中高で伸びる子の素養が身につく!さとえ学園小学校

inter-edu’s eye
第14回では、さとえ学園小学校校長の下平孝富先生にインタビュー。さとえ学園小学校は、さいたま市に位置し、2003年に創立された新しい学校です。広大なファームや屋内外のプール、プラネタリウムや水族館など、多くの施設を備えた学校でどのような教育が行われているのか、うかがってきました。

中学校から伸びる子どもはここが違う!

児童にあらゆる体験を

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さとえ学園小学校校長 下平孝富先生。

エデュ:貴校の教育の特徴を教えてください。

下平先生:学ぶ楽しさを知る教育に重点を置いています。学ぶ楽しさを知った子どもは、中学校に進んでからもしっかり勉強するからです。楽しむために必要なことは、体験すること。触れられるものには触ってみて、食べられるものは食べてみて、あらゆる体験から「すごい!」「この程度か」「なぜ?」など、児童の興味や関心、疑問を生み出します。豊かな体験は、知識の引き出しを増やすことにつながります。
最近、中学・高校の場でアクティブラーニングという言葉をよく耳にするようになりましたが、土台になる知識がなければディスカッションなどできません。そうならないためにも、我々はあらゆる角度から知識の引き出しを増やす手立てを考えています。

エデュ:では具体的に、児童は学校生活でどのような体験をしているのでしょう。

下平先生:本校にはさまざまな施設があります。1,000坪に及ぶキッズファームでは、通年、作物を育てています。今は生活科の授業で夏野菜を育てており、収穫できたら夏野菜カレーを作ってみんなで食べます。また、敷地内の遊休地を田んぼにする計画が進行中で、各学年が分担して作業しています。まだ完成していないので、雨が降った翌日は児童の泥遊び場になっていますけどね。田んぼができて、米を作り、収穫して食べられたら、これほど面白いことはないでしょう。

エデュ:体験から得られることは、知識のほかにもありますか。

下平先生:協働作業をすれば、当然、揉め事が起こります。児童が問題を解決しながら作業を進めることで、より大きな経験ができます。もっと言えば、解決しなくてもいい。集団で、どうコミュニケーションを取るか学びながら仲間と成長することが大切なんです。経験は、人と人との結びつきを生みます。本校の児童はみんな仲がよく、他者を寛大に受け入れています。だからちょっと変わったところがある児童も、本校では楽しく過ごしていけるんですよ。

エデュ:下平先生ご自身も、体験の必要性を感じていますか。

下平先生:中学校で教師をしていた経験から、中学・高校で伸びる生徒には2つの共通点があることを知りました。それは、多様な経験をしていることと、膨大な読書量から得た幅広い知識があることです。この2点を兼ね備えた生徒は、いろんな角度から物事を捉え、結論が出るまで追究していました。中学校以降もずっと伸びる人間になるために、小学校ではどんなことでも体験すべきだという考えが、経験から得た持論であり、本校の方向性とも見事に一致していました。体験型施設に恵まれ、多くの経験ができるところは、本校の強みと言えるでしょう。

800匹の魚が泳ぎ回る水族館

大切なのは本物に触れること

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色鮮やかな熱帯魚たち。

エデュ:校内には水族館があります。これは大きな特徴ですね。

下平先生:スーパーで見る魚は動かないし、変色しています。切り身だと元の形すら分かりません。水族館で魚の本来の色や形を知り、「体に何かついているぞ」などと発見することで、児童の興味を引き出します。その興味は魚だけにとどまらず、違うものへ派生していくのです。10年前、中学校から本校に赴任して初めて児童と触れ合ったとき、水族館の魚を眺める児童の表情に、本物に触れることは子どもの目をこれほど輝かせるものなのかと驚きました。

エデュ:水族館ではどんな体験ができるのでしょうか。

下平先生:教室4つ分ほどの広さの水族館には、250種、約800匹の魚がいて、児童は魚の絵を描いたり、魚を解剖したりします。2年生は、どの魚同士なら共生できるかを考えてクラスごとに水槽を作っています。「家が必要だ」と、最初は魚が泳ぐ場所がないほど置物や藻を入れていましたが、試行錯誤して今は魚が快適に泳げる空間ができました。また、児童が所属する生物クラブでは、メンバーが水族館の水槽の担当を割り振り、担当する水槽の魚について説明ができるようになっています。

エデュ:そもそも、なぜ学校に水族館があるのでしょう。

下平先生:本校では、創立時から体験することや本物に触れることを大切にしているからです。水族館があるからといって、魚博士を育てたいわけではありません。「不思議だな」と疑問を持ち、疑問が解決した瞬間の気持ちよさを体感し、その経験を重ねることが目的なのです。この観点からすると、水族館は非常に役立っています。

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校内見学レポート
低学年棟1階にある水族館には、サメやうつぼ、タカアシガニといった大きな魚から、色鮮やかな小型の熱帯魚までたくさんの魚が泳いでいます。アーチ型や薄い波型の水槽など、趣向を凝らした水槽に加え、貝やナマコがいる磯を模した“手で触れるエリア”もあり、まるで本物の水族館のようでした。 休み時間には自由に出入りできるようになっていて、児童は思う存分観察ができます。理科や図工の教科教育を超えて、環境保護や情操教育など、総合的な学習施設になっています。

21世紀型スキルの育成

求められる「問題解決能力」と「強い気持ち」

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エデュ:今後の取り組みについて教えてください。

下平先生:5月末から一人一台のiPadの導入へ移行し、情報活用能力を養成します。iPadは優れたツールなので、児童が体験などから得た知識を元に思考する際、活用できるでしょう。どんな状況下でも、身近な道具を駆使して問題を解決できる力を身につけます。
もう1つは、これからの世の中で必要とされる「強い気持ち」を育てることです。答えのない問題は社会に出れば山ほどあります。そうした問題に遭遇しても、めげないタフネスさが大事です。海外で使われている精神面を鍛えるプログラムの中から、小学生に応用できるものがあればどんどん取り入れていこうと考えています。

エデュ:貴校が育成する理想の人物像はありますか。

下平先生:21世紀の本当のリーダーになる人間です。これには2つ条件があります。
1つは気迫を持って毎日を生きること。どんな分野でもいいから、「この問題なら君だよね」と言われるような、社会で役に立つ人間になれれば、気迫を持って生きられます。
もう1つは、自らの能力を、世のため人のためにどう使っていけばいいか考えられること。どちらも教えるのは容易ではなく、我々教師が地道に語りかけていくしか方法はないでしょう。教師一人ひとりが、授業の合間や、児童間でトラブルが起きたときなど、さまざまな場面で思いを込めて語り続けていけば、いつか気づく瞬間が訪れるのではないかと思っています。

エデュ:最後に、受験をお考えのご家庭へメッセージをお願いします。

下平先生:本校は、黒板に書けば3秒で終わることを実際にやってみる学校です。受験のためだけの学びではなく、学ぶ楽しさを知り、将来にわたり活用できる力の根本を作る教育をしています。その教育は、ご家庭の力を借りなくてはできません。学校とご家庭が同じゴールを目指していなければ、子どもは戸惑ってしまう。本校の教育を理解していただけるご家庭なら、情報を共有し、子どもの成長をともに喜べる関係を築いていけると思います。

さとえ学園小学校データ

学校名 さとえ学園小学校
URL: http://www.satoe.ed.jp/
男子・女子・共学 共学
所在地・アクセス 〒331‐0802 埼玉県さいたま市北区本郷町1813番地
JR宇都宮線「土呂駅」、高崎線「宮原駅」、東武野田線「大宮公園駅」よりスクールバス
校訓 今日学べ
制服の有無
給食の有無

編集部から見たポイント

さとえ学園小学校には、興味や関心の種を蒔くための豊かな土壌があることが分かりました。環境を存分に活かし、経験を重ねる児童の将来がとても楽しみです。どのご家庭でも期待を寄せるであろう「強い気持ち」の育成が、今後どう体制化していくのか、注目していきたいです。

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