配偶者控除、あなたは賛成? それとも反対? 第75回

inter-edu’s eye
2017年度税制改正で議論の焦点となっている「配偶者控除」。 改正の意図はどこにあるのでしょうか?
掲示板の声や社労士の方の意見も交えて、その本質を紐解いていきたいと思います。

配偶者控除をわかりやすく! どんな内容?いつから?

「配偶者控除の廃止」という報道が世間を賑わせ、のちに「夫婦控除」の導入が検討されました。
そして今、配偶者控除の見直し案として、配偶者の年収制限を103万円以下から150万円以下にする案が浮上し、この方針が決定すれば、約1年後の2018年1月から実施の予定です。

分かりにくい点も多いので、例として、夫の年収が高いケースを図にまとめてみました。

配偶者控除をわかりやすく! どんな内容?いつから?

表から、さまざまなことが見えてきます。

まず改定案では、控除額は38万円をそのままに、配偶者の年収の上限が150万円まで拡大されます。また、妻の年収が150万円~201万円の場合も、控除される額は段階的に減額されるものの、控除対象として検討されています。

しかしここに、現在は「配偶者特別控除」にしか設けられていない夫の年収による制限が加わります。
夫の年収が1,120万円~1,220万円の場合は、段階的に控除額を減らし、それ以上は控除対象外となります。つまり、年収1,220万以上の場合は、増税になることが明らかです。

今回の議論の焦点は、あくまで「配偶者控除」。
この話題の影に隠れている社会保険加入の「106万の壁」や「130万の壁」は、依然として存在しています。
配偶者控除の拡大が決まったら、103万以上働こう!と思っている方も、社会保険加入による保険料の負担が増えることを考慮する必要があります。

世帯の手取り合計がどのくらいになるのか、シュミレーションしてみる必要がありますね。

年収1,000万以上! でもゆとりがありません…

年収1,000万以上! でも贅沢できません

年収高めなエデュママのご家庭。

年収1,000万以上もあれば贅沢な生活ができると思われがちですが、お子さまを私立校に通わせ、都心に住まうとなると余裕がないのは、エデュママの間では周知のことですね。

また、お子さまが中高生ともなると、親の介護の問題も出てきます。増税分を埋めるために、働きたくても働けない、掲示板ではそんな声もありました。

その声をご紹介しましょう。

わが家は、ギリギリの1,330万円です。1,330万もあれば良いように思われますが、二人を私立に入れバスを乗り換えての通学費用もかさみ、マンションも数年前に購入、かなりキツキツの生活のわが家です。両親ニ人の介護も私がしているため仕事にもいけません。
(はなさん)

サラリーマンで年収1,000万円以上ありますが、子ども二人の教育費や習い事で毎月10万円は飛んでいきます。 税金社会保障料は高いし、育児手当てや奨学金とか年収制限あり、手取りが数十万円単位で税金に持っていかれました。
(アラフィフ親父さん)

(【4324808】配偶者控除の所得制限に納得いきませんより)

報道では、配偶者が専業主婦(夫)で、年収1,500万以上だと年15.8万の負担増になるとも言われています。 (東洋経済「配偶者控除、夫の年収に応じ徐々に減らす案」より) ※現在は、参照内容が非公開となっています。

年間約10万以上の増税があれば、今回の改正案にネガティブなイメージを持つのは、致し方ないとも言えますが、現在配偶者の年収が103万以上、201万以下のご家庭では、確実に減税となります。

社会全体で見た際には、どういった効果があるのか、そこを知る必要もありそうですね。

配偶者控除の本当の狙いはどこにある?

配偶者控除の本当の狙いはどこにある?

与党は、配偶者控除を150万以下まで引き上げようとする理由を、「パートで働く女性らの就労拡大を促すため」としていますが、フルタイムで働く女性には不公平感が拭えませんし、女性が働くためには、保育園の待機児童問題の解消など、多くの課題もあります。

今回の配偶者控除の見直し案について、社会保険労務士の方にお聞きました。

「日本の労働人口の減少は深刻であり、2030年には、2010年比で60%ほどになると予想されています。また現時点ですでに、外食産業や介護業界での人材不足が問題になっています。
今回の改正の意図はやはり、早急に解決しなければならない『働き手を増やす』ことにあると思います。働きたくても、税金の関係で103万以内に抑えてきた方への期待は、大きいのではないでしょうか。」

労働力調査平成27年平均結果の概要によると、女性の非正規雇用者数は1,345万人、そのうち年収100万以下は、592万人となっています。
この層が、税金に捉われることなく働く時間を増やせる環境を作ることが、人手不足の解消につながると判断した、という見方ができそうです。

まだまだ未確定要素も多い配偶者控除の見直し案。
12月8日に、平成29年度税制改正大綱の決定を目指しているようなので、また発表に注目したいですね。