さないと大学選びの判断材料にならない、というのは少し違うと思います。
10年、20年先のフィジカルAIについて、必要な人材を「機械○万人、制御○万人、AI○万人」と正確に予測することなど、そもそも可能でしょうか。
大学選びで見るべきなのは、将来の雇用人数を一点予測することだけではなく、
「その大学で、どの専門性をどこまで深く学べるのか」
そして、
「その専門性をAI・データサイエンスや他分野と接続する環境があるのか」
ではないでしょうか。
だから、大学間連携やDS教育の実例を挙げているわけです。
「大学間連携がある=その大学が有利」と単純に言っているのではなく、専門分野を深く学びながら、他分野と接続する教育環境が実際に存在していることを示すためです。
結局、今回の議論は、
「AIを学ぶか、専門分野を学ぶか」
という二択ではなく、
「専門性を持った人材が、AIを含む他分野とどう接続できるようになるか」
という話なのだと思います。
「頭と手足」の上下関係も、「幅広く浅く」という教育論も、極端に捉えすぎ、との印象です。
>ここまで「〇〇×AI」という考え方を見てきましたが、もう一つ考えておきたいのが、
「AI=頭、機械・制御=手足」
という捉え方です。
一見すると分かりやすい比喩ですが、フィジカルAIを考えるうえでは、むしろこの分け方自体が適切ではないのではないでしょうか。
AIやロボット工学が進んだ現在、「AI=頭、機械・制御=手足」という単純な考え方からは卒業して次のようにするのはどうでしょう。
「メインAI=頭、サブAI=処理が複雑な場合の頭の補助、中継地点=頭で処理するほどではない、または判断スピードが要求される場合の頭の代用、機械・制御=手足、頭へのフィードバック機能あり」、というように少し複雑化するのはどうでしょう?
文系目線だと、どうしても「頭=考える」「手足=動かす」と分けたほうがイメージしやすいのか?
「サブAIを追加して頭を複雑化する」より、そもそも「頭と手足に分ける必要があるの?」と考えられないのかな?
フィジカルAIって、頭が一方的に指示して、手足が動くという話ではないですよね。






























