子どもの心をたくさん揺れ動かしたい!文教大学付属小学校

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第17回では、東京都大田区にある文教大学付属小学校校長の島野歩先生、教頭の田中宏一先生にインタビュー。5年前に完成した新校舎、そして校長に着任し5年目の島野先生がどんな教育を展開しているのかうかがってきました。

都会でありながら「ふるさと」を感じられる学校

伝統を守りつつ始めた大きな取り組み

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左が校長の島野歩先生。右が教頭の田中宏一先生。

エデュ:まず貴校の教育の特徴を教えてください。

島野先生:校長に着任し5年目になりますが、その前は公立小学校の教員、東京都教育委員会の指導主事を務めていました。初めて本校に来たときに建学の精神である「人間愛」、一人ひとりを大切にしている伝統的な学校だと感じました。その伝統を守り、子どもたち一人ひとりを大事にし、教員と子どもの距離が近く、卒業生も気兼ねなく遊びに来る。そんな「ふるさとのような学校」を目指したいと思って教育を行っています。

エデュ:具体的にどのようなことを行なっているのでしょうか?

島野先生:3つお話しします。
1つ目は「全館図書館」です。5年前に完成したばかりの新校舎は、どの教室から飛び出しても本があるように真ん中に図書館を作りました。子どもにとって本が一生傍らにある身近なものになってほしいという思いで作りましたが、おかげで電車通学の子どもはよく本を読むようになり、子どもたちの会話の中にも本の話題が出るようになりました。学力面では2月にCRTという全国学力テストを行っていますが、国語に関しては全学年10ポイント以上アップしました。

2つ目は「縦割り活動」です。掃除はもちろんですが、本校には9月に全校生徒で行く宿泊行事があります。1年生~6年生が同じ部屋に泊まるのが特徴です。5年生・6年生はリーダーの役割を担うことになりますが非常に苦労が多い。でも本校はここでの苦労から、人と関わる力を身につけ大人になったときに活かしてほしいと思っています。

3つ目は4年前の学年より少人数25名の2クラスでの「少人数教育」を行っていることです。算数・英語では2人の教師によるティームティーチング制度を行い、一人ひとりをきめ細かくサポートしています。さらに電子黒板やタブレットも導入し、授業をより一層盛り上げるように活用しています。

エデュ:電子黒板やiPadの導入で変わったところは何でしょうか?

田中先生:電子黒板はインターネットにつながるので、動画を大きなサイズで映し出すこともでき、指示を出しやすくなりました。とくに理科では実験の成功見本を見せたり、教科書を全部映し出して、大事な所に線を引いてもらうときもとても分かりやすくなりました。タブレットは電子黒板同様インターネットにつながっているので、電子黒板に一人ひとりの考えを映し出して、考え方の比較をしたり、考えを深めることに役立てています。

学力・メンタル面で中学受験をサポート

短期留学をはじめ特徴のある3つのカリキュラム

文教大学付属小学校2

エデュ:特徴のあるカリキュラムを3つ教えてください。

島野先生:1つ目は「豊富な体験学習」です。
本校は東京都の54校ある私立小学校の中でも、一番宿泊行事が多いと言われています。豊富な体験学習では、5月に3・4年生は八ヶ岳自然教室、5年生は北アルプス自然教室に行きます。資料を見るだけでは分からない経験をしたり、実際にその仕事をしている職人さんに話を聞いたりすることで、普段何気なく子どもたちが手にしているもの、目にしているものがどういう苦労を経て作られるのか。職業体験も兼ねて行っていますが、きれいな部分だけでなく、苦労もしっかり見てほしいと思っています。覚悟や信念を持って働いている人を目の当たりにして、人の心は揺れ動きます。だから子どもたちには多くの人に出会い、一杯心が揺れ動いてほしいです。

2つ目はこの夏で4期目を迎えた、「オーストラリア短期留学」です。
8日間のうち前半はブリスベンにある牧場に宿泊して乳しぼりやブッシュランチを作ったりしますが、そこの牧場主のガースさんに会ってほしいんです。彼は牧場主であり、ブリスベンのクイーンズランド州にある語学学校の校長や弁護士もしています。行くとガースさんのとりこに なるぐらい人格的に温かいのですが、例え言葉が通じなくても人は言葉を越えてつながれるものがあるんだということを実感として分かってほしいという思いがあります。
後半ではノースレイクステイトカレッジで1人もしくは2人で当該学年の授業を受け、夜は2人~3人一組でホストファミリーのお世話になります。生の英語を学んでほしいという思いはありますが、それ以上にホストファミリーと交流して人と人とのつながりを実感してほしいと思っています。

3つ目は受験校としての「進路指導と補習カリキュラム」です。
本校は大学付属校でありながら、3分の2が外部受験する受験校です。こう聞くとできるだけ偏差値の高い学校に行かせることをイメージするかもしれませんが、本校の進路指導では「その子が何になりたいのか」、「何を将来目指していきたいのか」を重視しています。補習カリキュラムは4年生から放課後に行われるのですが、4年生では5年生の、5年生では6年生の、6年生は中学生以上の受験用テキストを使って、受験のための指導を行っています。

エデュ:手厚いサポートがあるのですね。高い進学実績の秘密はどのあたりにあるのでしょうか?

田中先生:子どもたちには小学6年生の夏休みまではとにかく基礎・基本をしっかりやるように指導をしています。基礎・基本ができていれば、応用もできるようになるので、焦らずじっくりやっています。あとは4年生からの補習カリキュラムに合わせて親御さんを交えた進路相談だと思います。将来の夢、職業までを含めた中学校選びをします。そして、全ての受験に本人が自信をもって、当日を迎えられるように、進路相談をさせていただいています。中学受験では受験生本人のメンタルが合否に大きく影響すると思っていますので、最高の精神状態で本番を迎える。ここがうまくいっていることが、進学実績の秘密だと思っています。

色々な人に出会い一杯揺れ動いてほしい

オーストラリア短期留学から発展した学び

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エデュ:貴校を受験するご家庭に向けてこれだけは身につけておいてほしいことはありますか?

島野先生:「挨拶・返事がしっかりできること」、「素直な気持ちで人に接することができること」、「物事に集中して取り組むことができること」です。どれも親御さんの関わり方が重要になってきますが、子どもは親御さんの考え方がそのまま移っていきますので、この3つはしっかり身につけておいていただきたいですね。

エデュ:物事に集中する。大人でもなかなか難しいと思いますが、ご家庭ではどのようにすれば身につくのでしょうか?

島野先生:大人の時間ではなく、子どものペースに合わせて動くことです。どうしても忙しいと子どもが集中しているとき、「今日はここまでね」となりがちですが、これではせっかく集中していたのに途切れてしまいます。時間に限りはありますが、ぐっとこらえ見守ってほしいですね。

エデュ:最後に今後行ってみたい取り組みを教えてください。

島野先生:たくさんありますが、1つ目は「オーストラリア短期留学」をもっと発展した学びにつなげていきたいです。今は4年生以上の希望者が参加していますが、例えばスカイプで話したり交換留学をしたり、行った子だけではない学習体制を作っていきたいです。

2つ目は「防災教育」にももっと力を入れていきたいと思っています。今の時代、いつ自分に災害が降りかかってくるか分かりません。災害に直面したときに自分以外の人のために力を尽くしていけるかを一人ひとりが考えていけるかが大事にされていくと思っています。その根っこを作るためには初等教育がベストなので、これからさらに強化して教育を行っていきたいです。

3つ目に、2020年全国実施に先駆けて取り組み始めた「プログラミング教育の充実」があります。この4月に、本校にロボット「ペッパー」がやってきました。「ペッパー」の動きをプログラミングしながら、論理的思考力を子どもたちにつけていきたいと考えています。

文教大学付属小学校データ

学校名 文教大学付属小学校データ
URL: https://www.bunkyo.ac.jp/bkshogak/
男子・女子・共学 共学
所在地・アクセス 〒145-0065 東京都大田区東雪谷2-3-12
東急池上線「石川台」駅より徒歩約2分
建学の精神 人間愛
制服の有無
給食の有無

編集部から見たポイント

伝統を守りつつ、新しい取り組みをうまく取り入れている文教大学付属小学校。これからやりたいことがまだまだあります、と話していたのも印象的でした。今後注目していきたいところです。

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