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エデュテインメント施設・キッザニアには、「こども議会議員」がいることをご存じでしょうか。その正体は、キッザニアの街をよりよくするために活動している小学生。彼らは議員活動を通して、他者のために考え、意見し、協働しています。そこで、東京と甲子園のこども議会議員に新たな課題を投げかけてみました。彼らは力を合わせて課題解決へ道を切り拓くことができるでしょうか。
企画・編集:インターエデュ・ドットコム
こども議会とは
東京と甲子園、それぞれ20人のこども議会議員で構成。任期は2年で、毎年東京は10月に、甲子園は4月に約半数が新しいメンバーと入れ替わる。
活動目的
・こどもの声をキッザニアの街づくりに反映する。
・キッザニアを通じてこどものメッセージを広く発信し、よりよい社会づくりに貢献する。
主な活動内容
・新しいアクティビティのシミュレーション
・オフィシャル撮影への参加
・キッザニアグッズの販売店「ナショナルストア」の商品開発
・他国のこども議会議員とのクリスマスカード交換
・イベントやセレモニーの運営や参加
こども議会議員になるには
公式サイトで東京は8月に、甲子園は12月に募集告知。その後、エントリーフォームから応募。
オンライン議会に参加してくれたのは、東京のこども議会議員2人と甲子園のこども議会議員3人。議題を伝えたところ、違う施設のメンバーとは初対面にも関わらず、こども議会議員だけで議会を進行してくれました。
セリス/小4
キッザニア訪問回数:2回くらい
好きなアクティビティ:新聞記者
理由:作文が得意だから
議員の志望理由:いろいろな人と意見交換をしたかったから
将来の夢:数学オリンピック出場とアナウンサーになること
中学受験の予定・経験:あり
とこ/小5
キッザニア訪問回数:30回くらい
好きなアクティビティ:新聞記者
理由:情報を集めて記事にすることが楽しいから
議員の志望理由:キッザニアをもっとよくしたいと思ったから
将来の夢:考え中
中学受験の予定・経験:あり
もも/小6
キッザニア訪問回数:20回くらい
好きなアクティビティ:ソーセージ職人
理由:仕事体験の後、ソーセージを食べられるから
議員の志望理由:母が募集告知を見つけて、面白そうだと思ったから
将来の夢:歌手
中学受験の予定・経験:あり
ユウ/小6
キッザニア訪問回数:年に2・3回
好きなアクティビティ:銀行員
理由:スタッフが優しく接してくれて、楽しく仕事体験ができたから
議員の志望理由:兄がこども議員を経験していて、自分も裏方の仕事をやってみたいと思ったから
将来の夢:研究者
中学受験の予定・経験:なし
そうちゃん/小4
キッザニア訪問回数:20回以上
好きなアクティビティ:ピザ職人
理由:何度体験しても楽しめるし、作ったピザを家族で分けて食べられるから
議員の志望理由:父が募集告知を見つけて、キッザニアが好きな僕に教えてくれたから
将来の夢:宇宙飛行士
中学受験の予定・経験:あり
今回の議題
3~6歳のこどもを持つ親の多くが、「こどもが一人で仕事体験できるだろうか」と心配している。その不安を軽くして、小さいこどもが一人でも多くキッザニアを訪れるようにするにはどうしたらいいか。
まずは、自分たちの考えや体験を基に意見を出し合うことになりました。
初めての仕事体験は「親しみのある身近なもの」から探そう
もも
小さい子にはどんなパビリオンがおすすめでしょうか。
セリス
小さい子はままごとが好きだから、ままごとの感覚で簡単に料理を楽しめるパビリオンがあれば喜ぶと思います。
ユウ
仕事について学べるところがキッザニアの強みだから、もし小さい子向けに作業が簡単なパビリオンを作るとしても、仕事の内容をきちんと理解できるような工夫は盛り込むべき。
もも
とこさんの意見に賛成です。
甲子園にはボールペン作りを体験できる「筆記具屋」があって、みんなの家にある道具がどうやって作られているか知ることができます。
そうちゃん
僕の案は、オリジナルのおもちゃを作ることです。おもちゃがあると、小さい子は「あのおもちゃで遊びたいからキッザニアへ行く!」と考えるから。あと、そのおもちゃのキャラクターがパビリオンで仕事内容を説明したら、小さい子はちゃんと聞いてくれると思います。
こども議会議員が太鼓判を押す「未就学児が楽しめるパビリオン」
もも
では、いまあるパビリオンの中から小さい子に体験してほしいものを選ぶとしたら?
ユウ
「すし屋」です。メジャーな食べ物だし、仕事を通して衛生的なことを学べます。
そうちゃん
「パスタスタンド」は食材を混ぜる作業が楽しいし、温かい料理を作るけれど、熱すぎず、安心して料理できます。
もも
安全面から考える人がいれば、こどもがよく遊んでいるものからおすすめを考える人もいますね。私は、ソーセージはこどもに人気の食べ物だから「ソーセージ工房」を推します。
こども議会議員が開発に参加! パビリオンの安全を多角的に検証
そうちゃん
議員のメイン活動「新しいパビリオンのシミュレーション」では、小さい子のために、どんなところをチェックしていますか。
もも
私は安全面を重視して、小さい子が仕事中にケガをする恐れがないか、不自由なくアクティビティを体験できるかをチェックしていました。
小さい子の目線に立つことで、新しい発見もあり楽しいです。
ユウ
「ガラス工場」では、ガラスの原料を溶かす様子を見るとき、機械の小さな窓をのぞきこみます。その窓は少し高い場所にあるので、パビリオンのシミュレーションでは、幼い子でもちゃんと中を見ることができるかどうかを確認しました。
とこ
リアルをとことん追求! 話す力も身につく!
セリス
キッザニアのいいところは何だと思いますか。
もも
スタッフが優しいところです。接していると“こどもが好き”という想いが伝わってきて、ケガなど何かあっても助けてくれる安心感を抱きます。
セリス
ももさんと同じ意見で、スタッフが仕事内容を優しく教えてくれるところです。
そうちゃん
リアルなところです。ほかの施設は、キッザニアほどリアルさにこだわっていないと思います。
キッザニアは面白くてリアルな体験もできるからすごい!
とこ
大人と離れて参加するから、仕事体験の後、「どんな作業をしたのか」「どれほど楽しかったか」を親に話すことで、小さい子は人に説明する力がつくと思います。
ユウ
たくさんの仕事を体験できて、仕事に興味がわくところです。小さい子から中学生まで、いろんな年齢の人と一緒に参加できるところもいいですね。
意見をまとめよう
みんなで結論を出します。
ユウ
これまでの意見をまとめながら、議題の解決案を考えましょう。
もも
昔、お母さんがママ友達をキッザニアに誘ったら、子どもだけで仕事体験をさせることや、安全面が心配だと言われたそうです。だから、いままで以上に安全第一でキッザニアを運営し、そのことをアピールするべきです。
セリス
弟と初めてキッザニアに行ったとき、お母さんは「ケガをしないだろうか」「泣いたらスタッフはどう対応してくれるのか」と、弟を心配していました。このため、小さい子のトラブルにはどう対応するのか、具体的なことを伝えたらいいと思います。
そうちゃん
新型コロナウイルスの感染を心配しているお母さんもたくさんいます。だから、キッザニアのコロナ対策を説明するべき。スタッフ全員がマスクをして定期的に手洗いをし、パビリオンではお客さんの手も消毒していること。そのとき、お客さんに消毒アレルギーがないか聞いていることまで伝えたいです。
とこ
私はマップを工夫して、“好きな仕事を選んで働く、お給料を使う、銀行に預金する”というキッザニアの魅力のポイントやキッゾの説明をもっと詳しく書いたり、施設は広いから自由に過ごせると伝えたりしたほうがいいと思います。また、マップの欄外にある説明は文字が小さく、小さい子が読みにくいです。
ユウ
どんな年齢の子でも楽しめるようにパビリオンを変えたらいいと思います。たとえば、パビリオンにいろいろなサイズのイスを揃えたりすると、小さい子にも、そうでない子にも対応していることをアピールできるのではないでしょうか。
結論
・コロナ対策や施設の安全面をもっとアピールする。
・スタッフは施設の強み。親と離れて行う仕事体験でも、信頼できるスタッフが小さいこどもの対応をすることを伝える。
・働いてお給料をもらう、預金する、といったキッザニアの特長をもっとアピールする。
こども議会議員の活発な意見交換により、未就学児の子を持つ保護者へのアピールポイントが浮かび上がりました。傍聴していた施設の関係者たちは、議会の進行や展開の水準の高さに舌を巻き、「今日は“広告会社”というパビリオンでの仕事体験を見学しているようでした。なぜなら広告会社は、宣伝するもののよいところを話し合い、伝えたい人にどんなメッセージを届けるか考えて広告を作るからです。今日、みなさんが一生懸命考えてくれたメッセージは、サイトの記事になります。その記事が、きょうの成果物です」と、こども議会議員を労いました。
自立には経済的自立や身体的自立、精神的自立などがあります。精神的な自立とは、自分で考えて動き、他者と協働できること。これらは一朝一夕で会得できるものではなく、社会生活を通して少しずつ培っていくものです。こども議会議員が、未就学児がより安全に楽しめるように意見交換する姿に、自立への過程が垣間見えました。