第18回 「どうして」という叱り方、やめませんか?

子どもの能力を引き出す、やる気にさせる上手なほめ方・叱り方

第18回 やる気を引き出す「子どものほめ方・叱り方」(2013年8月2日)

しばらく前に「勉強する」といって自分の部屋に行った息子。頑張ってるかなと思って、ジュースを手に子ども部屋のドアを開けてみると、確かに机の上に教科書とノートは広がっているけれど、息子の手にはゲーム機! それを見て頭にカーッと血が上った母親は、つい声を荒げてしまう。

「どうして、勉強やらないの!」

怒鳴られた子どものほうはというと、不意にドアが開いて、いきなり怒鳴られた。でも、自分としても悪いと思っているから口答えもできずにうつむいて叱られるがまま、母親の怒りがおさまるのを待つ……。

これ、うちだけでなく周囲のお母さんたちからも聞きますし、多くの家庭で繰り返されているシーンだと思います。親としては一度や二度なら我慢もできるが、何度も何度も同じことの繰り返しだから「怒鳴ってしまうのもしかたがない」みたいな心情になるんですね。

ガミガミお母さん

でも、こうした繰り返しはできるだけ避けたいと思います。なぜなら、日常的に繰り返されるだけに、徐々に親子関係をむしばんでいく危険があると思うからです。
まず、子どもには叱られ癖がつきます。そして、叱られたら「お母さんの怒りが静まるのをじっと待つんだ。待ってさえいればいつかおさまるんだから…」と思うようになります。こうなると、叱った効果はゼロです。
そして、親も「もうこの子はいくら言ってもダメ」というあきらめ体制に入り、「頑張れ!」の気持ちが薄くなり、もうどうでもいいやと子どもを突き放す方向に向かいかねません。

では、どうすればいいのか?
いろいろ考えてみたのですが、「どうして、やらないの!」という言い方をやめるといいのではないかと思います。「どうして」は、相手を非難する感じが強い言い回しです。親の心情としては、まさに「どうして」なのですが、ここはふんばって、

「ゲームは後でやってもいいから、今はここからここまでを勉強しなさい」

と言ってみる。カーッとなった心のままに子どもを非難するのではなく、大人の冷静さを取り戻して、子どもにすべきことを伝える、ということです。

子どもも後でゲームができると思えば、早く勉強を終わらせようという気持ちにもなるし、何より、いやーな気分にならずにすみます。きっと、こういう同じことの繰り返し自体が減ってくると思います。

<<プロフィール>>高木 潤子(たかぎ じゅんこ)
若いころから週刊誌・女性誌で、子育て・インテリア・料理など幅広い分野の記事を取材執筆。仕事量を減らして二児を育て、インターエデュはお受験ママとして活用。現在も取材・編集・執筆と幅広く活躍中。

やる気を引き出す「子どものほめ方・叱り方」 アーカイブ