付属校受験を考えている人必読!『早稲田と慶應の研究』

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『早稲田と慶應の研究』という新書が話題を呼んでいます。私立大学の二大トップであり永遠のライバル同士の早稲田大学と慶應大学が、今どうなっているのか、各学部の偏差値からキャンパスライフまで、あらゆる視点から比較してあります。多くの大学受験生や両大OBから高評価を受けているのですが、読んでみて中学受験の参考になることも満載と分かり、ご紹介したいと思います!

◆“今”の早稲田・慶應を知っていますか?

早稲田と慶應の研究 オバタカズユキ

新書『早稲田と慶應の研究』の帯には大きく、「えっ、なんで早稲田が下なんだ」とあります。さらに「『あほう学部お世辞学科』が私大偏差値トップに躍進」「あの『ワセジョ』が読者モデル界を席巻」「早慶W合格者が選ぶのはどっち?」などのカジュアルなコピーが続きます。

著者は、20年にわたって『大学図鑑!』を出し続けているフリーライターのオバタカズユキさんです。毎年、多くの大学の“今”をレポートしてきた『大学図鑑!』はご存じの方も多いでしょう。その『大学図鑑!』のスタンスそのままに、早稲田・慶應という私大の両雄の“今”を赤裸々にレポートしたのが本書なのです。

現役学生、OB、大学関係者、キャンパス近くの学生向け店舗の店主、企業の人事担当者など当事者・関係者を幅広く取材し、両大学に関する調査データもできるだけ詰め込んだと、著者が「はじめに」に語っている本書。大学受験を控える高校生が欲しい情報やデータが満載なことは当然ですが、小学生のお子さまを持つ親御さんにとっても貴重な情報がたくさんのっています。

わが子の中学受験を前に本書を購入したという両大OBも数多く、それもそのはず早慶の付属校は、本書の中ですべて網羅されています。いわゆる受験アドバイス本とは違った観点でレポートされているので、有名私大の付属校を検討している方には、とても参考になると思います。

それにとても読みやすい本なので、イマドキの大学生ってどうなの?と気軽に手をとってみるのにもおすすめです。興味のあるところだけ拾い読みしていくうちに、今現在の早稲田・慶應が、昭和時代の両大とは大きく変わってきていることに驚かれる方も多いでしょう。実は本書をおすすめしたい一番の理由がここにあります。昔の記憶のままに、お子さまの進学先を考えるのは危険です。とくにご自身、ご家族の中に両大のOBがいる場合は要注意!

◆偏差値も出身校も学生気質も、30年で大きく変わった!

本書は、以下の5つの章で構成されていて、すべての章で、早稲田・慶應の30年前と現在とが比較されています。

第一章 もはや「経済の慶應、政経の早稲田」ではない
第二章 受験戦線異状アリ
第三章 ガクモンのしくみ
第四章 いまどきの学生事情
第五章 成功しているのはどっちだ? 卒業後の早慶戦


第一章では、両大とも各学部のイメージが大きく変容したことが分かります。慶應では、以前は格下にみられていた法学部が大看板だった経済学部より上の地位にあがり、早稲田でも格下だった社会科学部が大躍進。

この30年の間に、どちらの大学も新しい学部ができたり、受験方法が多様化したことなどで、当の学生たちはもちろん周囲の見方も大きく変わってきています。キャンパスを見ても、バンカラな早稲田、おしゃれな慶應といった従来のイメージとはほど遠く、ダサかったワセジョが慶應ガールと区別がつかないくらいおしゃれになっていると筆者は語っています。

第二章の冒頭には、1988年と2018年の私大文系の上位学部偏差値ランキング(ベネッセ)の表がのっています。1988年は早稲田の政経がTOPで79、2018年は慶應の法学部が83でTOP。この表には他の私立大ものっているので、30年間の変わりようを一覧することができます。正直、こんなにも変わったのかと思ってしまいます。そして現在、早慶ダブル合格者が選ぶのは圧倒的に慶應という事実には、早稲田OBの方は愕然とされるかも…。

また早稲田では、この30年の間に、一般入試に合格して入学する学生の割合が82.1%から58.8%へと大きく減少しています。慶應でも64.9%から56.3%へ低下。学部ごとの一般入試、AO入試、指定校推薦、公募制推薦、付属・系列校からの入学者の割合が表にしてあるので、様変わりした大学入試をあらためて確認することができます。

そしてもっと驚くのは、入学者の出身校について。どちらも関東以外の高校からの入学者が減っています。2017年度の現役進学者数TOP20の高校が表にしてあるので、ぜひチェックしてみてください。

なおこの章には、計12校ある早稲田・慶應の付属校・系属校(中高一貫校も含む)の概要がていねいに紹介してあるので、付属校受験を考えている方は必読です。

◆現在のキャンパスライフからOBの活躍ぶりまで

第三章、第四章では、1980年代以降の学部の新設・再編、キャンパスの設備や雰囲気の変化、各学部の現状が個別に語られ、学生たちがどんな大学生活をおくっているのかがよく分かります。親世代の大学時代と違って本当によく勉強していること、グローバル化が進行して留学生が増えていること、そして何よりお金がかかることなど、30年前に大学生だった世代とは、何もかもが違っていることにあらためて驚かされます。

とはいえ、こうした変化は、社会の変化やそれに伴う大学入試の変化などが原因のもので、多くの場合他の私立大学にも共通するものだと想像できます。早稲田・慶應には、他の私大と比べれば、まだまだ伝統のDNAが引き継がれている面が多々あるようです。とくに慶應の医学部、早稲田の理工学部という最難関学部にその傾向が強いことが分かりました。

最後の第五章には、現在の就職事情、国家公務員採用総合職試験や司法試験の合格状況、OB・OGの活躍ぶりなどがレポートされ、両大出身の有名人の名前も多数のっています。経済界ではやはり慶應の人脈が強いということも。

ふと、「不易流行」という言葉を思い出しました。変わらぬ本質を忘れずに新しい変化を取り入れていくという意味の俳諧用語です。本書にも書いてあるとおり、2020年以降の大学入試改革によって、早稲田・慶應もさらに大きく変化していくことと思われますが、それでもなお、そこに学ぶ学生に与える伝統の威力や如何に? 本書を手にとって、お子さまにとって早稲田がいいか慶應がいいか、シミュレーションしてみることで、志望校選びに新たな視点を発見できるように思います。ご一読をおすすめします。

早稲田と慶應の研究 オバタカズユキ

早稲田と慶應の研究
オバタカズユキ著、小学館新書、820円+税
私学の二大巨頭をあらゆる角度から徹底比較。「早稲田といえば政経、慶應といえば経済」――そんな親世代の常識はもう古い。慶應では、かつて「あほう学部お世辞学科」と呼ばれた法学部政治学科が看板の経済学部を抜いて、今や慶應のエースとして君臨。一方、「政経にあらずんば早稲田にあらず」と言われた早稲田では、国際教養学部(SILS)の登場でキャンパスの様相が一変。「社学のシャシャシャ」と替え歌に歌われ、どうしても早稲田に入りたい人の受け皿だった社会科学部も、今では第2エースの法学部と肩を並べる存在になっている。学生たちも大きく変わった。ダサイの代名詞だったワセジョは、ファッション誌に登場する読者モデルの人数で、おしゃれで名高い慶應女子を抜き、バンカラを知らない早稲田男子は慶應ボーイに急接近。受験の現場でも大変化。偏差値、志望者数、そして早慶ダブル合格した際の進学先。司法試験をはじめとする難関試験の合格者数対決にも異変あり。親世代の常識との違いを明らかにしながら、学問の場としても、政財界のOB・OG人脈など卒業後にも及ぶ対決を、様々な角度から取り上げる。早慶OB&受験生の親必見の目からウロコの新・早慶研究本。 …購入はこちらから

オバタカズユキ

著者のオバタカズユキ(おばた かずゆき)さん
フリーライター、編集者。1964年、東京生まれ。大学卒業後、一瞬の出版社勤務を経て、フリーライターになる。社会時評、取材レポート、聞き書きなど幅広いジャンルで活躍。教育、キャリア分野の執筆が多く、1999年から『大学図鑑!』(ダイヤモンド社)を毎年刊行している。主な著書に『大手を蹴った若者が集まる 知る人ぞ知る会社』(朝日新聞出版)など多数。